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第6幕 計画は入念に、愛情込めて
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しおりを挟む『××××年十一月十日
Lots of love for your birthday♡
悠斗がこれからも幸せで満たされますように‼』
しばらくアルバムを見つめていた悠斗は、目元を拭いヘラリと微笑んでパタリとアルバムを閉じた。それを大切そうに胸に抱えると、俺が座る隣に腰を下ろしニコニコとしている。
「な、なんだよ……」
「うんん、へへへ……」
「気持ち悪い笑いかたするなよ……」
「ふふっ、嬉しくって。ねぇ、瀬菜、あ~ん♪」
口を大きく開けてケーキを寄越せと催促する悠斗に、苦笑いしながらもフォークに山盛りのケーキを乗せ食べさせると、涙目で頬を膨らませ喜んでいた。
そんな俺達のやり取りを、微笑ましく見ている悠斗の家族と祐一さんと佐伯さん。俺達に免疫がある友人二人は呆れ顔だ。
「お前らな……二人の世界に入り過ぎじゃね?」
「柳ちゃん、今日は王子に激甘だね~♪」
「見ろよ悠斗のだらしない顔。イチャイチャはあとにしろよ」
「あはは、多澤、今に始まったことじゃないっしょ!」
友人二人の言葉に俺はハッとし、見られていたことに赤面してしまう。悠斗はいつも通り通常運転だ。もっとちょうだいと口を開ける悠斗に「自分でよそって食べろ!」と言うと、自分の口に運ぼうとしていたところを横取りされてしまう。そんなやり取りを何度も繰り返し、戯れる姿を大人陣は笑いながら見守っていた。
誕生日会は美味しいご飯と楽しい会話で終始盛り上がり、平日ということもあってか早めの閉会となった。みんなを見送ったあと、おばさんに手伝いを申し出ると「今日は悠くんと一緒にゆっくりしてちょうだい」と言われてしまい、悠斗の部屋でゆっくりさせてもらうことにした。
「瀬菜、今日はありがとう。こんな素敵なお誕生日、俺ずっと忘れない」
「ううん。みんなが悠斗を祝いたいって、協力してくれたからできたんだ」
「うん、みんなにももちろん感謝しているよ。でも、瀬菜が色々考えてくたの知ったら、嬉しくてまだ興奮が収まらないよ。沢山時間を掛けてくれたんだよね」
「へへっ、大したことじゃないよ」
悠斗はアルバムを捲りクスクス笑いながら言う。
「この写真どうしたの? 生まれたときのは持っていないでしょ? それに三歳のこの写真……見せたくなかったな」
「おばさんにこっそりな! 俺はこの悠斗、凄い好き! ゆうちゃん可愛い♪」
「単なる美久のお下がり着た男の子でしょ?」
「だって、本当にお姫様みたいなんだもん。しかもこの泣きそうなのにピースとかヤバイ!」
俺の一番のお気に入り。現在スマホの待受画面にもなっているほどだ。
「瀬菜は俺のこと、最初は女の子だと思っていたもんね」
「うん、ふわふわでさ、どストライクの子が目の前に居たんだ! 俺、あの日一瞬で恋に落ちたんだ。まさかあれが初恋になるとは思わなかったけどな~~」
「……」
「けどさ初恋が男の子だったなんて、今じゃ笑い話だけど!」
「…………」
「でも、おかしいな? 初恋は実らないって良く言うよな? 実っちゃった俺はどうなるんだ?」
なぁ、と問いかけるが悠斗からの返事がない。
「悠斗……⁇」
目が点になるとはこういうことか?
あらら……もしかして俺またなんかスイッチ押しちゃった……かも⁇
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