39 / 131
039
しおりを挟む
***
ひとり佇む俺の前に、遠くから走ってくる人影が見えた。
徐々に近付くと息を切らし駆け寄ってくる。
「ハァハァ……良かった。尚雪……ここに居たのね。私、凄く探したんだよ?」
「……芹香」
「私達やっぱり……やり直さない?」
「やり直す? いまさらなんだよ……。俺、お前に裏切られたんだぞ! 付き合い直したって、きっとまたお前はハイスペックな男を選ぶだけだ」
冷たく言い放つと、笑顔を振り撒いていた芹香は能面のような面持ちで俺を見つめていた。
「へぇー。尚雪、私のことは許さないのに、彼のことは許しちゃうんだ。それって……どうしてよ」
「──ッ……どう、して?」
「ねぇ、そんなに良かったの? 私には分からない感覚だけど、尚雪凄く乱れていたわ。男の癖に女みたいに、あんあん喘いでいたものね」
「ち、違う──ッ! あれは……無理矢理……」
なぜ芹香が知っているのだ。あれは蒼海と俺の二人だけの……いや、もうひとり居たはずだ。
「無理矢理ですって? あんなに淫乱だった癖によく言うわね。男に突っ込まれて、アナルに射精されてイきまくって……女にされたんでしょ? それなら納得ね。だって……もう女は抱けないでしょ?」
サーッと青褪めていく。
芹香の笑い声があたり一面に溢れ返り、俺を追い詰めていく。
耳を塞ぎ蹲りながら、甲高い声をかき消すように叫び声を上げた。
「やっ、やめ……やめてくれッ! 違う……違うんだッ──!」
◇ ◇ ◇
「うぅ……おっ、お……れ……ッ、俺は女じゃない!!」
大きな叫び声が頭の中に響く。
金縛りにでもあったように身体を強張らせると、自分のうわ言でハッと目を覚まし、目覚めの悪い悪夢に声を上げていたとため息を吐いてしまう。
夢にしては現実味を帯びており、自分が精神的に追い詰められているのかと嫌な気持ちにさせられる。
ベッドから起き上がろうとするが、腰にビキッと鈍痛が襲い諦めた。
まるで鉛が乗ったような倦怠感。下半身は特に重だるく、後孔にはなにかが挟まっているような違和感が残っている。
昨日のことが先ほどの夢であればどんなにいいか……。
自分の身体が現実に起こったことなのだと、嘲笑うかのように物語っている。所々曖昧な記憶。快感に溺れ何度もイかされ犯された。
夢の中で芹香が呟いていたように、女のように喘ぎ尻穴を濡らした。喉にグッと込み上げる嗚咽に唇を噛み締め声を殺すと、鼻の奥が痛みジワリと目頭が熱くなる。
ひとり佇む俺の前に、遠くから走ってくる人影が見えた。
徐々に近付くと息を切らし駆け寄ってくる。
「ハァハァ……良かった。尚雪……ここに居たのね。私、凄く探したんだよ?」
「……芹香」
「私達やっぱり……やり直さない?」
「やり直す? いまさらなんだよ……。俺、お前に裏切られたんだぞ! 付き合い直したって、きっとまたお前はハイスペックな男を選ぶだけだ」
冷たく言い放つと、笑顔を振り撒いていた芹香は能面のような面持ちで俺を見つめていた。
「へぇー。尚雪、私のことは許さないのに、彼のことは許しちゃうんだ。それって……どうしてよ」
「──ッ……どう、して?」
「ねぇ、そんなに良かったの? 私には分からない感覚だけど、尚雪凄く乱れていたわ。男の癖に女みたいに、あんあん喘いでいたものね」
「ち、違う──ッ! あれは……無理矢理……」
なぜ芹香が知っているのだ。あれは蒼海と俺の二人だけの……いや、もうひとり居たはずだ。
「無理矢理ですって? あんなに淫乱だった癖によく言うわね。男に突っ込まれて、アナルに射精されてイきまくって……女にされたんでしょ? それなら納得ね。だって……もう女は抱けないでしょ?」
サーッと青褪めていく。
芹香の笑い声があたり一面に溢れ返り、俺を追い詰めていく。
耳を塞ぎ蹲りながら、甲高い声をかき消すように叫び声を上げた。
「やっ、やめ……やめてくれッ! 違う……違うんだッ──!」
◇ ◇ ◇
「うぅ……おっ、お……れ……ッ、俺は女じゃない!!」
大きな叫び声が頭の中に響く。
金縛りにでもあったように身体を強張らせると、自分のうわ言でハッと目を覚まし、目覚めの悪い悪夢に声を上げていたとため息を吐いてしまう。
夢にしては現実味を帯びており、自分が精神的に追い詰められているのかと嫌な気持ちにさせられる。
ベッドから起き上がろうとするが、腰にビキッと鈍痛が襲い諦めた。
まるで鉛が乗ったような倦怠感。下半身は特に重だるく、後孔にはなにかが挟まっているような違和感が残っている。
