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瞼を閉じると、蒼海の家庭環境を考えてしまった。広い家を与える。それで親の役目を果たしたなど悲し過ぎる。けれど自分は蒼海になにもできない。事情も詳しくは聞いていない。
「もっと頼ってくれたらなぁ……」
うとうと仕出す前に風呂から上がると、布団の用意をする蒼海を手伝った。
「ここがベッドルーム?」
こんなに広い家だというのに、蒼海のベッドルームは慎ましいほど狭く、ベッドも本当にシングルサイズで驚く。
不思議にも思ったが、狭い場所の方が落ち着くのかもしれない。それに間取りをどう使うかは家主の自由だ。
「そうだけど……雪ちゃんなにやっているの?」
布団を敷き終えベッドの下を覗き込む俺に、蒼海が怪訝そうな声を上げる。
「あーほら、こういうところに隠すじゃん?」
床に膝を付き尻を突き出しながら、蒼海の性癖を探っていた。ベッド下はとても狭く薄暗くて良く見えない。
あっ、あれ怪しいぞ?
隙間に辛うじて入る腕を突っ込み指先で探ると、血が止まりそうになる。
やばっ……抜けねぇ!
ひとり藻掻いていると、背後から蒼海が覆い被さってきた。
「えっ、ちょっなに?」
「なに……じゃないでしょ?」
二の腕辺りが隙間に引っ掛かり動かせない。けれど蒼海が密着しているせいで、腕はおろか後退することもできない。
尻で蒼海を押し返そうとすると、ゴリッと妙に硬いものを感じ取った。
これは……アレだ……。
うん、そりゃ仕方ない。
落ち着いているように見えるだろうが、俺は決して落ち着いていない。むしろ焦っている。尻を振る度にゴリゴリ君の強度が増していくのだ。
首筋にくぐもった吐息を掛けられ、ゾワリと肌が粟立った。
「雪ちゃん。ストップ!」
「へっ?」
「動いていたら抜こうにも……抜けないでしょ」
「あっ……悪い……」
妙に艶めかしいハスキーボイスに、勘違いしそうになるが、抜こうとしていたのは腕であって、決してあちらではなかったようだ。
自分が動いてしまったことで、起っきさせてしまったようだが、俺はせめてもと気付かないフリをしておいた。
トイレから戻ってきた蒼海は、俺を見るなり深いため息を吐いていたが、なにも言わずに笑顔で励ましておいた。
「もっと頼ってくれたらなぁ……」
うとうと仕出す前に風呂から上がると、布団の用意をする蒼海を手伝った。
「ここがベッドルーム?」
こんなに広い家だというのに、蒼海のベッドルームは慎ましいほど狭く、ベッドも本当にシングルサイズで驚く。
不思議にも思ったが、狭い場所の方が落ち着くのかもしれない。それに間取りをどう使うかは家主の自由だ。
「そうだけど……雪ちゃんなにやっているの?」
布団を敷き終えベッドの下を覗き込む俺に、蒼海が怪訝そうな声を上げる。
「あーほら、こういうところに隠すじゃん?」
床に膝を付き尻を突き出しながら、蒼海の性癖を探っていた。ベッド下はとても狭く薄暗くて良く見えない。
あっ、あれ怪しいぞ?
隙間に辛うじて入る腕を突っ込み指先で探ると、血が止まりそうになる。
やばっ……抜けねぇ!
ひとり藻掻いていると、背後から蒼海が覆い被さってきた。
「えっ、ちょっなに?」
「なに……じゃないでしょ?」
二の腕辺りが隙間に引っ掛かり動かせない。けれど蒼海が密着しているせいで、腕はおろか後退することもできない。
尻で蒼海を押し返そうとすると、ゴリッと妙に硬いものを感じ取った。
これは……アレだ……。
うん、そりゃ仕方ない。
落ち着いているように見えるだろうが、俺は決して落ち着いていない。むしろ焦っている。尻を振る度にゴリゴリ君の強度が増していくのだ。
首筋にくぐもった吐息を掛けられ、ゾワリと肌が粟立った。
「雪ちゃん。ストップ!」
「へっ?」
「動いていたら抜こうにも……抜けないでしょ」
「あっ……悪い……」
妙に艶めかしいハスキーボイスに、勘違いしそうになるが、抜こうとしていたのは腕であって、決してあちらではなかったようだ。
自分が動いてしまったことで、起っきさせてしまったようだが、俺はせめてもと気付かないフリをしておいた。
トイレから戻ってきた蒼海は、俺を見るなり深いため息を吐いていたが、なにも言わずに笑顔で励ましておいた。
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