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第4幕 盛り沢山な夏休み
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そっと息を吐き心の中で呟く。横に座っていた村上が立ち上がると、王子交代~と間延びした声で悠斗に駆け寄っていた。離れた場所から村上がVサインを送ってくる。そんな村上の姿に気が抜け頬が綻ぶ。どうやら心の呟きが顔に出ていたようだ。
打ち上げ花火をやり終えると、最後は締めの線香花火だ。四人で花火を囲みながら、誰が一番最初に火種を落とすか対決をする。しんみりとしながらやる線香花火も乙だが、そこは高校生らしい。
「負けた奴は買い出しなー」
多澤がニヤッとしながら罰ゲームを決める。
「おっしゃ~! 負けないぞ~!」
「うわー……俺、絶対ダメな気がする……」
「瀬菜が負けたら一緒に行くから」
「王子! それ罰ゲームにならないじゃん!」
「過保護にもほどがあるぞ……やだねぇー」
「俺、負けたらちゃんとひとりで行くし!」
「みんなして責めなくてもいいでしょ」
案の定、俺が負け、みんなが片付けをしている間に罰ゲームのパシリ役になる。近くのコンビニまでそう遠くはなく、罰にしては優し過ぎるぐらいだ。
曇りのない夜空は星が綺麗で空気も澄んでいる。夜道を歩くのは嫌いじゃない。犬の鳴き声が木霊し、ほかの犬もつられて鳴いたりしている。日中には見たり聞いたりできない変化が、夜には面白いほど溢れている。
コンビニに到着すると、夏にありがちな、ガラの悪い高校生ぐらいの男子が店の前でたむろしている。絡まれないように横を通り過ぎ、店内に入り頼まれたものをカゴに入れていく。アイスをどれにするかかなり悩む。
適当にってのが一番困るんだよな……。
あいつら変なのチョイスは怒るくせに、なんでもいいとかどの口が言うんだか。
レジで袋に入れてくれるのを待ちながら外を見ると、先ほどのガラの悪いひとりがこちらをチラチラ見ていた。これはカツアゲ決定か? と、ありがちなシチュエーションに苦笑いしてしまう。
アイス……溶ける前に帰れるかな……。
どうしよう……店員さんに言って警察呼んでもらう?
つっても……まだなにもされていないし……。
「お待たせしましたー。ありがとーございましたー」
「あっ、どうも」
ため息を吐き店を出る。横を通り過ぎホッとしていると、うしろから肩を掴まれて呼び止められた。
「ねぇ~君キミ♪ 柳瀬菜だよね?」
フルネームで俺の名前を言う男に疑問と恐怖が湧く。
振り向く俺に男はにこやかな笑顔を見せるが、まるで目が笑っていない。
「……うん、写真よりずっといいね♪」
男は意味不明なことを言ってくる。背は百七十後半ぐらいでほど良い体型。真ん中分けの黒髪サラサラヘアー。瞳孔も黒々としており感情が掴みにくい。一緒に居る不良達とはタイプが異なるように見えるが、飄々とした態度が妙な不快感を与えてくる。
「──なに? 俺、お前のこと知らないぞ?」
「僕も白桜南に通っているんだ~♪ よろしくね♪ それよりこんな時間に買い物? 駄目だよ~早く帰んなきゃ」
「もう帰るところだよ」
「そっかそっか~♪ なら気を付けてね~♪」
男はすぐに俺の肩から手を離すと「また今度ね~♪」と言い、手を振ってくる。
不審な態度の男とできればあまり関わりたくないと、引っかかるものを感じながら、大ごとになる前に早々にその場を退散した。
打ち上げ花火をやり終えると、最後は締めの線香花火だ。四人で花火を囲みながら、誰が一番最初に火種を落とすか対決をする。しんみりとしながらやる線香花火も乙だが、そこは高校生らしい。
「負けた奴は買い出しなー」
多澤がニヤッとしながら罰ゲームを決める。
「おっしゃ~! 負けないぞ~!」
「うわー……俺、絶対ダメな気がする……」
「瀬菜が負けたら一緒に行くから」
「王子! それ罰ゲームにならないじゃん!」
「過保護にもほどがあるぞ……やだねぇー」
「俺、負けたらちゃんとひとりで行くし!」
「みんなして責めなくてもいいでしょ」
案の定、俺が負け、みんなが片付けをしている間に罰ゲームのパシリ役になる。近くのコンビニまでそう遠くはなく、罰にしては優し過ぎるぐらいだ。
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コンビニに到着すると、夏にありがちな、ガラの悪い高校生ぐらいの男子が店の前でたむろしている。絡まれないように横を通り過ぎ、店内に入り頼まれたものをカゴに入れていく。アイスをどれにするかかなり悩む。
適当にってのが一番困るんだよな……。
あいつら変なのチョイスは怒るくせに、なんでもいいとかどの口が言うんだか。
レジで袋に入れてくれるのを待ちながら外を見ると、先ほどのガラの悪いひとりがこちらをチラチラ見ていた。これはカツアゲ決定か? と、ありがちなシチュエーションに苦笑いしてしまう。
アイス……溶ける前に帰れるかな……。
どうしよう……店員さんに言って警察呼んでもらう?
つっても……まだなにもされていないし……。
「お待たせしましたー。ありがとーございましたー」
「あっ、どうも」
ため息を吐き店を出る。横を通り過ぎホッとしていると、うしろから肩を掴まれて呼び止められた。
「ねぇ~君キミ♪ 柳瀬菜だよね?」
フルネームで俺の名前を言う男に疑問と恐怖が湧く。
振り向く俺に男はにこやかな笑顔を見せるが、まるで目が笑っていない。
「……うん、写真よりずっといいね♪」
男は意味不明なことを言ってくる。背は百七十後半ぐらいでほど良い体型。真ん中分けの黒髪サラサラヘアー。瞳孔も黒々としており感情が掴みにくい。一緒に居る不良達とはタイプが異なるように見えるが、飄々とした態度が妙な不快感を与えてくる。
「──なに? 俺、お前のこと知らないぞ?」
「僕も白桜南に通っているんだ~♪ よろしくね♪ それよりこんな時間に買い物? 駄目だよ~早く帰んなきゃ」
「もう帰るところだよ」
「そっかそっか~♪ なら気を付けてね~♪」
男はすぐに俺の肩から手を離すと「また今度ね~♪」と言い、手を振ってくる。
不審な態度の男とできればあまり関わりたくないと、引っかかるものを感じながら、大ごとになる前に早々にその場を退散した。
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