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第6幕 計画は入念に、愛情込めて
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しおりを挟む波乱に満ちた文化祭が終わりひと息吐く間もないまま、中間テストという難関が控えていた。夏休み中の膨大な宿題のおかげか、ある程度学力は身についている。躍起になるなることはないが、俺の貧弱な脳みそでは勉強をしなければ赤点真っしぐらである。
そんなときは俺の救世主。悠斗大先生の出番である。科目は少ないが覚えることはそれなりにある。四人の中でも俺が一番できが悪く、それなりにプレッシャーを感じていた。
「悠斗は瀬菜を教えながらなのに、余裕でいい点取るよな」
「でも、柳ちゃんだって滅茶苦茶悪い訳じゃないよ?」
「そりゃ……見てみろよ。マンツーマンだから当たり前だろ? あれで平均点以下なら悠斗が教える意味ねぇよ」
「なるほど……。王子はなんだかんだ、やっぱりすげーできる人間なんだな。顔良し、頭良しって羨ましいわー。まぁ、ちょっと変わり者には違いないけど」
俺が一生懸命勉強しているというのに、多澤と村上は休憩ばかりで俺と悠斗を観察している。
「ちょっとお前ら、さっきからうるさい! 気が散るだろ!」
「村上君? 今僕のことさらりと変態って言ったでしょ。君にいわれたくないんだけど」
「変わり者って言ったの! 変態とは言ってないっしょ!」
「お前らも少し休憩したら? 一気に詰め込むと瀬菜の脳みそ溶けるぞ」
二人のせいで気が散ってしまい、頭に入ってこないので休憩をする。
「やっぱりさ、頭がいいのって遺伝なのかな? うちのおふくろもオヤジも頭いいはずなんだけどな……。俺ってばどうしてこんなに物覚え悪いんだろ」
「遺伝も少しは関係あるみたいだよ? でも別に頭が良ければいいって訳じゃないし、社会に出たら気配りとか空気読むほうが重要じゃないかな?」
「ははっ……瀬菜、全く空気読めねぇし!」
「柳ちゃんは、ここぞというときに力を発揮しているよー。大丈夫、大丈夫ー♪」
周りがハイスペックだと、平均並みでもできが悪く見えてしまうのは、なんて悲しい現実なのだろうか。
人は人……だよなー……。
遥か遠くを眺めながら自分で自分を励ます。
「瀬菜は将来俺のお嫁さんだし、別に今のままでも問題ないよ?」
「悠斗……それ俺に成長するなって言ってんの? お前と居ると、俺はお前のために生まれて来たんじゃないのかと、錯覚するんだけど……」
「えっ……俺のためでしょ? 違うの⁉︎」
「違うわいっ‼︎」
「夫婦漫才やめろよな」
「でも、この光景はずっと見ていたいわ。おもしろー♪」
イベントもなく淡々とした平凡で平和な日常。
こんな時間は本当にただただ過ぎて行く。
でも、それがとても幸せだ。
イベント……。
ハロウィンパーティ?
ああ、女装か……。祐一さんと約束だったし、村上と多澤もお呼ばれしているんだった。
あれ? ハロウィンは十月三十一日。
「なぁ悠斗。小腹が空いた。頭使ったから、俺はシロップたっぷりの甘~いホットケーキが食べたい」
「えっ? さっき夕飯いっぱい食べていたけど……本当に食べるの?」
「うん、食べる! アイスが乗っていたら最高だな!」
「いいけど……材料あるかな?」
「足りない材料は俺達で買いに行ってくるから、悠斗は準備進めてて!」
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