4 / 716
第1幕 物知り王子と無知な俺 〜高校一年生編〜
02
しおりを挟む
「立花君おはよー♡」
「きゃー、今日もキラキラ笑顔素敵ー♡」
「立花様、お昼一緒してください!」
「立花! 是非我が部活に入部してくれ!」
今日もいつも通りの日常。
取り敢えず朝はいつもこんな感じだ。悠斗が校門を潜るとザワザワと人が増え、言葉を交わそうと集まり出す。教室に辿り着くまでにかなりの時間を擁する。
悠斗は入学式で新入生代表の挨拶してから、男女問わず一躍人気者になってしまった。高校一年生からこの調子では、卒業する頃には悠斗ファンから俺は校舎裏に呼び出されそうだ。
立花悠斗──。
モデルのように均等のとれたスラリとした長身。栗毛のふんわり今時ヘアーに、少し茶色掛かったアーモンド型の瞳。整った顔立ちは笑顔が絶えず、常に優しいさが溢れている。
笑うと背後にキラキラスタンプが溢れんばかりに盛られると、誰もが幻覚を見るとか見ないとか……。ついたあだ名は『王子』。イケメンだが嫌味がなく、爽やかパーフェクトヒューマンともっぱら噂になっている。
対する俺──柳瀬菜といえば……。
細身で色白なせいかチビと言われることが多い。これでも入学後の身体測定で百七十三センチはあったのだ。決して小さすぎる訳ではない。地毛は黒髮でザ・日本人だが、マットなちょっと黄緑かかった色で染め、少しクセのある平凡ヘアーに、少し大きめな黒瞳。まぁ、どこにでも居るいわゆる平均的男子である。
──あーぁ……。
俺にも悠斗のような、爽やかイケメン王子オーラがスペックされてれば良かったな。
そしたら隣に居ても釣り合うし?
女の子にもキャーキャー言われまくり、モテまくりだったのにぃーー!
「瀬菜。教室着いたよ。考えごと?」
いや、まだこれからが成長期だ。
高校卒業した頃には、きっと悠斗に負けないぐらいカッコ良くなって……。
このように俺も羨むほどの自慢の親友だが、学校内では遠い存在に感じてしまう。流石に嫁に貰うことはできないが、頼りない自分にはもうちょい側にいて欲しい存在。
「なにひとりで百面相してんだか。でも……子犬みたいで今日も可愛い」
「──えっ? なんか言った?」
ぼんやりしているとどうやら教室に到着していたらしい。悠斗の話を全く聞いていなかった。それでも悠斗は気にするでもなく、笑顔で俺に言った。
「クスッ……ううん。なんでもないよ。また帰りに迎えに来るね?」
「お、おぅ!」
爽やかスマイルで手を振りながら、悠斗は自分のクラスに行ってしまった。
「うむ。なんか聞き慣れない単語だったような気がしたけど……。あいつがなんでもないなら、まぁ、いっか!」
考えてたところで正解なぞ分からない。帰りに覚えていたら今度はちゃんと聞いてやろうと、上から目線で鼻歌交じりに教室に入る。クラスメイト達に朝の挨拶を済ませ、まだ始まったばかりの高校生活に溶け込んでいった。
「きゃー、今日もキラキラ笑顔素敵ー♡」
「立花様、お昼一緒してください!」
「立花! 是非我が部活に入部してくれ!」
今日もいつも通りの日常。
取り敢えず朝はいつもこんな感じだ。悠斗が校門を潜るとザワザワと人が増え、言葉を交わそうと集まり出す。教室に辿り着くまでにかなりの時間を擁する。
悠斗は入学式で新入生代表の挨拶してから、男女問わず一躍人気者になってしまった。高校一年生からこの調子では、卒業する頃には悠斗ファンから俺は校舎裏に呼び出されそうだ。
立花悠斗──。
モデルのように均等のとれたスラリとした長身。栗毛のふんわり今時ヘアーに、少し茶色掛かったアーモンド型の瞳。整った顔立ちは笑顔が絶えず、常に優しいさが溢れている。
笑うと背後にキラキラスタンプが溢れんばかりに盛られると、誰もが幻覚を見るとか見ないとか……。ついたあだ名は『王子』。イケメンだが嫌味がなく、爽やかパーフェクトヒューマンともっぱら噂になっている。
対する俺──柳瀬菜といえば……。
細身で色白なせいかチビと言われることが多い。これでも入学後の身体測定で百七十三センチはあったのだ。決して小さすぎる訳ではない。地毛は黒髮でザ・日本人だが、マットなちょっと黄緑かかった色で染め、少しクセのある平凡ヘアーに、少し大きめな黒瞳。まぁ、どこにでも居るいわゆる平均的男子である。
──あーぁ……。
俺にも悠斗のような、爽やかイケメン王子オーラがスペックされてれば良かったな。
そしたら隣に居ても釣り合うし?
