王子×悪戯戯曲

そら汰★

文字の大きさ
上 下
29 / 716
第2幕 逃亡劇の果てに

08

しおりを挟む

 俺、男子高校生から──奴隷にジョブチェンジしました。

「瀬菜、取り敢えずフェラして?」

 ドヤ顔で悠斗は俺にそう言ってきた。

「はぁ……フェラ? なんだよそれ」
「そっか、瀬菜だった。フェラはフェラチオのことだよ? えっと、フェラチオの基本的なやり方は、この可愛いお口を広げて、俺のおちんちん咥えてから、舌で舐める。それから、唇を窄めて舌をおちんちんに絡めながら、お口から出し入れするんだよ? 分かったかな?」

 唇をちょんちょんと人差し指で突きながら、悠斗は懇切丁寧にフェラのやり方を俺に伝授した。

「それじゃ、ペニス舐めて?」
「……お前、馬鹿なの? 親友に対してちんこ舐めろはなくね?」
「でもほら、なんでもいうこと聞いてくれるんでしょ? 奴隷だし」

 自分が言ってしまったことを後悔する。
 取り敢えず椅子に座る悠斗の足元に跪き、お許しを得ようと試みているのです。
 ここに至るまでに押し問答しましたが、俺は逆らえません。
 俺は悠斗を振り回した挙句、周りの言葉を鵜呑みにし、大親友を傷付けた最低人間だからです。
 でもね、俺も男の子ですよ?

「なぜ私がご奉仕いたさねばならぬのか……理解しかねます」
「傷ついた主人の心と身体を癒やすのは、奴隷の務めじゃない? 奴隷は主人のいうこと聞くものだし、聞かない奴隷がどうなるか知ってる?」

 でもね、悠斗くん。
 手始めに取り敢えずフェラしてって……なんですかね?
 男が男のを舐めるって……あまり、イヤかなり聞きませんよ?
 そんなに今溜まってるってことですか?

 逃げられない状況に、覚悟を決め浴衣の前を開き下着をずらす。半勃ち状態でも大きいペニスに、ゴクリと唾を飲み込む。唇を開け迎え入れようとするが、いざ目の前にするとやはり躊躇してしまう。
 どれぐらい悠斗のペニスを凝視していたか分からないが、先に痺れを切らした悠斗は俺の頬に両手を伸ばしてきた。

「瀬菜……こっち向いて」

 顔を上げると悠斗の指先が唇を撫でてくる。

「緊張して唇……乾いちゃっているね」

 そのまま指が唇を伝い顎を固定すると、自然と開いた口腔に親指を入れられた。舌先を拭われ口腔を蹂躙されると、親指が出ていき乾いた唇に潤いを与えられる。口腔を嬲られただけのことなのに、なぜか快感が生まれ、もっと舐めていたくなる。
 離れて行く親指を追いかけるように舌先を出すと、悠斗の舌先で絡め取られ唇を塞がれた。ちゅっ、くちゅと音をさせる口付けに、息を忘れてしまうほど酔いしれた。

「ん……んっ……」

 悠斗の舌が歯列をなぞり、舌を愛撫する度にお互いの唾液がこぼれ落ちそうになる。下唇を甘噛みされ、優しい口付けに変わる頃、二度三度と啄ばむようにチュッチュとキスを交わす。うっとりとしながら瞼を開けると、悠斗は俺様な態度から一変、柔らかな声で囁いた。

「今はこれで許してあげる。口直しもできたしね。浴衣着付け直すから立って?」
「あ……う、ん」

 口内の甘い痺れが取れていないのか、空返事をしノロノロと立ち上がると、悠斗に浴衣の紐を外されぼーっとしている間に綺麗に着付け直されていた。

「はい、できたよ。俺も直すからちょっと待っていて?」
「えっ、あー……うん……」

 んん?
 ──ちょっと……待てよ?
 この間もそういえば……。
 内容がハードなことばかりだったから、すっかりスルーしていたけど……。
 俺って悠斗に……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

しのぶ想いは夏夜にさざめく

叶けい
BL
看護師の片倉瑠維は、心臓外科医の世良貴之に片想い中。 玉砕覚悟で告白し、見事に振られてから一ヶ月。約束したつもりだった花火大会をすっぽかされ内心へこんでいた瑠維の元に、驚きの噂が聞こえてきた。 世良先生が、アメリカ研修に行ってしまう? その後、ショックを受ける瑠維にまで異動の辞令が。 『……一回しか言わないから、よく聞けよ』 世良先生の哀しい過去と、瑠維への本当の想い。

大嫌いな幼馴染みは嫌がらせが好き

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照
BL
*表紙* 題字&イラスト:たちばな 様 (Twitter → @clockyuz ) ※ 表紙の持ち出しはご遠慮ください (拡大版は1ページ目に挿入させていただいております!) 子供の頃、諸星真冬(もろぼしまふゆ)の親友は高遠原美鶴(たかとおばらみつる)だった。 しかしその友情は、美鶴によって呆気無く壊される。 「もう放っておいてくれよっ! 俺のことが嫌いなのは、分かったから……っ!」 必死に距離を取ろうとした真冬だったが、美鶴に弱みを握られてしまい。 「怖いぐらい優しくシてやるよ」 壊れた友情だったはずなのに、肉体関係を持ってしまった真冬は、美鶴からの嫌がらせに耐える日々を過ごしていたが……? 俺様でワガママなモテモテ系幼馴染み×ツンデレ受難体質男子の、すれ違いラブなお話です! ※ アダルト表現のあるページにはタイトルの後ろに * と表記しておりますので、読む時はお気を付けください!! ※ この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 ※序盤の方で少し無理矢理な表現があります……! 苦手な人はご注意ください!(ちっともハードな内容ではありません!)

契約書は婚姻届

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「契約続行はお嬢さんと私の結婚が、条件です」 突然、降って湧いた結婚の話。 しかも、父親の工場と引き替えに。 「この条件がのめない場合は当初の予定通り、契約は打ち切りということで」 突きつけられる契約書という名の婚姻届。 父親の工場を救えるのは自分ひとり。 「わかりました。 あなたと結婚します」 はじまった契約結婚生活があまー……いはずがない!? 若園朋香、26歳 ごくごく普通の、町工場の社長の娘 × 押部尚一郎、36歳 日本屈指の医療グループ、オシベの御曹司 さらに 自分もグループ会社のひとつの社長 さらに ドイツ人ハーフの金髪碧眼銀縁眼鏡 そして 極度の溺愛体質?? ****** 表紙は瀬木尚史@相沢蒼依さん(Twitter@tonaoto4)から。

処理中です...