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第8幕 年越し湯けむり罰ゲーム?
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「わぁー悠斗、もうお布団敷かれてるよー」
「お風呂の間に敷いてくれたんだね。ゴロンしても良いよ?」
「悠斗、瀬菜布団に連れ込むなよ。瀬菜はお子様だから寝るぞ」
「王子はどっち側の布団がいい?」
村上がそう言うと、悠斗は急にショボンとしだす。
「僕は……瀬菜とがいい……」
小さな声で言う悠斗に、みんながウッと息を詰める。
「ほ、ほら! 村上気使わないで好きに選べよ!」
「村上が余計なこと言うから、また悠斗が落ち込み出しただろ!」
「えーーー俺⁉︎ どっち使うか聞いただけじゃん! ……こっち俺~~♪」
悠斗が凹み王子になる前に、みんなでその場を盛り上げ、明日の観光に話題を移す。みんなでゴロゴロと雑魚寝をしながら目星をつけていく。
悠斗は充電でもしているのか、愛犬を愛でるように俺の頭を撫で回していた。
悠斗くん……心地良くて寝てしまいます……。
そろそろ離していただきたいです。
多澤も村上も、俺たちのスキンシップは日常茶飯事のことのように、特に気にするでもなく普通に会話している。
気にしてるのは、俺だけなんでしょうか。
き、気不味い……。
この旅館は大浴場のほかにも、小さいとはいえ立派な温泉がいくつも点在し、それぞれにコンセプトを持った温泉を楽しむことができる。
お湯に浸かるのももちろんいいが、前から入ってみたかった岩盤浴に行くことにした。入る前に岩盤浴用の作務衣みたいな服を着て中に入ると、薄暗い室内は高い湿度でじっとりとし、立っているだけで汗ばんでしまう。
石の上にバスタオルを引き時間を気にしながら寝そべる。リラックス効果のある音楽を聴きながら、タップリと汗をかいてリフレッシュ。途中でうつ伏せになったり、お水を飲んでデトックスを外に出していく。三十分ほどすると、もう無理というぐらい汗だくで、外に出ると通常温度の室内が涼しく感じるほどだ。
そのあとは温泉に浸かりサッパリすると、冷たい物を欲してアイスを要望した。もちろんそこはアイスじゃんけんで。
「「「いただきまーす♪」」」
弾んだ声で三人でお礼を言い、アイスを頬張る。火照った身体に冷たいアイスが染み渡る。
「……どうぞ」
ため息を吐きながら悠斗がそう答える。
「今日の悠斗はダメダメだな」
「色々ついてないね~。王子が奢ってくれるアイスは格別♪」
「そういうときもあるよ。ほら、悠斗これも食べるか?」
「今日はじゃんけんの神様に見放されている……」
パクリと俺のアイスを食べると、美味しいけどなんだか複雑と呟く悠斗。なんだか可哀想で俺もショボンとしてしまう。みんなで来た旅行だ。悠斗とだけではなく、みんなで楽しむのほうがいいに決まっている。
俺だって……悠斗と別々の部屋、残念だなって思っているよ。
部屋に戻ると、就寝時間まで四人で過ごす。
多澤に約束の肩揉みマッサージをしながら、たわいもない会話をする。
「多澤って若いのに凝り過ぎじゃね?」
「いつも周りに気を遣っているからな。あとは趣味のシルバーアクセのせいだな」
「雅臣は凝り性だからね。ご飯食べるのも忘れるぐらいのめり込むし」
「いいな~マッサージ! 王子はしてくれないの?」
多澤だけではなく村上も俺達に振り回されたひとりだ。
「して欲しい? いいよ寝そべって?」
「やりーー!」
「チャレンジャーだな……」
「本当だな……へへっ……」
寝そべる村上に体重を掛ける悠斗を眺めながら、多澤と俺はボソリと呟く。
案の定、悠斗はなにかの鬱憤を晴らすようなマッサージを繰り出す。
「ちょっ‼︎ 王子ッそれっ‼︎ い、痛いッ‼︎ やっ、うぉッ‼︎」
「なに? 変な声出さないでよ。愛情と真心がこもっているでしょ?」
「こっ、こもりすぎィーーッ‼︎ ぎ、ギブッッ‼︎ マジッ、ししぬぅぅ~~‼︎」
悠斗、それはマッサージではなくプロレスだ……。
まぁ……分かっていたことだけど。
なぁーむーぅー……。
「お風呂の間に敷いてくれたんだね。ゴロンしても良いよ?」
「悠斗、瀬菜布団に連れ込むなよ。瀬菜はお子様だから寝るぞ」
「王子はどっち側の布団がいい?」
村上がそう言うと、悠斗は急にショボンとしだす。
「僕は……瀬菜とがいい……」
小さな声で言う悠斗に、みんながウッと息を詰める。
「ほ、ほら! 村上気使わないで好きに選べよ!」
「村上が余計なこと言うから、また悠斗が落ち込み出しただろ!」
「えーーー俺⁉︎ どっち使うか聞いただけじゃん! ……こっち俺~~♪」
悠斗が凹み王子になる前に、みんなでその場を盛り上げ、明日の観光に話題を移す。みんなでゴロゴロと雑魚寝をしながら目星をつけていく。
悠斗は充電でもしているのか、愛犬を愛でるように俺の頭を撫で回していた。
悠斗くん……心地良くて寝てしまいます……。
そろそろ離していただきたいです。
多澤も村上も、俺たちのスキンシップは日常茶飯事のことのように、特に気にするでもなく普通に会話している。
気にしてるのは、俺だけなんでしょうか。
き、気不味い……。
この旅館は大浴場のほかにも、小さいとはいえ立派な温泉がいくつも点在し、それぞれにコンセプトを持った温泉を楽しむことができる。
お湯に浸かるのももちろんいいが、前から入ってみたかった岩盤浴に行くことにした。入る前に岩盤浴用の作務衣みたいな服を着て中に入ると、薄暗い室内は高い湿度でじっとりとし、立っているだけで汗ばんでしまう。
石の上にバスタオルを引き時間を気にしながら寝そべる。リラックス効果のある音楽を聴きながら、タップリと汗をかいてリフレッシュ。途中でうつ伏せになったり、お水を飲んでデトックスを外に出していく。三十分ほどすると、もう無理というぐらい汗だくで、外に出ると通常温度の室内が涼しく感じるほどだ。
そのあとは温泉に浸かりサッパリすると、冷たい物を欲してアイスを要望した。もちろんそこはアイスじゃんけんで。
「「「いただきまーす♪」」」
弾んだ声で三人でお礼を言い、アイスを頬張る。火照った身体に冷たいアイスが染み渡る。
「……どうぞ」
ため息を吐きながら悠斗がそう答える。
「今日の悠斗はダメダメだな」
「色々ついてないね~。王子が奢ってくれるアイスは格別♪」
「そういうときもあるよ。ほら、悠斗これも食べるか?」
「今日はじゃんけんの神様に見放されている……」
パクリと俺のアイスを食べると、美味しいけどなんだか複雑と呟く悠斗。なんだか可哀想で俺もショボンとしてしまう。みんなで来た旅行だ。悠斗とだけではなく、みんなで楽しむのほうがいいに決まっている。
俺だって……悠斗と別々の部屋、残念だなって思っているよ。
部屋に戻ると、就寝時間まで四人で過ごす。
多澤に約束の肩揉みマッサージをしながら、たわいもない会話をする。
「多澤って若いのに凝り過ぎじゃね?」
「いつも周りに気を遣っているからな。あとは趣味のシルバーアクセのせいだな」
「雅臣は凝り性だからね。ご飯食べるのも忘れるぐらいのめり込むし」
「いいな~マッサージ! 王子はしてくれないの?」
多澤だけではなく村上も俺達に振り回されたひとりだ。
「して欲しい? いいよ寝そべって?」
「やりーー!」
「チャレンジャーだな……」
「本当だな……へへっ……」
寝そべる村上に体重を掛ける悠斗を眺めながら、多澤と俺はボソリと呟く。
案の定、悠斗はなにかの鬱憤を晴らすようなマッサージを繰り出す。
「ちょっ‼︎ 王子ッそれっ‼︎ い、痛いッ‼︎ やっ、うぉッ‼︎」
「なに? 変な声出さないでよ。愛情と真心がこもっているでしょ?」
「こっ、こもりすぎィーーッ‼︎ ぎ、ギブッッ‼︎ マジッ、ししぬぅぅ~~‼︎」
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まぁ……分かっていたことだけど。
なぁーむーぅー……。
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