女の子にもキャーキャー言われまくり、モテまくりだったのにぃーー!
「瀬菜。教室着いたよ。考えごと?」
いや、まだこれからが成長期だ。
高校卒業した頃には、きっと悠斗に負けないぐらいカッコ良くなって……。
このように俺も羨むほどの自慢の親友だが、学校内では遠い存在に感じてしまう。流石に嫁に貰うことはできないが、頼りない自分にはもうちょい側にいて欲しい存在。
「なにひとりで百面相してんだか。でも……子犬みたいで今日も可愛い」
「──えっ? なんか言った?」
ぼんやりしているとどうやら教室に到着していたらしい。悠斗の話を全く聞いていなかった。それでも悠斗は気にするでもなく、笑顔で俺に言った。
「クスッ……ううん。なんでもないよ。また帰りに迎えに来るね?」
「お、おぅ!」
爽やかスマイルで手を振りながら、悠斗は自分のクラスに行ってしまった。
「うむ。なんか聞き慣れない単語だったような気がしたけど……。あいつがなんでもないなら、まぁ、いっか!」
考えてたところで正解なぞ分からない。帰りに覚えていたら今度はちゃんと聞いてやろうと、上から目線で鼻歌交じりに教室に入る。クラスメイト達に朝の挨拶を済ませ、まだ始まったばかりの高校生活に溶け込んでいった。
1
お気に入りに追加
236
あなたにおすすめの小説
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
壊れた番の直し方
おはぎのあんこ
BL
Ωである栗栖灯(くりす あかり)は訳もわからず、山の中の邸宅の檻に入れられ、複数のαと性行為をする。
顔に火傷をしたΩの男の指示のままに……
やがて、灯は真実を知る。
火傷のΩの男の正体は、2年前に死んだはずの元番だったのだ。
番が解消されたのは響一郎が死んだからではなく、Ωの体に変わっていたからだった。
ある理由でαからΩになった元番の男、上天神響一郎(かみてんじん きょういちろう)と灯は暮らし始める。
しかし、2年前とは色々なことが違っている。
そのため、灯と険悪な雰囲気になることも…
それでも、2人はαとΩとは違う、2人の関係を深めていく。
発情期のときには、お互いに慰め合う。
灯は響一郎を抱くことで、見たことのない一面を知る。
日本にいれば、2人は敵対者に追われる運命…
2人は安住の地を探す。
☆前半はホラー風味、中盤〜後半は壊れた番である2人の関係修復メインの地味な話になります。
注意点
①序盤、主人公が元番ではないαたちとセックスします。元番の男も、別の女とセックスします
②レイプ、近親相姦の描写があります
③リバ描写があります
④独自解釈ありのオメガバースです。薬でα→Ωの性転換ができる世界観です。
表紙のイラストは、なと様(@tatatatawawawaw)に描いていただきました。
薫る薔薇に盲目の愛を
不来方しい
BL
代々医師の家系で育った宮野蓮は、受験と親からのプレッシャーに耐えられず、ストレスから目の機能が低下し見えなくなってしまう。
目には包帯を巻かれ、外を遮断された世界にいた蓮の前に現れたのは「かずと先生」だった。
爽やかな声と暖かな気持ちで接してくれる彼に惹かれていく。勇気を出して告白した蓮だが、彼と気持ちが通じ合うことはなかった。
彼が残してくれたものを胸に秘め、蓮は大学生になった。偶然にも駅前でかずとらしき声を聞き、蓮は追いかけていく。かずとは蓮の顔を見るや驚き、目が見える人との差を突きつけられた。
うまく話せない蓮は帰り道、かずとへ文化祭の誘いをする。「必ず行くよ」とあの頃と変わらない優しさを向けるかずとに、振られた過去を引きずりながら想いを募らせていく。
色のある世界で紡いでいく、小さな暖かい恋──。
ハッピーエンド
藤美りゅう
BL
恋心を抱いた人には、彼女がいましたーー。
レンタルショップ『MIMIYA』でアルバイトをする三上凛は、週末の夜に来るカップルの彼氏、堺智樹に恋心を抱いていた。
ある日、凛はそのカップルが雨の中喧嘩をするのを偶然目撃してしまい、雨が降りしきる中、帰れず立ち尽くしている智樹に自分の傘を貸してやる。
それから二人の距離は縮まろうとしていたが、一本のある映画が、凛の心にブレーキをかけてしまう。
※ 他サイトでコンテスト用に執筆した作品です。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話
タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。
「優成、お前明樹のこと好きだろ」
高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。
メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる