王子×悪戯戯曲

そら汰★

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第1幕 物知り王子と無知な俺 〜高校一年生編〜

02

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「立花君おはよー♡」
「きゃー、今日もキラキラ笑顔素敵ー♡」
「立花様、お昼一緒してください!」
「立花! 是非我が部活に入部してくれ!」

 今日もいつも通りの日常。
 取り敢えず朝はいつもこんな感じだ。悠斗が校門を潜るとザワザワと人が増え、言葉を交わそうと集まり出す。教室に辿り着くまでにかなりの時間を擁する。
 悠斗は入学式で新入生代表の挨拶してから、男女問わず一躍人気者になってしまった。高校一年生からこの調子では、卒業する頃には悠斗ファンから俺は校舎裏に呼び出されそうだ。

 立花悠斗──。
 モデルのように均等のとれたスラリとした長身。栗毛のふんわり今時ヘアーに、少し茶色掛かったアーモンド型の瞳。整った顔立ちは笑顔が絶えず、常に優しいさが溢れている。
 笑うと背後にキラキラスタンプが溢れんばかりに盛られると、誰もが幻覚を見るとか見ないとか……。ついたあだ名は『王子』。イケメンだが嫌味がなく、爽やかパーフェクトヒューマンともっぱら噂になっている。

 対する俺──柳瀬菜といえば……。
 細身で色白なせいかチビと言われることが多い。これでも入学後の身体測定で百七十三センチはあったのだ。決して小さすぎる訳ではない。地毛は黒髮でザ・日本人だが、マットなちょっと黄緑かかった色で染め、少しクセのある平凡ヘアーに、少し大きめな黒瞳。まぁ、どこにでも居るいわゆる平均的男子である。

 ──あーぁ……。
 俺にも悠斗のような、爽やかイケメン王子オーラがスペックされてれば良かったな。
 そしたら隣に居ても釣り合うし?
 女の子にもキャーキャー言われまくり、モテまくりだったのにぃーー!

「瀬菜。教室着いたよ。考えごと?」

 いや、まだこれからが成長期だ。
 高校卒業した頃には、きっと悠斗に負けないぐらいカッコ良くなって……。

 このように俺も羨むほどの自慢の親友だが、学校内では遠い存在に感じてしまう。流石に嫁に貰うことはできないが、頼りない自分にはもうちょい側にいて欲しい存在。

「なにひとりで百面相してんだか。でも……子犬みたいで今日も可愛い」
「──えっ? なんか言った?」

 ぼんやりしているとどうやら教室に到着していたらしい。悠斗の話を全く聞いていなかった。それでも悠斗は気にするでもなく、笑顔で俺に言った。

「クスッ……ううん。なんでもないよ。また帰りに迎えに来るね?」
「お、おぅ!」
 
 爽やかスマイルで手を振りながら、悠斗は自分のクラスに行ってしまった。

「うむ。なんか聞き慣れない単語だったような気がしたけど……。あいつがなんでもないなら、まぁ、いっか!」

 考えてたところで正解なぞ分からない。帰りに覚えていたら今度はちゃんと聞いてやろうと、上から目線で鼻歌交じりに教室に入る。クラスメイト達に朝の挨拶を済ませ、まだ始まったばかりの高校生活に溶け込んでいった。
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