昨日のことが先ほどの夢であればどんなにいいか……。
自分の身体が現実に起こったことなのだと、嘲笑うかのように物語っている。所々曖昧な記憶。快感に溺れ何度もイかされ犯された。
夢の中で芹香が呟いていたように、女のように喘ぎ尻穴を濡らした。喉にグッと込み上げる嗚咽に唇を噛み締め声を殺すと、鼻の奥が痛みジワリと目頭が熱くなる。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
元会計には首輪がついている
笹坂寧
BL
【帝華学園】の生徒会会計を務め、無事卒業した俺。
こんな恐ろしい学園とっとと離れてやる、とばかりに一般入試を受けて遠く遠くの公立高校に入学し、無事、魔の学園から逃げ果すことが出来た。
卒業式から入学式前日まで、誘拐やらなんやらされて無理くり連れ戻されでもしないか戦々恐々としながら前後左右全ての気配を探って生き抜いた毎日が今では懐かしい。
俺は無事高校に入学を果たし、無事毎日登学して講義を受け、無事部活に入って友人を作り、無事彼女まで手に入れることが出来たのだ。
なのに。
「逃げられると思ったか?颯夏」
「ーーな、んで」
目の前に立つ恐ろしい男を前にして、こうも身体が動かないなんて。
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
平凡でツンデレな俺がイケメンで絶倫巨根のドS年下に堕ちたりにゃんか絶対しにゃい…♡
うめときんどう
BL
わたしの性癖全て詰め込んでます…♡
ツンデレだけど友達もそこそこいる平凡男子高校生!
顔も可愛いし女の子に間違われたことも多々…
自分は可愛い可愛い言われるがかっこいいと言われたいので言われる度キレている。
ツンデレだけど中身は優しく男女共々に好かれやすい性格…のはずなのに何故か彼女がいた事がない童貞
と
高校デビューして早々ハーレム生活を送っている高校1年生
中学生のころ何人もの女子に告白しまくられその度に付き合っているが1ヶ月も続いたことがないらしい…
だが高校に入ってから誰とも付き合ってないとか…?
束縛が激しくて性癖がエグい絶倫巨根!!
の
2人のお話です♡
小説は初めて書くのでおかしい所が沢山あると思いますが、良ければ見てってください( .. )
私の性癖が沢山詰まっているのでストーリーになっているかは微妙なのですが、喘ぎ♡アヘアヘ♡イキイキ♡の小説をお楽しみください/////
ゲイバレした学年一のイケメンは、その日の放課後、陰キャで平凡な俺を犯した
しゅうじつ
BL
学年一のイケメン、玉木 宝一郎がゲイバレした。
学校中は大騒ぎするなか、ひとつの疑問が皆の頭に浮かぶ。
学年一のイケメン、玉木 宝一郎がが好きな相手は誰なのか。
その日の放課後、陰キャでゲームオタクの俺は偶然、そのイケメン玉木宝一郎と遭遇し、なぜか密室に閉じ込められ2人きりに。
陰キャで平凡のゲームオタクに、とてつもなく執着している美形くんのお話。
美形攻め×平凡受け
一人ぼっちの受けが攻めにセックスの快感を教え込まれる話
よしゆき
BL
発情する体質の生徒が通う学校。発情期はいつも一人で過ごしていた受けだが、偶然後輩の攻めと発情期を過ごす事になった話。
両親と弟妹から酷い扱いをされ育ったので受けは自己肯定感が低く卑屈。
【R18】保健室のケルベロス~Hで淫らなボクのセンセイ 【完結】
瀬能なつ
BL
名門男子校のクールでハンサムな保健医、末廣司には秘密があって……
可愛い男子生徒を罠にかけて保健室のベッドの上でHに乱れさせる、危ないセンセイの物語 (笑)
愛されポメガの小さな革命
温風
BL
ポメガバース短編です。仕事の疲労でポメ化してしまった三原咲也。暗い夜道で打ちひしがれるポメラニアンに手を差し伸べたのは、高校時代の同級生・久我透だった。しかし咲也にとって久我という男は、高校時代の天敵で……?
キラキラ爽やかイケメン×平凡会社員(やや陰キャ)。
「お前がどこにいても、尻を見れば俺には分かる」という執着傾向のあるイケメンと、ドン引きするポメ。
攻め受け共に26歳くらいの設定。当て馬として、受けのオタク友達(ポール)が登場します。
ポメガバース設定については自己流解釈が激しいです。挿入なし・素股あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる