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第9幕 王子と王子
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コンビニに向かいながら、悠斗のことが気掛かりで俺は終始上の空。はぁーっとため息を何度も吐いていると、村上に突っ込みを入れられる。
「柳ちゃん、ため息出し過ぎだよ!」
「だって、気にしないほうがおかしいだろ?」
「そりゃそうだけどさ」
「どうせまたあれじゃんか……」
そう、告白タイムというやつだ。
「バレンタインは混み合う案件だからね~。ちょいとフライング気味だけど……」
「流石に、生徒会室の前でって訳にはいかないけどさ……」
文化祭のときの姫乃ちゃん騒動があってから、すっかり落ち着きを見せていたが、やはり悠斗はモテるのだ。
眉を寄せ不服そうな顔をする俺に、村上は元気付けるように言う。
「でも、王子は一筋だから心配することないんじゃない?」
「自分で言うのもなんだけど……そう思う」
「なら、そんな顔しない。戻ったらちゃんと説明してくれるし、さっさと買い物済ませて戻ろう♪」
「へへっ……だな……」
疲れすぎて変な風に考え込んでしまう。きっと糖分が足りていないのだ。甘い物食べて冷静になろうと、コンビニお菓子を物色する。
生徒会予算とは別に、悠斗用になにかないかなと探している自分がいる。バレンタイン前のコンビニは、綺麗に包装されたチョコもあったが、イベントには関係なくいつでも陳列されている、ハート型の小ぶりのチョコを手に取りこっそり笑う。
「やっぱりあげることにした? それ、王子用だよね?」
「う、うん……いつも悠斗一緒だから、こんなときしか買えないし」
「だね~~♪ でもなんでそれ? もっと綺麗にラッピングされたのもあるよ?」
手にしたチョコに視線を落とし、微笑みながら呟く。
「……これでいいんだ。いつも並んでるやつのほうが、バレンタインだけじゃなくても思い出すだろ?」
村上は驚いた様子で目を拡げると、納得したように頷いた。
「そういう考えもあるんだね~♪ 柳ちゃんはやっぱいい子だぁね」
「悠斗には絶対内緒だぞ!」
「調子に乗るから?」
「うん、そう!」
「そんじゃ、戻ってちゃっちゃと終わらせて、帰ろう~♪」
「おう! その前に、糖分補給な!」
会計を済ませ生徒会室に戻ると、みんなに軽食を配って休憩してもらう。キョロキョロと周りを見渡しても、悠斗の姿はまだないようだ。
多澤に確認したが、まだ戻っていないと言われた。女子生徒に呼び出されてからそろそろ三十分ぐらい経つのではないだろうか。
……込み入った話でもしているのかな?
告白って決まった訳じゃないけど……相手にもよるか。
ソワソワと落ち着きのない俺に、村上と多澤が電話してみるかとスマホで発信してくれたが、電源が入っていないか電波がない場所らしいと首を傾げていた。
「悠斗……どうしたんだろう。揉めてる……とか?」
「揉めてるからって、電源は切らねぇだろ?」
「電波届かないって言ってもね? 学校なら電池切れかな? 探しに行ってみる?」
気を揉んでいるよりも行動だ。
扉を開けようとしたところで身体が廊下側へと引っ張られた。
「うわっ!」
「──っと……危ないな」
誰かの胸に抱きとめられる。
「柳ちゃん、ため息出し過ぎだよ!」
「だって、気にしないほうがおかしいだろ?」
「そりゃそうだけどさ」
「どうせまたあれじゃんか……」
そう、告白タイムというやつだ。
「バレンタインは混み合う案件だからね~。ちょいとフライング気味だけど……」
「流石に、生徒会室の前でって訳にはいかないけどさ……」
文化祭のときの姫乃ちゃん騒動があってから、すっかり落ち着きを見せていたが、やはり悠斗はモテるのだ。
眉を寄せ不服そうな顔をする俺に、村上は元気付けるように言う。
「でも、王子は一筋だから心配することないんじゃない?」
「自分で言うのもなんだけど……そう思う」
「なら、そんな顔しない。戻ったらちゃんと説明してくれるし、さっさと買い物済ませて戻ろう♪」
「へへっ……だな……」
疲れすぎて変な風に考え込んでしまう。きっと糖分が足りていないのだ。甘い物食べて冷静になろうと、コンビニお菓子を物色する。
生徒会予算とは別に、悠斗用になにかないかなと探している自分がいる。バレンタイン前のコンビニは、綺麗に包装されたチョコもあったが、イベントには関係なくいつでも陳列されている、ハート型の小ぶりのチョコを手に取りこっそり笑う。
「やっぱりあげることにした? それ、王子用だよね?」
「う、うん……いつも悠斗一緒だから、こんなときしか買えないし」
「だね~~♪ でもなんでそれ? もっと綺麗にラッピングされたのもあるよ?」
手にしたチョコに視線を落とし、微笑みながら呟く。
「……これでいいんだ。いつも並んでるやつのほうが、バレンタインだけじゃなくても思い出すだろ?」
村上は驚いた様子で目を拡げると、納得したように頷いた。
「そういう考えもあるんだね~♪ 柳ちゃんはやっぱいい子だぁね」
「悠斗には絶対内緒だぞ!」
「調子に乗るから?」
「うん、そう!」
「そんじゃ、戻ってちゃっちゃと終わらせて、帰ろう~♪」
「おう! その前に、糖分補給な!」
会計を済ませ生徒会室に戻ると、みんなに軽食を配って休憩してもらう。キョロキョロと周りを見渡しても、悠斗の姿はまだないようだ。
多澤に確認したが、まだ戻っていないと言われた。女子生徒に呼び出されてからそろそろ三十分ぐらい経つのではないだろうか。
……込み入った話でもしているのかな?
告白って決まった訳じゃないけど……相手にもよるか。
ソワソワと落ち着きのない俺に、村上と多澤が電話してみるかとスマホで発信してくれたが、電源が入っていないか電波がない場所らしいと首を傾げていた。
「悠斗……どうしたんだろう。揉めてる……とか?」
「揉めてるからって、電源は切らねぇだろ?」
「電波届かないって言ってもね? 学校なら電池切れかな? 探しに行ってみる?」
気を揉んでいるよりも行動だ。
扉を開けようとしたところで身体が廊下側へと引っ張られた。
「うわっ!」
「──っと……危ないな」
誰かの胸に抱きとめられる。
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