王子×悪戯戯曲

そら汰★

文字の大きさ
上 下
199 / 716
第6幕 計画は入念に、愛情込めて

05

しおりを挟む
「いやだな~。隠さなくても分かるって! 気付いたのはメイド服買い取るって言われたときだけど、普通いくら親友が可愛いからって、女性物をわざわざ買わないでしょ? 私、腐女子だから理解はあるし、むしろ美味しくて……グフフ……美形だし……許せるっていうか……どうしようニヤケが……グフッ」

 三浦さんの言動がややキモイです。

「……ああー、へえー……、そうなんだー……」
「うん、そうだよ? だからね、妬いちゃうかなって」

 俺の周り、同性同士の恋愛に寛大過ぎやしないか?
 そりゃ……偏見なくて助かるけど……。
 麻痺していつか免疫ない人にポロッとゲロしそう。

 気持ち悪いと言われるよりはもちろん安心できる。けれど三浦さんの反応に底知れないなにかを感じ、ブルっと背中に震えが走っていく。

 ああ、俺の恋愛事情がドンドン広まってしまう……。
 
「あ、うん。確かに悠斗は怒るというか疑うかも」
「やっぱりそうだよね~。溺愛執着型だよね~♪ 萌える~~♪ いっそのことやきもち妬かせて、お仕置き監禁コースもありだよ? そのときはどうなったか、是非教えて欲しいなぁ~♡」
「イヤ、ダイジョウブ……村上も連れて行くから」

 妄想を繰り広げる三浦さんに待ったをかけるように、確認ではなく村上同伴という確定事項を伝える。残念そうにする三浦さんは「BL万歳~♡」と意味不明なことを言っていた。
 買い物ついでに、この間お願いされたモデルのテスト撮影をさせて欲しいと言われた。こちらから頼み事をするのに断るのはいかがかと、仕方なしに了承する。
 そんな俺と三浦さんの組み合わせが珍しかったのか、村上が声を掛けてきた。

「あっ、村上丁度良かった! 例のあれ、目処が立ったから、三浦さんに協力してもらうことにしたんだ! でさ、今週の土曜日空いてる? てか空けて?」
「おお、早速? 柳ちゃんにしては迅速だね~。予定なにもないし構わんよ。だけど王子になんて言うの?」
「う~ん……普通に村上と買い物……で、良くない? 変に隠すと怪しまれるし」
「なら、柳ちゃんのじゃなくて、俺の買い物にしたほうがいいよ。じゃないと、俺と行けばいいでしょ? とか言いそうだし!」
「うぉ~、村上賢い! 悠斗の性格、お前も段々理解して来たんだな……」
「いや、王子は柳ちゃんのことになると、単純だからね~♪」
「それで、三浦さんにも付き合ってもらうことになって、そのあと三浦さんちに行くんだ。この間話していたモデルを兼ねて」
「綺麗に可愛く撮って撮りまくるよ~♪ で、最終的にはコミケの出版用に使わせてもらうから!」

 相談相手間違えたかな……。
 俺、本に載っちゃって平気なのか?

 不安そうにしていると、三浦さんは俺とは分からないように変身させるから大丈夫だと言ってくれる。確かに女装メイドのクオリティーを見れば納得だが、俺なんかで本当にいいのだろうかと心配にはなる。
 これも悠斗の笑顔のため。それだけを糧に頑張れ俺と、自らを奮い立たせた。


***


 朝早くから俺は駅に向かっていた。今日は土曜の休日だ。先日三浦さんに相談していた買い物に行くことになっていた。お店が開く時間を目安に駅前で待ち合わせをする。
 悠斗に村上の買い物に付き合うから出掛けると言うと、妙に物分かりが良く、逆に気持ち悪かったが深くは追及されずに済んだ。文化祭で不審な二人を捕まえ、そこまで警戒しなくて大丈夫だろうと思ってくれたのかもしれない。
 目的のお店に到着すると、店内は女性のお客さんが多めだ。村上に同行してもらい正解だった。三浦さんのレクチャーを受けながら必要なものを買い揃えていく。

 うん、これが悠斗らしい。
 これにしよう……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

契約書は婚姻届

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「契約続行はお嬢さんと私の結婚が、条件です」 突然、降って湧いた結婚の話。 しかも、父親の工場と引き替えに。 「この条件がのめない場合は当初の予定通り、契約は打ち切りということで」 突きつけられる契約書という名の婚姻届。 父親の工場を救えるのは自分ひとり。 「わかりました。 あなたと結婚します」 はじまった契約結婚生活があまー……いはずがない!? 若園朋香、26歳 ごくごく普通の、町工場の社長の娘 × 押部尚一郎、36歳 日本屈指の医療グループ、オシベの御曹司 さらに 自分もグループ会社のひとつの社長 さらに ドイツ人ハーフの金髪碧眼銀縁眼鏡 そして 極度の溺愛体質?? ****** 表紙は瀬木尚史@相沢蒼依さん(Twitter@tonaoto4)から。

その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました

海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。 しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。 偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。 御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。 これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。 【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】 【続編も8/17完結しました。】 「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785 ↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど

野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。 愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。 それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。  ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。 イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?! □■ 少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです! 完結しました。 応援していただきありがとうございます! □■ 第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

処理中です...