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第6幕 計画は入念に、愛情込めて
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撮影を無事? 終えなにかを失った気分でいると、三浦さんから今日のコスキャラクターが出ているDVDと、薄い本を何冊か渡された。本は読んだら返却してねと言われ、大切なものなのだなと頷く。
荷物はそこそこあったが、もう一度買い物をして帰ると村上に伝えると、付き合うと言われ一緒に駅前の商業施設に向かった。
目当てのものは雑貨屋さんですぐに見つかり、村上にどうするのか聞かれたが笑うだけにしておいた。村上を信用していない訳ではないが、なんとなく自分の胸だけに留めておきたかった。
買い物を済ませると駅で村上と別れ家路に着く。
そういえばひとりで帰るの久々……。
ひとりが嫌という訳ではないが、物足りなさを感じてしまう。誰かが横に居ることが当たり前になっていたのだ。それと同じように、自分はみんなに守られていたことも実感する。
「ただいまー」
誰も居ない家に声を掛け自室に向かう。袋から購入したものを取り出し、今日教えてもらったをこと忘れないうちに復習する。一時間ほど没頭すると休憩がてら、本棚から昔のアルバムを手に取り感傷に浸る。
小さい頃は友達も大勢居た。けれど六歳のあの夏、悠斗に出会ってからのアルバムは悠斗でいっぱいだった。こんな子も居たなーと、たまに写っている今は交流のない昔の仲間を思い出す。
それからしばらくすると、スマホが鳴りメッセージを受信する。
『お買い物終わった? 戻ったら夕飯食べに来ない?』
ホッコリとするメッセージにすぐに行くと答えると、クローゼットに作りかけのプレゼントを仕舞い悠斗の家へ向かった。
「いらっしゃい。瀬菜ちゃん」
「こんばんは、おばさん。今日もご馳走になります!」
悠斗の家に到着すると、悠斗ではなく珍しくおばさんが迎えてくれる。
「うふふ……今日はね、悠くんがお夕飯作ってくれたから、おばさんなにもしていないのよ?」
「そうなの?」
「ええ、そうなのよ。今日は楽させてもらったわ。あの子ってば一日中家事やってくれて、なにかしていないとヤキモキするからって。一体どうしたのかしらね?」
「ヤキモキ? ……なんでかな? あのね、おばさんに頼みがあって。悠斗の昔の写真とかってある?」
「あるわよ? 急にどうしたの?」
「さっき自分のアルバム見ていたんだ。悠斗の写真、六歳以降のしかなかったから、それ以前のやつ見たくっなっちゃって……へへっ」
「確かに瀬菜ちゃんは生まれたときの悠くんとか、あまり見たことないものね。勝手なことすると悠くんに怒られそうだし、内緒で渡すわね?」
「うん、ありがとう!」
リビングの扉を開けると、悠斗がエプロン姿で出迎えてくれた。
「ずいぶん可愛らしいエプロンだな!」
「母さんに渡されてね? フリフリで似合うでしょ?」
「へへっ、結構似合っているんじゃないか? 今日は悠斗が作ったって聞いたけど……凄いな。どんだけ時間掛かったんだ? お祝いみたいだ」
「一日じっくり時間あったしね。冷めないうちにみんなで食べよ」
メッセージを受信したときは気軽な夕飯だと思っていたが、テーブルに並べられたボリュームに驚いてしまう。ローストビーフに添えられたマッシュポテト、ロシアの名物ボルシチとピロシキ、コブサラダにパエリアと無国籍で彩だけでも楽しげだ。
荷物はそこそこあったが、もう一度買い物をして帰ると村上に伝えると、付き合うと言われ一緒に駅前の商業施設に向かった。
目当てのものは雑貨屋さんですぐに見つかり、村上にどうするのか聞かれたが笑うだけにしておいた。村上を信用していない訳ではないが、なんとなく自分の胸だけに留めておきたかった。
買い物を済ませると駅で村上と別れ家路に着く。
そういえばひとりで帰るの久々……。
ひとりが嫌という訳ではないが、物足りなさを感じてしまう。誰かが横に居ることが当たり前になっていたのだ。それと同じように、自分はみんなに守られていたことも実感する。
「ただいまー」
誰も居ない家に声を掛け自室に向かう。袋から購入したものを取り出し、今日教えてもらったをこと忘れないうちに復習する。一時間ほど没頭すると休憩がてら、本棚から昔のアルバムを手に取り感傷に浸る。
小さい頃は友達も大勢居た。けれど六歳のあの夏、悠斗に出会ってからのアルバムは悠斗でいっぱいだった。こんな子も居たなーと、たまに写っている今は交流のない昔の仲間を思い出す。
それからしばらくすると、スマホが鳴りメッセージを受信する。
『お買い物終わった? 戻ったら夕飯食べに来ない?』
ホッコリとするメッセージにすぐに行くと答えると、クローゼットに作りかけのプレゼントを仕舞い悠斗の家へ向かった。
「いらっしゃい。瀬菜ちゃん」
「こんばんは、おばさん。今日もご馳走になります!」
悠斗の家に到着すると、悠斗ではなく珍しくおばさんが迎えてくれる。
「うふふ……今日はね、悠くんがお夕飯作ってくれたから、おばさんなにもしていないのよ?」
「そうなの?」
「ええ、そうなのよ。今日は楽させてもらったわ。あの子ってば一日中家事やってくれて、なにかしていないとヤキモキするからって。一体どうしたのかしらね?」
「ヤキモキ? ……なんでかな? あのね、おばさんに頼みがあって。悠斗の昔の写真とかってある?」
「あるわよ? 急にどうしたの?」
「さっき自分のアルバム見ていたんだ。悠斗の写真、六歳以降のしかなかったから、それ以前のやつ見たくっなっちゃって……へへっ」
「確かに瀬菜ちゃんは生まれたときの悠くんとか、あまり見たことないものね。勝手なことすると悠くんに怒られそうだし、内緒で渡すわね?」
「うん、ありがとう!」
リビングの扉を開けると、悠斗がエプロン姿で出迎えてくれた。
「ずいぶん可愛らしいエプロンだな!」
「母さんに渡されてね? フリフリで似合うでしょ?」
「へへっ、結構似合っているんじゃないか? 今日は悠斗が作ったって聞いたけど……凄いな。どんだけ時間掛かったんだ? お祝いみたいだ」
「一日じっくり時間あったしね。冷めないうちにみんなで食べよ」
メッセージを受信したときは気軽な夕飯だと思っていたが、テーブルに並べられたボリュームに驚いてしまう。ローストビーフに添えられたマッシュポテト、ロシアの名物ボルシチとピロシキ、コブサラダにパエリアと無国籍で彩だけでも楽しげだ。
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