226 / 716
第6幕 計画は入念に、愛情込めて
32
しおりを挟む
「凄い……ハルが出て来たみたい」
「三浦さんの腕がいいのか、元がいいのか」
「これまた……想像以上だね~♪」
「私もビックリだよー。もうもう! 自分でやっておきながら、ため息しか出なかった」
「三浦さんの腕がいいんだよ。人って変わるもんだね? 瀬菜のナギも早く見てみたいな♡」
「ああ、そうだった! こんな美味しい……いやいや、瀬菜っちの番だよー♪」
衣装を渡され、前回同様に着替えに向かう。悠斗をもっとゆっくり眺めていたかったが、時間も限られている。一度着た衣装は、今回すんなりと着替えられた。
更衣室を出ると悠斗と多澤の姿が見当たらず首を傾げてしまう。村上に聞くと完成形を見たいと、わざわざ別室で知識のない多澤とセラゾアニメを観に行ったとか。
化粧台に座りパタパタとお化粧をしてもらう。
「立花君が、まさかセラゾにこんなにハマるなんて思っていなかった! 私的には仲間ができて嬉しいけど♪」
「俺も悠斗がこんなにハマるなんて……。もしかしてさっき、悠斗とずっとアニメ話していたの? 変な知識植え付けていないよね?」
疑うように三浦さんに言うと、視線を逸しとぼけたような顔をした。
「ふふふっ……変な知識って? まぁ、どちらかといえば、瀬菜っちの惚気? みたいな?」
「マジか……ねぇ、三浦さんって実物の男同士でも大丈夫なわけ? やっぱ二次元とは違うじゃん」
「まぁ、ビジュアルとか、人柄にもよるかもだけど……二人は全然OKだよー。てかむしろ萌え死にしそう。こんなにいっぱいキスマーク付けちゃって。アー、鼻血出そう……」
鼻息荒く三浦さんは鏡越しに俺の首筋をガン見している。それに釣られるように、村上も視線を向けてくる。
「グフフッ! 確かに今日はベッタリだね。柳ちゃん、仲直りしたばかりだし仕方ないよね~」
「やばくない⁉ 身体中紅い薔薇の花びら散ってるとか?」
「ひゃッ! やぁッ、やめてよ! め、捲るなぁ~!」
シャツの襟をベロンと捲られ肌色部分をチェックされる。まさか女子にそんな卑猥なことをされるとは思わず、変な声を上げてしまう。
「……エロ……声とかもドストライク。ちんこないけど、私完勃ちしそう……じゅるりッ」
「あはは~! 三浦さん! おっさん化してる。一応女子なんだから、ちんこはやめて」
ここに悠斗が居なくてマジ良かった……。
女子に対して優しい悠斗でも、逆セクハラにはダメだろ……てか、俺がお仕置きされる。
「ちょっと! 撮影の時間なくなっちゃうよ! 俺で遊ぶな!」
「もうちょいだし! 村上君そろそろ二人呼んで来て~♪」
「了解ーー♪」
テキパキと化粧を施し、ウイッグとうさ耳を着けるとあっという間にナギに変身する。いいタイミングで悠斗達が部屋に入ってくると、案の定、悠斗は扉の前で固まっていた。
「うわっ……なるほどね~。こりゃ悠斗がアニメにハマる訳だ」
「柳ちゃんって、本当になんでも似合うー。俺も三浦さんと一緒に二人を撮るから!」
「村上君に私のお古のカメラだけどあげちゃった♪ それじゃ、ダブルで撮影開始~♪」
この一体感なんなんだ……。
うぅぅ………超緊張して来た……。
二人掛りでカメラを向けられると、流石にガチガチになってしまう。多澤はレフ板を持ち光の調整をするらしく、前回よりも本格的な撮影に俺は挙動不審だ。
どうすればいいのだろうかと突っ立っていると、ふわりと背中から抱きしめられた。硬直していたはずの悠斗は忍びのように俺の傍に歩み寄っていた。フーッと喉を鳴らし、吐息が首筋にかかると、身体がビクンと跳ねてしまう。
「瀬菜……可愛い……ナギより可愛いなんて反則。襲いたい……突っ込んでグチャグチャにしたい」
不穏な言葉をさらりと発する悠斗に、危険を察知し注意を促す。
「アホ! 待てだぞ!」
「俺犬じゃなくて、狼なんだけどな」
「同じようなもんだろ! いいか? まーて! だぞ」
「待ったらご主人様はご褒美くれるってことだよね? 楽しみ♪」
「三浦さんの腕がいいのか、元がいいのか」
「これまた……想像以上だね~♪」
