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第6幕 計画は入念に、愛情込めて
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少し早目の朝風呂。
別に日の出が見える訳ではないけれど、澄んだ空気のせいか清々しい。
ちゃぷちゃぷと今の時期には少しぬるい湯船に浸かると、徐々に目が覚めていく。
はぁ~~っとジジくさい俺を、慈しむような笑顔で見つめてくる悠斗。そんなに見つめられていると、なんだか恥ずかしくて挙動不審になってしまう。悠斗の股間が目に入り、入浴剤を入れておくべきだったと後悔した。
「なぁ、なんだよさっきから……お前、ずっとにやけていないか?」
「まぁね……朝起きたら瀬菜が居て、今も産まれたままの瀬菜が居て、今日は学校さぼってずっとこうしてたいなって」
「サボるのはいくらなんでもダメだぞ!」
「そう? いいアイデアだと思ったんだけどな」
いつも優秀で真面目な悠斗が誕生日気分に浮かれてか、あり得ないことを言うので驚く。ガチな真面目くんではないけれど、決められたことは守る悠斗だ。それが妙に人間ぽく感じて、ぷぷっと笑うと悠斗も満面の笑顔を見せる。
「フルコンプ♪」
「えっ? なにが?」
「瀬菜の顔コレクション。笑顔だけまだだったから、さっきのでコンプリート♪」
「どんな遊びだよ! お前の世界観無限大だな!」
ああ……焦った。
本気で学校行かないとか言われたら、どうしようかと思ったじゃんか。
予測不能の今日の悠斗に、俺は朝から思考回路がフル回転だ。予定通りには行かない、番狂わせ……とは良くいったものだ。
そんな悠斗の頭と身体をお誕生日スペシャルでいつもよりも念入りに洗い、髪を乾かして軽くワックスをして整える。セットするのは意外と大変で、そつなくこなす悠斗に改めて感心した。
制服に着替えおばさんが用意してくれた朝食を済ませる。悠斗の時間の読みが正しかったのか、ゆったりとした朝を過ごせた。登校時間になるまで部屋で優雅にコーヒーを飲む悠斗に、ラッピングした包みを差し出した。
「これ……ちょっとした気持ち……笑うなよ?」
キョトンとする悠斗に包みを押し付け手を離す。落ちると思った悠斗は慌てた様子でラッピングを空中でキャッチし、座り込んで包みを見つめていた。
「プレゼント! お前なんか反応しろよ。見ていてもしょうがないだろ⁉︎」
俺がそう言うと消え入りそうな声で悠斗が言う。
「……だって、瀬菜のプレゼントはさっき……夜這いしてくれたから」
「あれがプレゼントって……そんな訳あるか‼︎ あれは単なるサプライズ!」
夜這いをプレゼントだと勘違いしていたらしい悠斗は、呆けた表情で俺を見上げてからへにゃりと顔を緩めた。
「えへへっ……開けてもいいの?」
幸せそうに笑っている悠斗は、俺の頷きにキラキラした瞳でリボンを解き始めた。その姿はまるで飼い犬みたいで、明け方にちょこっと出現した狼には到底見えなかった。
俺、錯覚が見える……。
悠斗に尻尾が生えてる……。
パタパタと喜びの表現をする犬の尻尾。
すげぇ……可愛いんだけど……。
ワンコみたいな悠斗を眺めていると、俺もつられて笑顔になってしまう。
動き出したと思えば固まり、しばらくすると動き出す。何度もそれを繰り返し「わぁ~~♪」と、言葉にならない遠吠えのような声を上げる悠斗。
大袈裟過ぎるリアクションは嬉しいが、本当に大したものではないので俺が戸惑ってしまう。
「綺麗な色だね……勿体ないな……どうしよう」
「どうしようって……」
