王子×悪戯戯曲

第6幕 計画は入念に、愛情込めて

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　今日から中間テストです。一日二教科から三教科。最後まで足掻くには、まだまだ有効なスケジュールだ。苦手な英語は運良く最終日のため、まだチャンスは残っている。
　答案用紙を前から順番配られ、先生の始めという合図と共に表に紙を返す。得意なものから早速始める。それは誰もができるが重要なこと。名前の記入である。なにを馬鹿なことを言っていると呆れるなかれ。これを忘れたら０点と同等になる。
　緊張と引っ掛け問題に気をつけながら、問題をよく読み解いていく。頭の中の引き出しには、ここ数日で詰め込んだ情報がたまに喧嘩をし、俺の脳内情報を混乱させる。

　詰め込み勉強も問題だな……。
　えっと……おおっ、確かこれやった……けどなんだっけ？

　そんなことを繰り返し時計を見ると、あまり時間がなく焦ってしまう。思い出す箇所を先に解き、解けないところを後回しにしながら空白を埋めていく。人はテンパると一気に覚えたことが真っ白に抜けていく。
　先生がそこまでと声を上げると、答案用紙を前に回しながら回収される。シーンと静まり返る室内がざわめき、張り詰めた空気から解放される。休み時間も次のテストの問題の予測を三馬鹿トリオとしながら、少しでもいい点を取れるように問題を出し合う。
　次の科目になると気持ちを切り替えて挑んでいく。最初の科目のときよりは落ち着いて対応することができ、手応えもあった。なんとなくテスト中の独特な空気にも慣れ、午後からは昼食をみんなで取りながら、次の日の科目のためにまた勉強をして……そんな日々を何日か過ごし、あっという間に中間テストが終了した。



　空に向かって大きく伸びをする。

「ふぁ～～ッ‼︎　終わったぁ～～～～‼︎」
「ふふっ、手応えはあった？」

　下校中に悠斗と二人でテストについて報告し合う。

「いつもよりは結構解けたと思うけど……今回引っ掛け多くなかった？」
「確かに、先生意地悪だなって思った科目もあったね」
「先生の採点、甘くなんないかな」
「そこはもう神頼みだね。目標点達成していたらいいね」

　ここ数日は普段そこまで使用しない脳みそをフル活動させたせいで、疲れがどっと出てしまった。中間テストは科目も少ないため、テスト明けの休みはなく通常運転だ。
　頭の中をスッキリさせたくて、悠斗にパフェを食べに行きたいとおねだりする。ファミレスまで向かい、チョコレートパフェで糖分補給をした。

「甘い～～♪　美味しい～～♪　お前も食べる？」
「ううん。大丈夫、あとで貰うから」
「あとで？　そんなこと言っている内に全部食べちゃうぞ！」
「うん、好きなだけ食べて？」

　ニッコリ微笑まれ悠斗は苦い大人コーヒーを啜る。あとって言ってもな……と思うが、甘い誘惑は俺の脳に染み渡り幸福を与えていく。

「瀬菜って甘いもの結構食べてるのに、本当に太らないね」
「確かに……今はいいけど年取ったら一気に太りそう……」
「クスッ……大丈夫だよ。それ以上に動いて消費すれば」
「やっぱりなにか運動とかしたほうがいいよなー」
「結構運動してると思うけど？　あれじゃ足りないかな？」
「どれ？　俺通学だけじゃん。今度さ、山登りとかハイキングとかしたいな」
「そうだね。暖かくなったらみんなで行くのもいいね」
「あとあと～、俺バイトとかもしたいなー」

　俺がそう言うと、テンポ良く話していた悠斗は一瞬口を閉ざす。