Change!

044

「……はぁぁ？」

　意味の分からない言い訳に、思わず素でリアクションを返してしまう。そんな俺に対して、二人は大きなため息を漏らしていた。ため息を吐きたいのはこっちらだというのにだ。

「仕方ないよ。陽向……」
「そうだよね。佳月……」
「どうでもいいけどよ……蒼海のほう、メガネしてくれねぇ？　俺の頭が混乱するんだよ」

　イメチェンをすると、どうやらそれになりきるようにしているらしい。外見もだが口調も同じで識別が難しいのだ。

「僕達凄いでしょ？　親にも判断付かないって良く言われるから、そっくりさんだと思うよ？」
「そっくりさんじゃなくて……双子だからだろが……」
「双子でも違うところ、並べばなんとなくあると思うけど。おかげで入れ代わってもバレていないよね」

　蒼海のほうがメガネを掛けると、髪を無造作に下ろす。ネタバレしたからか、前髪はいつものように目には掛かっておらず表情が見てとれる。
　やはり森永同様に単なるイケメンだ。

「入れ代わるって……学校でもやっているのか！？」
「まぁね。陽向のガス抜きみたいなものかな。ああ、雪ちゃんこれも秘密事項ね」
「優等生してると疲れちゃうんだ。無駄に笑って愛想を振り撒かなきゃいなきゃいけないし」
「もしかして、俺と居るときも入れ代わってたりする訳？」
「実は何度かあったりする。でも、騙すのが目的じゃないけど」
「佳月じゃなきゃ尚君まだ僕のこと警戒するし、佳月ばっかり話できて狡いでしょ？」
「……狡いってなにそれ……。あっ……そうか……」

　俺は閃いてしまった。まるで後光が射したような幻覚を見るほどに。

「この俺にそんな大事な話していいのかよ」
「うん。少しは信用してくれたかな？」
「大事なことだから打ち明けたんでしょ。ほら見ろ陽向。雪ちゃんのあの顔……なんか企んでいるよ」
　
　流石は蒼海だ。俺の腹黒さを見逃しはしない。けれどもう俺に怖いものなどない。

「ふふふふ……はははははぁ～～。俺に秘密をバラしたのは間違いだったな！」