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第9幕 王子と王子
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フーッと深呼吸を繰り返し、もうすぐ来るであろう悠斗と出掛けるための支度を済ませる。早めに起きたはずなのに、やはり鈍くさいのか、中々器用に時間調整ができない。服を選んでいるうちに、チャイム鳴ってしまい玄関先に悠斗を待たせながら、バタバタと部屋中を駆け回る。
「ご、ごめん! 寒いのに待たせちゃって。本当に俺ってば鈍くさくて!」
「ううん。大丈だよ? クスッ……急がせちゃったね? 柳君も寒いからちゃんとボタン……」
俺のネルシャツのボタンを閉めようとしてくれた悠斗の指先がピタリと止まる。
「わっ! ははは……いいよ自分でできるから」
「……ああ、ごめん……なんかつい……」
自分でシャツとダッフルコートのボタンを留めると、行き先を確認する。
「それじゃ、行こっか! えっと……どこまで行くの?」
「あっ、うん。春葉原の電気屋さんまで付き合ってもらっていい?」
「電気屋さんいっぱいあるところだよね?」
「うん。携帯ならショップでいいけど、大型施設のほうが時間掛からないみたいだから」
「へぇーそうなんだ。アクセサリーとかも大きいお店のほうが、品揃えいいもんね!」
電車に乗って電気街に向かう。街には人も多く、イベントなども開催され賑わっている。大きな家電量販店がひしめき合っている。
「柳君はどこの携帯会社?」
「俺はZUだよ?」
「一緒だ。どうしようかな……」
「いっぱいあるから迷っちゃうね! あっ、これ凄く綺麗」
「本当だ。画面もだけど、形状もいいかも。色はどれがいいと思う?」
「この、ブルーっぽいのかな?」
悠斗はそれを手に取ると、キョロキョロとし店員さんを呼び止めた。
「すみません。これ機種変更で」
「えっ⁉ ちょっといいの?」
「ん? 問題だった? 手続きあるから待たせちゃうかも」
「いや、あー、うん、そうだよね。俺その辺ブラブラしてる」
「柳君ちょっと待って。終わったら連絡するから番号教えて?」
「あっそっか。この広さじゃ探すの大変だもんね。俺自分の番号覚えていなくて……えっと、ちょい待って」
店員さんから借りたペンとメモ用紙に番号を見ながら書き留める。
「それ……可愛いね?」
「えっ? どれ?」
「ウサギさん……柳君っぽい。僕も一緒の欲しいな」
「これ? 売っているかな……似たのあるかもしれないし、俺ブラブラついでに探してみるよ!」
「うん。それじゃまたあとでね」
あー……ビックリした。
まさかラビたんのこと言われるなんて……。
こんなことなら早いうちに、環樹先輩から奪っておけば良かった。
探すと言ったはいいが、同じものは売っていない。ウサギーランドに行かなければ買えない代物だ。アクセサリーコーナーで似たようなもがないか一応見てみる。ラビたんはなんといっても、日本では代表的なキャラクターだ。
うーん、意外とないな。
猫はあるんだけどな。
それにしても……種類多すぎ。
色々な種類のアクセサリーが壁一面に陳列されており、目が泳いでしまう。いっそのことラビたんは封印して、お揃いでなにか買おうかと考える。悠斗とあとで探すのもいいかもしれない。
……って、お揃いが欲しい訳じゃないだろ。
ウサギ~ウサギ~……えっ? サイ⁇
サイってそんなに需要あるの?
ウサギがなくてサイがあることに驚き、ひとり突っ込みを心の中で呟いていると、スマホが震えだす。久々に見た『悠斗』の着信表示に、なんとも複雑な気持ちになる。
「ご、ごめん! 寒いのに待たせちゃって。本当に俺ってば鈍くさくて!」
「ううん。大丈だよ? クスッ……急がせちゃったね? 柳君も寒いからちゃんとボタン……」
俺のネルシャツのボタンを閉めようとしてくれた悠斗の指先がピタリと止まる。
「わっ! ははは……いいよ自分でできるから」
「……ああ、ごめん……なんかつい……」
自分でシャツとダッフルコートのボタンを留めると、行き先を確認する。
「それじゃ、行こっか! えっと……どこまで行くの?」
「あっ、うん。春葉原の電気屋さんまで付き合ってもらっていい?」
「電気屋さんいっぱいあるところだよね?」
「うん。携帯ならショップでいいけど、大型施設のほうが時間掛からないみたいだから」
「へぇーそうなんだ。アクセサリーとかも大きいお店のほうが、品揃えいいもんね!」
電車に乗って電気街に向かう。街には人も多く、イベントなども開催され賑わっている。大きな家電量販店がひしめき合っている。
「柳君はどこの携帯会社?」
「俺はZUだよ?」
「一緒だ。どうしようかな……」
「いっぱいあるから迷っちゃうね! あっ、これ凄く綺麗」
「本当だ。画面もだけど、形状もいいかも。色はどれがいいと思う?」
「この、ブルーっぽいのかな?」
悠斗はそれを手に取ると、キョロキョロとし店員さんを呼び止めた。
「すみません。これ機種変更で」
「えっ⁉ ちょっといいの?」
「ん? 問題だった? 手続きあるから待たせちゃうかも」
「いや、あー、うん、そうだよね。俺その辺ブラブラしてる」
「柳君ちょっと待って。終わったら連絡するから番号教えて?」
「あっそっか。この広さじゃ探すの大変だもんね。俺自分の番号覚えていなくて……えっと、ちょい待って」
店員さんから借りたペンとメモ用紙に番号を見ながら書き留める。
「それ……可愛いね?」
「えっ? どれ?」
「ウサギさん……柳君っぽい。僕も一緒の欲しいな」
「これ? 売っているかな……似たのあるかもしれないし、俺ブラブラついでに探してみるよ!」
「うん。それじゃまたあとでね」
あー……ビックリした。
まさかラビたんのこと言われるなんて……。
こんなことなら早いうちに、環樹先輩から奪っておけば良かった。
探すと言ったはいいが、同じものは売っていない。ウサギーランドに行かなければ買えない代物だ。アクセサリーコーナーで似たようなもがないか一応見てみる。ラビたんはなんといっても、日本では代表的なキャラクターだ。
うーん、意外とないな。
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それにしても……種類多すぎ。
色々な種類のアクセサリーが壁一面に陳列されており、目が泳いでしまう。いっそのことラビたんは封印して、お揃いでなにか買おうかと考える。悠斗とあとで探すのもいいかもしれない。
……って、お揃いが欲しい訳じゃないだろ。
ウサギ~ウサギ~……えっ? サイ⁇
サイってそんなに需要あるの?
ウサギがなくてサイがあることに驚き、ひとり突っ込みを心の中で呟いていると、スマホが震えだす。久々に見た『悠斗』の着信表示に、なんとも複雑な気持ちになる。
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