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第3幕 溢れる疑惑
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「あー、お前、常に人が群がるもんな……」
「たまには静かに過ごしたいでしょ?」
人気者もそれはそれで大変なんだなー。
いつも笑顔って確かにストレス溜まるよな……。
「それで? 瀬菜から会いに来るの珍しいね」
「ああ、うん。その……朝の柏木さんとのこと、ちゃんと話さないとって」
冷んやりとしているコンクリートに座り、パンを二人で齧りながら朝中途半端に終ってしまっていた話をする。
「昨日の帰りがけに学校の前で、柏木さんに呼び止められてさ。オヤジとおふくろで外食だから、駅まで一緒に帰ったんだ」
「うん、それで?」
「したら……告白されて」
「うん、そしたら?」
「断ったよ。好きな人いるって、ちゃんと言った」
偉いだろとドヤ顔する俺に、悠斗は淡々と質問してくる。
「うん、それから?」
「それからって……そっ、それだけだし!」
悠斗は俺の瞳をジッと覗き込み、唇を親指で撫で付けてくる。
キスされたなど話せば絶対怒られてしまう。
「本当にそれだけ? 柏木さんはそれで納得してくれたの?」
「当たり前だろ! 悪い子じゃなかったの、悠斗も知っているだろ!」
「まぁね。瀬菜ってひとりにすると、本当に変な虫が寄って来るから」
「変なって。そんなことねぇし」
「さっきのだって、あれ、カツ揚げじゃないからね? あんまり無防備にならないでよ」
「カツ揚げにしか思えなかったぞ? 俺、普通に過ごしてるだけだもん」
悠斗はため息を吐くと、あんまり見せたくないけど……と言いながら、スマホを俺に見せてくる。
そこには俺が窓際で頬杖をつき、外を眺めている姿が写っていた。
「俺じゃん。……結構綺麗に撮れてるのな」
「はぁ~……突っ込むとこそこなの? 誰に撮られたか分からないんだよ?」
「悠斗が撮ったんじゃないの?」
首を横に振る悠斗に、もう一度画面を覗き込む。
一体誰が撮ったのだろうか。
「確かに……キモイな。でも、なんでこんな写真が?」
「さあ? 月曜に雅臣経由で回って来た。発信源はまだ不明だけど、一緒に書かれてた文面からして、おそらく男だと思う……」
「こんなの撮って、誰得なんだ?」
「それだけ気に入ってるんでしょ。そういう目で見られているって、もう少し自覚しようね?」
画像を見せられると流石に不安になる。だから悠斗は黙っていたのだ。けれど危機感を持たせるために教えてくれた。
確かに最近やたら好意を持たれるような気がする。痴漢されたり、告白されたりと立て続けで、変なフェロモンでも出ているのだろうか。自ら腕を鼻にあてクンクンしてみるが、特に変わったところはなさそうだ。
俺は悠斗だから好きになった訳だし……。
女の子が元々恋愛対象だし?
ん? けど好きになったのって……あっ、いやいや。
「なぁ、俺、変な匂いするのか?」
「ふふふっ、なにそれ。瀬菜は滅茶苦茶いい匂いだよ?」
悠斗は髪にチュッとキスをして、スンスンするから擽ったくなる。そういえば日曜から悠斗とまともにキスをしていない。
「悠斗、俺……」
上目遣いで掠れた声で囁くと苦笑いを返された。
──もうっ!
なんで苦笑いなんだよ!
まさか……一回エッチしたらやっぱり男は無理だった的なヤツか⁉︎
一回で終わらなかったけど……でもでも、俺達恋人だよな⁉︎
実は幻で、俺の勘違いなのか⁉︎
「たまには静かに過ごしたいでしょ?」
人気者もそれはそれで大変なんだなー。
いつも笑顔って確かにストレス溜まるよな……。
「それで? 瀬菜から会いに来るの珍しいね」
「ああ、うん。その……朝の柏木さんとのこと、ちゃんと話さないとって」
冷んやりとしているコンクリートに座り、パンを二人で齧りながら朝中途半端に終ってしまっていた話をする。
「昨日の帰りがけに学校の前で、柏木さんに呼び止められてさ。オヤジとおふくろで外食だから、駅まで一緒に帰ったんだ」
「うん、それで?」
「したら……告白されて」
「うん、そしたら?」
「断ったよ。好きな人いるって、ちゃんと言った」
偉いだろとドヤ顔する俺に、悠斗は淡々と質問してくる。
「うん、それから?」
「それからって……そっ、それだけだし!」
悠斗は俺の瞳をジッと覗き込み、唇を親指で撫で付けてくる。
キスされたなど話せば絶対怒られてしまう。
「本当にそれだけ? 柏木さんはそれで納得してくれたの?」
「当たり前だろ! 悪い子じゃなかったの、悠斗も知っているだろ!」
「まぁね。瀬菜ってひとりにすると、本当に変な虫が寄って来るから」
「変なって。そんなことねぇし」
「さっきのだって、あれ、カツ揚げじゃないからね? あんまり無防備にならないでよ」
「カツ揚げにしか思えなかったぞ? 俺、普通に過ごしてるだけだもん」
悠斗はため息を吐くと、あんまり見せたくないけど……と言いながら、スマホを俺に見せてくる。
そこには俺が窓際で頬杖をつき、外を眺めている姿が写っていた。
「俺じゃん。……結構綺麗に撮れてるのな」
「はぁ~……突っ込むとこそこなの? 誰に撮られたか分からないんだよ?」
「悠斗が撮ったんじゃないの?」
首を横に振る悠斗に、もう一度画面を覗き込む。
一体誰が撮ったのだろうか。
「確かに……キモイな。でも、なんでこんな写真が?」
「さあ? 月曜に雅臣経由で回って来た。発信源はまだ不明だけど、一緒に書かれてた文面からして、おそらく男だと思う……」
「こんなの撮って、誰得なんだ?」
「それだけ気に入ってるんでしょ。そういう目で見られているって、もう少し自覚しようね?」
画像を見せられると流石に不安になる。だから悠斗は黙っていたのだ。けれど危機感を持たせるために教えてくれた。
確かに最近やたら好意を持たれるような気がする。痴漢されたり、告白されたりと立て続けで、変なフェロモンでも出ているのだろうか。自ら腕を鼻にあてクンクンしてみるが、特に変わったところはなさそうだ。
俺は悠斗だから好きになった訳だし……。
女の子が元々恋愛対象だし?
ん? けど好きになったのって……あっ、いやいや。
「なぁ、俺、変な匂いするのか?」
「ふふふっ、なにそれ。瀬菜は滅茶苦茶いい匂いだよ?」
悠斗は髪にチュッとキスをして、スンスンするから擽ったくなる。そういえば日曜から悠斗とまともにキスをしていない。
「悠斗、俺……」
上目遣いで掠れた声で囁くと苦笑いを返された。
──もうっ!
なんで苦笑いなんだよ!
まさか……一回エッチしたらやっぱり男は無理だった的なヤツか⁉︎
一回で終わらなかったけど……でもでも、俺達恋人だよな⁉︎
実は幻で、俺の勘違いなのか⁉︎
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