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第4章 甘い砂糖には裏がある75%
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「その、依存症とは別で性欲が……あまりにも……。最初は砂糖依存症が良くなってきたからだと思っていたけど、前はこんなに頻繁ではなかったから」
「性欲は誰もが持ってるものですよ。恥ずかしがることじゃない。今はどのぐらいの頻度で?」
チラリと七瀬を窺い郁哉は躊躇いがちに答えた。
「…………毎日です。最低でも二回、多いときは五回ぐらい……七瀬さん、あっ……先生? 俺やっぱり病気でしょうか?」
ニコリと優しく口元を緩めた七瀬は「違うでしょうね」と、横に首を振りながらお茶を口にした。
「凩君はいつどういうときに、その欲求を感じますか?」
「……特に夜になるとしたくなります。日中は全然だし、ひとりだと全く反応しません。けど那津と一緒に居ると、なぜかそういう雰囲気になってしまって……」
「やはりそれは病気ではないですね。まぁ、坊っちゃんですからね。そりゃあの顔で、フェロモン垂れ流しじゃあ仕方がないですかね。一時的な発情期みたいなもんです。若いですから心配することでもありませんよ。それに、もし凩君が病気なら、坊っちゃんも……ですよ?」
ニコニコと穏やかな笑顔でそう言われ、尾鷹と性行為をしていると自ら墓穴を掘ってしまったことに俯き羞恥する。
「……男同士でおかしいですよね」
「いえ、全く」
七瀬はすぐに否定した。
どうやら同性同士の偏見は七瀬にはないようだ。
「性別なんて些細なことですよ」
「それ、那津も言っていました。俺は男女でするのが当たり前だと思っていたので、結構衝撃的だったんです」
「そうですか。でも、坊っちゃんとのセックスは嫌ではないのでしょ?」
直接的なことを言われ、パッと顔を上げる。
「セッ、セックスは……数度だけです。いつもは自慰みたいな感じで……慰め合うっていうか……」
「あぁ、これは失礼。へぇ~坊っちゃんがねぇ。これは驚いた。けど嫌いな相手と毎日同じ空間で生活して、性行為はできませんよ。触れたいと思うほど、坊っちゃんのことが好きなんですね。いや、羨ましい限りです」
瞬きもせず目を大きく拡げ放心する郁哉に、七瀬も豆鉄砲を食らったように郁哉を凝視していた。
互いに無言でいると、ハッとする七瀬はしまった……という面持ちで天を仰ぎ掌で顔を覆っていた。
「あ~……坊っちゃんに殺される。……凩君、今のは聞かなかったことに……」
手指の間からチラリと郁哉に視線を移す七瀬は、郁哉の今にも泣きそうな姿に慌てふためいている。
そんな七瀬を置き去りに、郁哉は瞳を潤ませながらも口元が緩んでいった。
(おかしいな、凄くすっきりした気分だ。そっか……俺、那津のこと好きになっていたんだ……)
尾鷹に対して抱いていた意味の分からない感情が、春が芽吹き草花が咲き乱れたように心が開花する。
帰りが遅いと不安になり戻りを待ち侘びていたことも、女の影を感じたときの苛立ちも。
振り返るとそれだけではない。
尾鷹と一緒に居られることに、触れられることに郁哉は常に喜びを感じていた。
「先生……人を好きになるって、こういうことなんですね」
「性欲は誰もが持ってるものですよ。恥ずかしがることじゃない。今はどのぐらいの頻度で?」
チラリと七瀬を窺い郁哉は躊躇いがちに答えた。
「…………毎日です。最低でも二回、多いときは五回ぐらい……七瀬さん、あっ……先生? 俺やっぱり病気でしょうか?」
ニコリと優しく口元を緩めた七瀬は「違うでしょうね」と、横に首を振りながらお茶を口にした。
「凩君はいつどういうときに、その欲求を感じますか?」
「……特に夜になるとしたくなります。日中は全然だし、ひとりだと全く反応しません。けど那津と一緒に居ると、なぜかそういう雰囲気になってしまって……」
「やはりそれは病気ではないですね。まぁ、坊っちゃんですからね。そりゃあの顔で、フェロモン垂れ流しじゃあ仕方がないですかね。一時的な発情期みたいなもんです。若いですから心配することでもありませんよ。それに、もし凩君が病気なら、坊っちゃんも……ですよ?」
ニコニコと穏やかな笑顔でそう言われ、尾鷹と性行為をしていると自ら墓穴を掘ってしまったことに俯き羞恥する。
「……男同士でおかしいですよね」
「いえ、全く」
七瀬はすぐに否定した。
どうやら同性同士の偏見は七瀬にはないようだ。
「性別なんて些細なことですよ」
「それ、那津も言っていました。俺は男女でするのが当たり前だと思っていたので、結構衝撃的だったんです」
「そうですか。でも、坊っちゃんとのセックスは嫌ではないのでしょ?」
直接的なことを言われ、パッと顔を上げる。
「セッ、セックスは……数度だけです。いつもは自慰みたいな感じで……慰め合うっていうか……」
「あぁ、これは失礼。へぇ~坊っちゃんがねぇ。これは驚いた。けど嫌いな相手と毎日同じ空間で生活して、性行為はできませんよ。触れたいと思うほど、坊っちゃんのことが好きなんですね。いや、羨ましい限りです」
瞬きもせず目を大きく拡げ放心する郁哉に、七瀬も豆鉄砲を食らったように郁哉を凝視していた。
互いに無言でいると、ハッとする七瀬はしまった……という面持ちで天を仰ぎ掌で顔を覆っていた。
「あ~……坊っちゃんに殺される。……凩君、今のは聞かなかったことに……」
手指の間からチラリと郁哉に視線を移す七瀬は、郁哉の今にも泣きそうな姿に慌てふためいている。
そんな七瀬を置き去りに、郁哉は瞳を潤ませながらも口元が緩んでいった。
(おかしいな、凄くすっきりした気分だ。そっか……俺、那津のこと好きになっていたんだ……)
尾鷹に対して抱いていた意味の分からない感情が、春が芽吹き草花が咲き乱れたように心が開花する。
帰りが遅いと不安になり戻りを待ち侘びていたことも、女の影を感じたときの苛立ちも。
振り返るとそれだけではない。
尾鷹と一緒に居られることに、触れられることに郁哉は常に喜びを感じていた。
「先生……人を好きになるって、こういうことなんですね」
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