「私もビックリだよー。もうもう! 自分でやっておきながら、ため息しか出なかった」
「三浦さんの腕がいいんだよ。人って変わるもんだね? 瀬菜のナギも早く見てみたいな♡」
「ああ、そうだった! こんな美味しい……いやいや、瀬菜っちの番だよー♪」
衣装を渡され、前回同様に着替えに向かう。悠斗をもっとゆっくり眺めていたかったが、時間も限られている。一度着た衣装は、今回すんなりと着替えられた。
更衣室を出ると悠斗と多澤の姿が見当たらず首を傾げてしまう。村上に聞くと完成形を見たいと、わざわざ別室で知識のない多澤とセラゾアニメを観に行ったとか。
化粧台に座りパタパタとお化粧をしてもらう。
「立花君が、まさかセラゾにこんなにハマるなんて思っていなかった! 私的には仲間ができて嬉しいけど♪」
「俺も悠斗がこんなにハマるなんて……。もしかしてさっき、悠斗とずっとアニメ話していたの? 変な知識植え付けていないよね?」
疑うように三浦さんに言うと、視線を逸しとぼけたような顔をした。
「ふふふっ……変な知識って? まぁ、どちらかといえば、瀬菜っちの惚気? みたいな?」
「マジか……ねぇ、三浦さんって実物の男同士でも大丈夫なわけ? やっぱ二次元とは違うじゃん」
「まぁ、ビジュアルとか、人柄にもよるかもだけど……二人は全然OKだよー。てかむしろ萌え死にしそう。こんなにいっぱいキスマーク付けちゃって。アー、鼻血出そう……」
鼻息荒く三浦さんは鏡越しに俺の首筋をガン見している。それに釣られるように、村上も視線を向けてくる。
「グフフッ! 確かに今日はベッタリだね。柳ちゃん、仲直りしたばかりだし仕方ないよね~」
「やばくない⁉ 身体中紅い薔薇の花びら散ってるとか?」
「ひゃッ! やぁッ、やめてよ! め、捲るなぁ~!」
シャツの襟をベロンと捲られ肌色部分をチェックされる。まさか女子にそんな卑猥なことをされるとは思わず、変な声を上げてしまう。
「……エロ……声とかもドストライク。ちんこないけど、私完勃ちしそう……じゅるりッ」
「あはは~! 三浦さん! おっさん化してる。一応女子なんだから、ちんこはやめて」
ここに悠斗が居なくてマジ良かった……。
女子に対して優しい悠斗でも、逆セクハラにはダメだろ……てか、俺がお仕置きされる。
「ちょっと! 撮影の時間なくなっちゃうよ! 俺で遊ぶな!」
「もうちょいだし! 村上君そろそろ二人呼んで来て~♪」
「了解ーー♪」
テキパキと化粧を施し、ウイッグとうさ耳を着けるとあっという間にナギに変身する。いいタイミングで悠斗達が部屋に入ってくると、案の定、悠斗は扉の前で固まっていた。
「うわっ……なるほどね~。こりゃ悠斗がアニメにハマる訳だ」
「柳ちゃんって、本当になんでも似合うー。俺も三浦さんと一緒に二人を撮るから!」
「村上君に私のお古のカメラだけどあげちゃった♪ それじゃ、ダブルで撮影開始~♪」
この一体感なんなんだ……。
うぅぅ………超緊張して来た……。
二人掛りでカメラを向けられると、流石にガチガチになってしまう。多澤はレフ板を持ち光の調整をするらしく、前回よりも本格的な撮影に俺は挙動不審だ。
どうすればいいのだろうかと突っ立っていると、ふわりと背中から抱きしめられた。硬直していたはずの悠斗は忍びのように俺の傍に歩み寄っていた。フーッと喉を鳴らし、吐息が首筋にかかると、身体がビクンと跳ねてしまう。
「瀬菜……可愛い……ナギより可愛いなんて反則。襲いたい……突っ込んでグチャグチャにしたい」
不穏な言葉をさらりと発する悠斗に、危険を察知し注意を促す。
「アホ! 待てだぞ!」
「俺犬じゃなくて、狼なんだけどな」
「同じようなもんだろ! いいか? まーて! だぞ」
「待ったらご主人様はご褒美くれるってことだよね? 楽しみ♪」
0
お気に入りに追加
236
あなたにおすすめの小説
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
壊れた番の直し方
おはぎのあんこ
BL
Ωである栗栖灯(くりす あかり)は訳もわからず、山の中の邸宅の檻に入れられ、複数のαと性行為をする。
