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第3幕 溢れる疑惑
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指に垂れ始めたアイスの雫を悠斗は舐め取ると、また一口食べて俺の口に入れてくる。舌をアイスと一緒に絡めて転がす。口腔の熱でアイスは溶けてなくなり、コクリと冷たい液体が喉に流れていく。
「悠斗、普通に食べろって……ふっ……はむっ……うっ」
「食べているよ? 瀬菜と一緒に食べると、デザートって感じする。ん……っ」
「まだ、飯も食べてねぇだろ……」
「瀬菜が先に食べ出したんでしょ? でも、先に瀬菜を食べると、本当にご飯食べる時間なくなっちゃうか。夕飯の支度先しなきゃね。いい子で待っててね……ちゅっ♡」
「なんだよそれ……あーあ、手ベトベト……折角絆創膏したのに。俺、洗濯物取り込んでくる!」
悠斗に煽られたのを振り払うように洗面所で手を洗うと、二階のベランダで干していた洗濯物を取り込み手慣れた様子でたたむ。
あの匂い……この間、悠斗からした匂いに似ていた気がする……。
でも……だからなんだ?
疑問がだけが広まっていく。どこのスーパーでも同じように並ぶ商品。たまたま二人の愛用だったのかもしれない。二人でおすすめを紹介し、同じものを使用しているに過ぎないのかもしれない。
──ただそれだけのこと。
悠斗は常に俺と一緒だし……。
それは偶然だと言い聞かせるが、なぜか悪いほうへ気持ちが傾き勘繰ってしまう。ぶんぶんと首を左右に振り、淀んだ考えを散らした。
階下から記憶の匂いを上書きするように、漂ってくる匂いにハッとする。
「チキンライス? コンソメスープ? ……オムライスだ!」
階段を駆け下りリビングに向かうと、食卓にふわふわの半熟オムライスとコンソメスープ、サラダが並べられていた。
「俺の嗅覚半端ねぇ!」
「ん? 二階に居てもメニュー分かったの?」
「おう! 流石にサラダまでは分からなかったけど!」
「ふふっ……じゃ、最後の仕上げ」
『L♡VE』とケッチャプで書き上げる悠斗に吹き出してしまう。
「あははは~! お前ベタ過ぎ! ウケるー!」
「酷いなー。俺の愛情表現なのに!」
ケラケラ笑う俺に、悠斗はケッチャプを渡し「なら瀬菜はなんて書くの?」と促してくる。期待する悠斗に、うーんと唸りながら考え付いた文字を書き込む。
『巨根♡』と……。
自分でもどうかと思うが『スキ』だと悠斗と遜色がない。吹き出す悠斗に、本当は『絶倫』と書きたかったが、画数が多くて潰れてしまうと自慢げに伝えるとさらに笑われてしまう。
「瀬菜……ホントっ……もっと言葉あるでしょ……クククッ……やばい……勃ちそっ、クククッ……」
「ほら! お前そのものじゃんか!」
「いや……ククッ……違くて、これじゃ瀬菜が巨根好きみたい……だってハート、クククッ……」
「あっ……あ~~もうッ! こーしてやる!」
スプーンでケチャップ文字を潰しモグモグ食べる。
「ああ……俺の巨根が潰された……」
悠斗はそう呟きながら股間に手をやり押さえている。痛そうに顔を歪める悠斗に、早く食えと無言の圧で言葉を投げると、ふんわり美味しいオムライスを味わって完食させた。
「悠斗、普通に食べろって……ふっ……はむっ……うっ」
「食べているよ? 瀬菜と一緒に食べると、デザートって感じする。ん……っ」
「まだ、飯も食べてねぇだろ……」
「瀬菜が先に食べ出したんでしょ? でも、先に瀬菜を食べると、本当にご飯食べる時間なくなっちゃうか。夕飯の支度先しなきゃね。いい子で待っててね……ちゅっ♡」
「なんだよそれ……あーあ、手ベトベト……折角絆創膏したのに。俺、洗濯物取り込んでくる!」
悠斗に煽られたのを振り払うように洗面所で手を洗うと、二階のベランダで干していた洗濯物を取り込み手慣れた様子でたたむ。
あの匂い……この間、悠斗からした匂いに似ていた気がする……。
でも……だからなんだ?
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──ただそれだけのこと。
悠斗は常に俺と一緒だし……。
それは偶然だと言い聞かせるが、なぜか悪いほうへ気持ちが傾き勘繰ってしまう。ぶんぶんと首を左右に振り、淀んだ考えを散らした。
階下から記憶の匂いを上書きするように、漂ってくる匂いにハッとする。
「チキンライス? コンソメスープ? ……オムライスだ!」
階段を駆け下りリビングに向かうと、食卓にふわふわの半熟オムライスとコンソメスープ、サラダが並べられていた。
「俺の嗅覚半端ねぇ!」
「ん? 二階に居てもメニュー分かったの?」
「おう! 流石にサラダまでは分からなかったけど!」
「ふふっ……じゃ、最後の仕上げ」
『L♡VE』とケッチャプで書き上げる悠斗に吹き出してしまう。
「あははは~! お前ベタ過ぎ! ウケるー!」
「酷いなー。俺の愛情表現なのに!」
ケラケラ笑う俺に、悠斗はケッチャプを渡し「なら瀬菜はなんて書くの?」と促してくる。期待する悠斗に、うーんと唸りながら考え付いた文字を書き込む。
『巨根♡』と……。
自分でもどうかと思うが『スキ』だと悠斗と遜色がない。吹き出す悠斗に、本当は『絶倫』と書きたかったが、画数が多くて潰れてしまうと自慢げに伝えるとさらに笑われてしまう。
「瀬菜……ホントっ……もっと言葉あるでしょ……クククッ……やばい……勃ちそっ、クククッ……」
「ほら! お前そのものじゃんか!」
「いや……ククッ……違くて、これじゃ瀬菜が巨根好きみたい……だってハート、クククッ……」
「あっ……あ~~もうッ! こーしてやる!」
スプーンでケチャップ文字を潰しモグモグ食べる。
「ああ……俺の巨根が潰された……」
悠斗はそう呟きながら股間に手をやり押さえている。痛そうに顔を歪める悠斗に、早く食えと無言の圧で言葉を投げると、ふんわり美味しいオムライスを味わって完食させた。
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