王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第1幕 物知り王子と無知な俺 〜高校一年生編〜

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「これならさっき一緒に入れば良かったな。したら悠斗のも洗えたし」
「そうだけど、まさか瀬菜があんなコントみたいに転げるとは思わなかったし、すぐに出て行くつもりだったから。でもこうして入るのも久々だね」

 そう言われれば確かに久々だ。
 悠斗とは昔はこうして良く一緒に風呂に入ったものだ。中学後半頃からだったか、自然と別々に入るようになっていた。丁度、身体の作りの変化を感じ、恥じらいを持つようになってからだった。

「うん、そうだな。けど俺、自分があんなに小心者だとは思わなかった」
「ふふっ……、ごめんね? 脅かしちゃって」

 そう言って頭を洗い上げると、美容院でやるときみたいに悠斗の手が首筋に掛かる。
 その瞬間──。

「ひゃっぁん‼︎」

 咄嗟的に手で口を抑えたものの、女の子みたいな声が出てしまった。気付かれてはないかなと、冷静を保ちつつ大人しくしてみる。

 首って人に触られると、こそばゆいんだよな。

「──んッ、んっーっ!」

 ちょっ、ちょい待ち!

「……首……弱い?」

 ──こいつ! 確信犯かよっ‼︎

 シャンプーのヌメリと微妙な指使いで、何度も撫で上げてくる悠斗に泣きそうになってしまう。
 ゾクゾクとする感覚に全身が震えてしまう。それと同時に自分のものが少し勃ちあがってしまい、ばれないように膝を合わせて隠す。シャワーの音と一緒に泡が排水溝に流れていく。俯いて水の流れをしばらく見つめ無心になろうと瞼を閉じた。

「はい、終わり。ちゃんとお詫び、できたかな?」
「う、うん……さ、サンキュー……先上がっていてよ。おっ、俺、身体洗ってから出るし」

 先ほど洗ったばかりだが、兆しているのを悟られないように嘘をつく。赤らむ顔を背けぶっきら棒に早く出て行けと促すと、くすくす笑われてしまう。

「それじゃ先に二階に行っているね?」
「うん、すぐに俺も行くよ……」

 パタンと扉が閉じる音がすると、詰めていた息を大きく吐き出し力を抜く。
 下に視線を向けると、タオル越しでも分かるほど勃ち上がっているペニスに動揺してしまう。

 ──ヤバイ……ちっちゃくなんない……。
 これ、昨日と同じようにしたら……縮まるかな……。
 悠斗があんなことするからだ。
 今までこんなことなかったのにな……。

 ゴクンと喉を鳴らす。
 昨日覚えたばかりの快感を思い出し、タオルを取って恐る恐るペニスに手を伸ばす。

「……瀬菜?」

 名前を呼ぶ声にビクッと肩を跳ねさせ目を見開く。サーっと血の気が引き身体が硬直した。気配は確かになかったはずだ。ここには居ないはずの声の主が、うしろから覗き込んでいる。

「ねぇ、自分でするの?」

 クスクスと笑い官能を引き出すような美声が鼓膜に注がれた。

 ──ヒドイっ! 騙されたっ!
 二階行くってっ!

 俺は悠斗の声にただただ身をすくめ、固まるのが精一杯だった。
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