顔に火傷をしたΩの男の指示のままに……
やがて、灯は真実を知る。
火傷のΩの男の正体は、2年前に死んだはずの元番だったのだ。
番が解消されたのは響一郎が死んだからではなく、Ωの体に変わっていたからだった。
ある理由でαからΩになった元番の男、上天神響一郎(かみてんじん きょういちろう)と灯は暮らし始める。
しかし、2年前とは色々なことが違っている。
そのため、灯と険悪な雰囲気になることも…
それでも、2人はαとΩとは違う、2人の関係を深めていく。
発情期のときには、お互いに慰め合う。
灯は響一郎を抱くことで、見たことのない一面を知る。
日本にいれば、2人は敵対者に追われる運命…
2人は安住の地を探す。
☆前半はホラー風味、中盤〜後半は壊れた番である2人の関係修復メインの地味な話になります。
注意点
①序盤、主人公が元番ではないαたちとセックスします。元番の男も、別の女とセックスします
②レイプ、近親相姦の描写があります
③リバ描写があります
④独自解釈ありのオメガバースです。薬でα→Ωの性転換ができる世界観です。
表紙のイラストは、なと様(@tatatatawawawaw)に描いていただきました。
薫る薔薇に盲目の愛を
不来方しい
BL
代々医師の家系で育った宮野蓮は、受験と親からのプレッシャーに耐えられず、ストレスから目の機能が低下し見えなくなってしまう。
目には包帯を巻かれ、外を遮断された世界にいた蓮の前に現れたのは「かずと先生」だった。
爽やかな声と暖かな気持ちで接してくれる彼に惹かれていく。勇気を出して告白した蓮だが、彼と気持ちが通じ合うことはなかった。
彼が残してくれたものを胸に秘め、蓮は大学生になった。偶然にも駅前でかずとらしき声を聞き、蓮は追いかけていく。かずとは蓮の顔を見るや驚き、目が見える人との差を突きつけられた。
うまく話せない蓮は帰り道、かずとへ文化祭の誘いをする。「必ず行くよ」とあの頃と変わらない優しさを向けるかずとに、振られた過去を引きずりながら想いを募らせていく。
色のある世界で紡いでいく、小さな暖かい恋──。
ハッピーエンド
藤美りゅう
BL
恋心を抱いた人には、彼女がいましたーー。
レンタルショップ『MIMIYA』でアルバイトをする三上凛は、週末の夜に来るカップルの彼氏、堺智樹に恋心を抱いていた。
ある日、凛はそのカップルが雨の中喧嘩をするのを偶然目撃してしまい、雨が降りしきる中、帰れず立ち尽くしている智樹に自分の傘を貸してやる。
それから二人の距離は縮まろうとしていたが、一本のある映画が、凛の心にブレーキをかけてしまう。
※ 他サイトでコンテスト用に執筆した作品です。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
【完結】浮薄な文官は嘘をつく
七咲陸
BL
『薄幸文官志望は嘘をつく』 続編。
イヴ=スタームは王立騎士団の経理部の文官であった。
父に「スターム家再興のため、カシミール=グランティーノに近づき、篭絡し、金を引き出せ」と命令を受ける。
イヴはスターム家特有の治癒の力を使って、頭痛に悩んでいたカシミールに近づくことに成功してしまう。
カシミールに、「どうして俺の治癒をするのか教えてくれ」と言われ、焦ったイヴは『カシミールを好きだから』と嘘をついてしまった。
そう、これは───
浮薄で、浅はかな文官が、嘘をついたせいで全てを失った物語。
□『薄幸文官志望は嘘をつく』を読まなくても出来る限り大丈夫なようにしています。
□全17話
無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話
タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。
「優成、お前明樹のこと好きだろ」
高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。
メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる