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第4章 甘い砂糖には裏がある75%

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「なぁ、お前達って……いや、うん。なんだよそういうことなら先に言っといてくれよ。だから最近あれなんだな~」
「ああ、やっぱり圭介は分かるんだ」

 キョトンと頭にクエスチョンマークをはためかせ、首を傾げる郁哉と砂川を置き去りに竹田と尾鷹は話を進める。

「ハハハ……マジかよ。なんか納得したかも。それでどういう状況なんだ? もうその……あー、もしそうでも別に驚きはしないぞ? いやでも満足していないみたいだし……尾鷹さ、お前って枯れてるのか?」
「ああ、そのことか。そんな訳ないでしょ。でも昔と比べたらむしろ減ったかな」
「減ったって……かなり?」
「いや、違う。かなり抑えてるんだよ。中々警戒心が強くて参ってるんだ。昔なんて酷い日は両手でも足りなかったかも。たぶん今も普通にそれぐらいこなせる。ああ、それ以上……かな」
「うわ~エゲツな。けどいい情報だ。我慢は必要ないらしいぞ」
「ふ~ん。なら見直しが必要だね。呼び出しに感謝するよ」

 得意気に鼻息を荒くする竹田に、尾鷹は可笑しそうにクスクス笑っている。
 竹田はその様子を静かに見守るように耳を傾けているが、話が読めず面白くない郁哉はトイレを口実にその場から離れた。

(二人で盛り上がるなよな。席替わる必要なかったじゃん。それにあんなに引っ付いてたら、家に居るときと一緒になっちゃうだろ)

 トイレから戻ると、今度は三人で盛り上がりをみせていた。
 郁哉が戻るなりピタリと会話が止み、居心地が悪くて堪らなくなる。
 また除け者かよとひとり不貞腐れ、まだ注文していなかった飲みものを選んでいると、扉が開き店員が四つドリンクを置いていった。

「これ郁哉の。飲みたそうにしていたでしょ?」

 それはピーチリキュールをベースに、ミルクがたっぷり入ったスイーツ感覚のカクテルだった。
 ゴロゴロと大きめにカットされた白桃が甘い香りを放っている。

「えっ……でも」
「ストイックになり過ぎるのは良くない。郁哉十分頑張ってるし、たまにはね?」

 コクリと頷き早速ひと口飲むと、想像以上に飲みやすく美味しい。
 桃の果肉も甘く熟れて柔らかく、頬が自然と緩んでしまう。

「良かったな郁哉。大先生がご褒美だってよ」
「まるで餌付けだな。でもやっぱり郁哉はそういう飲みもののほうが、なんでか嵌るよな~」
「郁哉だからね。美味しい?」
「うん。凄く美味しい! 幸せだぁ~♡」

 桃とミルクに包まれながら、郁哉は蕩ける笑顔で幸せを噛み締めていた。
 おかわりに今度はマリブとストロベリーリキュールベースのミルクで割ったカクテルをチョイスする。このお店はフルーツを生でふんだんに使うのが定番のようだ。
 調子に乗ってハイペースで飲んだせいで、郁哉はほんのりと頬を染めぐにゃりとソファーに身を任せ夢心地でいた。

「なぁ尾鷹。郁哉っていつまでお前の家に居んの?」
「そういえば、もうすぐ自分の家に戻るって言ってたぞ? お前それでいいのか?」
「ふ~ん。そんなこと言ってたんだ。それは助かる」
「助かるって……お前、郁哉のこと……」
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