王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第6幕 計画は入念に、愛情込めて

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 待っている間に、ふと疑問に思ったことを多澤と村上に尋ねた。

「なぁ……ところでさ、お前らは今日なんで来たの?」
「罰ゲームの見届け。お前ら二人でちゃんと三浦さんに貢献できるか不安じゃん」
「俺は罰ゲームもだけど、純粋に見たいってのと、三浦さんにカメラ習うお願いしたんだ♪」

 それとなく言う二人だが、要は好奇心というやつらしい。

「あのさ、その罰ゲームだけど、なんで俺寄りなの? 絶対多澤の提案だろ? 村上は急にカメラとか、どうしたんだ?」
「ちゃんと公平だろ? まぁ、悠斗はアレだ……。瀬菜は相変わらず被害妄想激しくて困るな」
「あはは~。王子はアレだもんね~。①はオマケ。ラブラブになれたみたいで、良かったっしょ! カメラはほら、王子のアレに使えそうだなって」

 アレとはどれだろうか。日本人特有の表現方法に首を傾げるのは俺ひとり。相変わらず鈍感だと二人から突っ込まれ、俺の理解能力が足りないとため息をつかれる。
 俺の質問には答え終わったと、多澤の興味は薄い本に注がれていた。

「しかし、この本凄いな……。うわぁ~、エロッ! BLってなんでこんな人気なんだろな。俺には理解できん。けど悠斗がハマるとは、世の中なにがあるか分からんな」
「アニメは子供にも人気っぽいよ? 王子がハマったのは、主人公が柳ちゃんになんとなく似ているからじゃん? BLに関しては三浦さんがコンコンと説明してくれはずだよ」

 村上がそう言うと、多澤は嫌そうな顔で「説明なんて聞きたかねぇよ」と言い、表紙に描かれたナギと俺を交互に見比べる。

「まぁ、似てるっちゃ……似てんな」
「全然似てなくね? そうだ! 俺がナギコスしたら、悠斗の制御頼むな!」
「んーー、無理じゃん? もういまさらだし諦めて♪」
「そうだぞ瀬菜。なんならみんなの前でプレイしたらどうだ? きっと吹っ切れるぞ」
「お前らマジで鬼だな! プレイってなんだよ!」
「ほら、これとかいいんじゃね?」

 多澤が本を広げ指差したページは、昨夜悠斗にされた駅弁スタイルが描写されていた。俺は瞬時に昨日のことを思い出してしまい、ブワッと真っ赤なゆでダコ状態になってしまう。

「おお、真っ赤。実戦済みかよ」
「柳ちゃんと王子の致してるところなら、見てて違和感なさそう。てか抜けそうだよなー」
「──ッ‼ ぬ、ぬ、ぬぅーーっ、俺達をそんな卑猥に観察するな~~ッ!」

 こ、こいつら……。
 羞恥心が欠落してないか?
 見世物じゃないわ!
 はっ! 罰ゲーム……エッチシーン見せてとかじゃなくて、マジ安心……。

 好き放題言い出す二人。悠斗が居ないのをいいことに、話がおかしな方向へと進んで行く。俺弄りに涙ぐんでいると、タイミング良く扉が開き、三浦さんに撮影室に案内された。


 撮影部屋に入ると、うしろ姿の悠斗が大きな鏡の前に佇んでいた。
 黒々とした艶やかなストレートの長い髪を毛先のほうで緩く結び、黒い細身のロングコートを羽織っている。頭には今にも動き出しそうなひょこりと尖った狼の耳。お尻の辺りには、毛先の白い灰色のボリューム豊かなふわふわな尻尾。スラリと長身で細身のシルエットは、バランスが良くカッコイイという表現がぴったりだ。
 俺達の気配に気付いたのか、悠斗は優雅に振り向きコートと尻尾を揺らす。
 スカイブルーの瞳はシベリアンハスキーのような淡い色をしている。目尻に薄く朱色が入り、悠斗のきめ細かい白い肌が際立ち妙な色香を放っている。
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