頰にそれをスリスリとしている悠斗。そんな風に扱うものではない。悠斗の焦ったさに我慢ができず俺はそれを引き抜いた。
別に日の出が見える訳ではないけれど、澄んだ空気のせいか清々しい。
ちゃぷちゃぷと今の時期には少しぬるい湯船に浸かると、徐々に目が覚めていく。
はぁ~~っとジジくさい俺を、慈しむような笑顔で見つめてくる悠斗。そんなに見つめられていると、なんだか恥ずかしくて挙動不審になってしまう。悠斗の股間が目に入り、入浴剤を入れておくべきだったと後悔した。
「なぁ、なんだよさっきから……お前、ずっとにやけていないか?」
「まぁね……朝起きたら瀬菜が居て、今も産まれたままの瀬菜が居て、今日は学校さぼってずっとこうしてたいなって」
「サボるのはいくらなんでもダメだぞ!」
「そう? いいアイデアだと思ったんだけどな」
いつも優秀で真面目な悠斗が誕生日気分に浮かれてか、あり得ないことを言うので驚く。ガチな真面目くんではないけれど、決められたことは守る悠斗だ。それが妙に人間ぽく感じて、ぷぷっと笑うと悠斗も満面の笑顔を見せる。
「フルコンプ♪」
「えっ? なにが?」
「瀬菜の顔コレクション。笑顔だけまだだったから、さっきのでコンプリート♪」
「どんな遊びだよ! お前の世界観無限大だな!」
ああ……焦った。
本気で学校行かないとか言われたら、どうしようかと思ったじゃんか。
予測不能の今日の悠斗に、俺は朝から思考回路がフル回転だ。予定通りには行かない、番狂わせ……とは良くいったものだ。
そんな悠斗の頭と身体をお誕生日スペシャルでいつもよりも念入りに洗い、髪を乾かして軽くワックスをして整える。セットするのは意外と大変で、そつなくこなす悠斗に改めて感心した。
制服に着替えおばさんが用意してくれた朝食を済ませる。悠斗の時間の読みが正しかったのか、ゆったりとした朝を過ごせた。登校時間になるまで部屋で優雅にコーヒーを飲む悠斗に、ラッピングした包みを差し出した。
「これ……ちょっとした気持ち……笑うなよ?」
キョトンとする悠斗に包みを押し付け手を離す。落ちると思った悠斗は慌てた様子でラッピングを空中でキャッチし、座り込んで包みを見つめていた。
「プレゼント! お前なんか反応しろよ。見ていてもしょうがないだろ⁉︎」
俺がそう言うと消え入りそうな声で悠斗が言う。
「……だって、瀬菜のプレゼントはさっき……夜這いしてくれたから」
「あれがプレゼントって……そんな訳あるか‼︎ あれは単なるサプライズ!」
夜這いをプレゼントだと勘違いしていたらしい悠斗は、呆けた表情で俺を見上げてからへにゃりと顔を緩めた。
「えへへっ……開けてもいいの?」
幸せそうに笑っている悠斗は、俺の頷きにキラキラした瞳でリボンを解き始めた。その姿はまるで飼い犬みたいで、明け方にちょこっと出現した狼には到底見えなかった。
俺、錯覚が見える……。
悠斗に尻尾が生えてる……。
パタパタと喜びの表現をする犬の尻尾。
すげぇ……可愛いんだけど……。
ワンコみたいな悠斗を眺めていると、俺もつられて笑顔になってしまう。
動き出したと思えば固まり、しばらくすると動き出す。何度もそれを繰り返し「わぁ~~♪」と、言葉にならない遠吠えのような声を上げる悠斗。
大袈裟過ぎるリアクションは嬉しいが、本当に大したものではないので俺が戸惑ってしまう。
「綺麗な色だね……勿体ないな……どうしよう」
「どうしようって……」
頰にそれをスリスリとしている悠斗。そんな風に扱うものではない。悠斗の焦ったさに我慢ができず俺はそれを引き抜いた。
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