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第3章 砂糖を湯煎で溶かしたら55%

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 ビクッと身体が小さく跳ねる。
 意識をしていないと言えば嘘になる。けれど勃っている……とはどういうことか。
 驚愕し視線を下に向けると、熱く蒸れた感覚に動揺する。
 風呂場でいくら宥めても反応しなかったそこは、郁哉を裏切るように存在感を示していた。

「郁哉……ここ最近ひとりでしてたでしょ」

 うなじにぬくもりが触れゾクッとする。
 首筋から尾鷹の低音が身体中を巡るように振動する。

「し、して……ない」
「郁哉のエッチな声、ちゃんと聞こえていたけど?」
「嘘だ! だってちゃんと──っ!」
「ちゃんと? やっぱりしていたんだ」

 クスッと笑う尾鷹に、羞恥心で血液が沸騰しそうだ。
 唇を噛み締めると開き直ったように郁哉は言う。

「生理現象だし勃起ぐらい誰でもするじゃん。勃ったら処理だってする。那津だって自分でするだろ?」
「もちろんするよ。俺も昨日していたし。ああ、一昨日もしたかな? いや、三日連続だったな。郁哉は?」

 カマを掛けられたと思っていた。
 偶然にしては出来過ぎている言葉に狼狽える。
 バレているなら隠す必要は無意味だと、恥じらいながらも白状する。

「した……那津と同じ……」
「ふ~ん。元気だね」
「おかげさまで……」
「健康になった証拠かな。で? 郁哉はこれ、どうするつもり?」

 寝衣にしている短パン越しに、尾鷹の指先が滑るように郁哉の下肢を撫でてくる。
 勃起といっても完全に勃ち上がっていなかったそれは、少し触れられただけでムクムクと膨張してしまう。

「ん……っ」
「自分でする? それともこのまま俺がする?」
「うう……っ、自分でっ、するか……らっ」

 尾鷹の指先が短パンから離れると、郁哉の両手を包み下着の中へと誘導し陰茎を両手で握らされる。
 下着も竿も先走りでねっとりと濡れそぼり、熱く滾った郁哉のものは今にも爆発しそうだった。

「凄いね。連日しているのにまだたっぷり出そう。ほら、郁哉の逝きたがってる」

 郁哉の手指の間から、尾鷹の長い指が郁哉のものに触れる。充血し盛り上がった血管をなぞるように弄りだす。
 ドクドクと疼くペニスが、早く刺激を寄越せと悲鳴を上げている。
 薄暗い室内に見えないだろうと思うと、郁哉は躊躇いながらも、勝手に動き出す手指を静止できずにいた。

「ふ……っ、んん……っ」
「なるほど。そうやっていつも動かすんだ」
「う……っ、見るなぁ……ッ」
「暗くてよく見えないよ。でも今後のために体感させてよ」

 クチャクチャと粘ついた音が響く。
 郁哉の掌を追うように尾鷹の掌が上下に揺れている。
 暗闇で見えにくい分、感覚が麻痺する。陰茎の上をせわしなく這い回る掌が、郁哉のものではなく尾鷹のものに思えてしまう。
 竿を扱いて鈴口を抉ると鋭い快感が込み上がってくる。

(あ……っ、イキそう……ッ)

 リズミカルに動いていた自身の掌がピタリと止まる。
 恍惚としていた快感が止み現実へと引き戻される。

「俺のこと忘れてない?」
「ん……っ、や……っ」
「忘れているでしょ。連れないな」
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