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第1幕 物知り王子と無知な俺 〜高校一年生編〜
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しおりを挟む『あっ~♡ イクっ……またぁッ、イっちゃうの~~♡』
『イけ‼︎ ほら、ほら、ほらッ! クリちゃんが気持ちいいんだろ!』
『ふぅっん、いいッ、もっと勃起クリちゃんいじめて~~っ‼︎』
ブ、ブ、ブブッ……、ブブブゥーーーーンッ‼︎
『おらっ、ローターだけでイキまくれ! この雌豚がぁッ!』
『ああああんッ、イっちゃう~~ッ、いぐぅ~~ぅんああッ……』
耳に入ってくるのはいやらしい水音と、電気が振動するバイブ音。それと罵る男の声と、女の悲鳴じみていてどこか愉悦を感じているような喘ぐ声。
画面など見なくても、なぜそうなっているかぐらいは想像がつく。俯きながら目元を赤く染める俺は、耳を塞ぎたくて堪らなかった。
──なにがどうなってこの状況なんだ。
……どうしたらこの状況終わらせられる?
「んっ……むぅっ……」
「瀬菜、ほらこっちのも食べて。あぁ、ちゃんとお口開けないとダメでしょ?」
「こんな一杯……無理っ……入らないっ」
「ちょっとずつ飲み込めば、入るでしょ?」
悠斗に抱えられながら、頑張って口を動かすけれど……。
俺、色々な意味でピンチです──。
なにがって?
悠斗の膝の上に横向きに座り、おばさんの手料理を雛鳥のように悠斗から食べさせられている。その光景は幼い子供がひとりで食べられず、介錯をされている姿に似ているかもしれない。けれど、なぜひとりで食べられる俺が、わざわざこうして悠斗にお世話をされなければならないのか。しかも、食事には似つかわしくない卑猥な雑音まで流れているのだ。
なんでだよぉーー!
気狂いにもほどがあるだろ‼︎
「もう、ストーーップ‼︎」
「お腹いっぱい?」
「いろんな意味でいっぱいだよ! 同時進行無理だから! 脳みその処理が追いついていないから!」
──って、友達とAV鑑賞ってなに⁉︎
村上達もみんなで鑑賞会とかしてるのか? だから三人でこれくれたんだよな?
これって普通のことなのか?
俺どうしたらいいか、分かんねぇーー! うぅ……ちんこジンジンするし!
これって俺だけ? 俺の身体が変なの?
チラリと悠斗の顔を窺うと、真っ赤になる俺とは異なりずいぶん涼しい顔をしている。
視線が合うと王子スマイルをお見舞いされる始末だ。
「いっぱいなら、そろそろこっちに集中しようか♪」
そう言いながら、悠斗はテレビを指差していた。
あの……そういう意味じゃないんですが……。
俺がテレビに顔を向けないことに、不思議そうにする悠斗。そんなに冷静に見れる訳がない。喘ぎ声や、ぐちゃぐちゃとした音だけでも十分に恥ずかしいのだ。映像など観てしまったら、どうなってしまうか想像もつかない。
「あいつらマジで殺す……」
遠い目で見えない友人達を思い浮かべ、不穏な言葉を口にする。
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