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第7章 砂に落ちた砂糖は赤黒く塗れる0.1%
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安い居酒屋とは違い、濃いアルコールに身体の中から燃えるように熱が込み上げてくる。
郁哉の飲みっぷりに、カウンター越しからクスクスと燿の笑い声が店内に響いていた。
「ふふふっ、いっくん意外と男らしいじゃない。お代わりはいかが?」
「ダメダメ。燿さん、酔わせたなんて知れたら、私が坊っちゃんに怒られますよ」
「あら、なっちゃんのねぇ……。なら余計に酔わせたいわ。楽しそうじゃない♪ どうせ迎えに来るんでしょ?」
「いや、だから……駄目……」
「あっーーーー!!」
郁哉は唐突に大声を上げた。
七瀬と燿は声に驚き目を丸めている。
郁哉はスマホを取り出すと、大きな目をさらに拡げ硬直していた。
着信履歴が三十五件。
メールの受信が十二件。
郁哉君お友達一杯いるんだね……などではもちろんない。どれも尾鷹ひとりからのものだった。
男のことが気掛かりで、七瀬に話を聞くまで余裕がなかった。夕飯も用意せず飛び出して来たのだ。
メールの内容をチェックすると『買い物か?』から始まり『なにかあったのか?』と心配する内容。
最後にはとどめを刺す勢いで『監禁されたいようだな』と、恐ろしい文字が並んでいた。
(……やばい、那津に連絡するの忘れてた。これ、絶対怒ってる……)
アルコールで赤くなった顔も徐々に冷えていく。
早急に折り返さなければと、震える手で操作をしているとスマホが先にバイブする。
ビクッと肩を跳ねさせると慌てて画面をタップし耳に当てた。
「──那津、ごめ……」
『あっ、やっと出た。これ、郁哉の番号だよね? 間違えているかと思っちゃった♪』
郁哉が謝罪を言う前に呑気な声がしホッとする。けれどその声はどこか含みがある。
口を開こうとすると次の言葉を放たれた。
『誰と、どこで、なにをしている』
鼓膜の中に凄みのある低音が響いてきた。
ピリピリとした尾鷹の感情が全身に流れてくる。
郁哉は毒を注がれたように身体を麻痺させ、全身に鳥肌を立たせていた。
「あの、那津、連絡しないでごめん」
『今は謝罪は聞いていないよ。誰とどこにいるのか聞いてるんだけど』
「……その、先生と……Risingっていうバーで……少し話を……」
『ふ~ん。なら、そこで大人しくしていろ』
プツリと通話が無情に切れる。
郁哉の様子を見守っていた七瀬は、まさか……という顔付きで控え目に確認してきた。
「凩君、ここへ来ることを伝えていないので?」
「はい。動揺していて、すっかり忘れていました……」
「ハハッ……宥めるのに苦労しそうですね。どんな様子でした?」
「凄く……怒っていました……」
「それは……まぁ、私も坊っちゃんに伝えていませんでしたから、凩君だけが悪い訳では……」
カウンターで項垂れる男二人。その姿を眺めながら、燿はお腹を抱えて爆笑している。
郁哉の飲みっぷりに、カウンター越しからクスクスと燿の笑い声が店内に響いていた。
「ふふふっ、いっくん意外と男らしいじゃない。お代わりはいかが?」
「ダメダメ。燿さん、酔わせたなんて知れたら、私が坊っちゃんに怒られますよ」
「あら、なっちゃんのねぇ……。なら余計に酔わせたいわ。楽しそうじゃない♪ どうせ迎えに来るんでしょ?」
「いや、だから……駄目……」
「あっーーーー!!」
郁哉は唐突に大声を上げた。
七瀬と燿は声に驚き目を丸めている。
郁哉はスマホを取り出すと、大きな目をさらに拡げ硬直していた。
着信履歴が三十五件。
メールの受信が十二件。
郁哉君お友達一杯いるんだね……などではもちろんない。どれも尾鷹ひとりからのものだった。
男のことが気掛かりで、七瀬に話を聞くまで余裕がなかった。夕飯も用意せず飛び出して来たのだ。
メールの内容をチェックすると『買い物か?』から始まり『なにかあったのか?』と心配する内容。
最後にはとどめを刺す勢いで『監禁されたいようだな』と、恐ろしい文字が並んでいた。
(……やばい、那津に連絡するの忘れてた。これ、絶対怒ってる……)
アルコールで赤くなった顔も徐々に冷えていく。
早急に折り返さなければと、震える手で操作をしているとスマホが先にバイブする。
ビクッと肩を跳ねさせると慌てて画面をタップし耳に当てた。
「──那津、ごめ……」
『あっ、やっと出た。これ、郁哉の番号だよね? 間違えているかと思っちゃった♪』
郁哉が謝罪を言う前に呑気な声がしホッとする。けれどその声はどこか含みがある。
口を開こうとすると次の言葉を放たれた。
『誰と、どこで、なにをしている』
鼓膜の中に凄みのある低音が響いてきた。
ピリピリとした尾鷹の感情が全身に流れてくる。
郁哉は毒を注がれたように身体を麻痺させ、全身に鳥肌を立たせていた。
「あの、那津、連絡しないでごめん」
『今は謝罪は聞いていないよ。誰とどこにいるのか聞いてるんだけど』
「……その、先生と……Risingっていうバーで……少し話を……」
『ふ~ん。なら、そこで大人しくしていろ』
プツリと通話が無情に切れる。
郁哉の様子を見守っていた七瀬は、まさか……という顔付きで控え目に確認してきた。
「凩君、ここへ来ることを伝えていないので?」
「はい。動揺していて、すっかり忘れていました……」
「ハハッ……宥めるのに苦労しそうですね。どんな様子でした?」
「凄く……怒っていました……」
「それは……まぁ、私も坊っちゃんに伝えていませんでしたから、凩君だけが悪い訳では……」
カウンターで項垂れる男二人。その姿を眺めながら、燿はお腹を抱えて爆笑している。
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