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同棲編

転生したから真面目になりました

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前世の学生時代って、勉強より友情とか恋愛に意識が向きやすかった。
勉強しなかったわけじゃないけど、受け身だったんだよね。
今世でも庶民は勉強を必要最低限するけど、前世ほど識字率も高くないし、経済も数百年単位で遅れていると思う。あまり勉強はしないんだ。

そうなってくると、久しぶりに勉強するという環境はとても楽しくなった。
マリサ先生の次には、算術と経済のローザ先生、礼儀作法のソフィア先生とお話をした。
どの先生も、みんな初日だからと雑談交じりに教本の内容を少し話してくれた。
歴史と地理は1時間弱、算術と経済も1時間弱、礼儀作法は2時間弱の学習時間だ。
それぞれの学習時間の間に5分から10分くらい休憩時間を作ってくれるらしい。
まるで前世の学校みたい。

一先ず私に必要な学習として、以上の先生を用意してくれたゼブラさんには、本当に感謝だ。
私が一定以上知識を得たら、ゼブラさんのお仕事でも手伝って少しでも負担を減らせたらと思う。


それぞれの先生からもらった教本は初級程度で、今後はこの教材を使って勉強をしていくことになるという。
勉強が楽しみになった私は、午前中に先生が帰って、お昼ご飯を食べてから、早速復習と予習をした。


この世界の紙は結構貴重らしいのだけど、竜人国においてはそれほど貴重というわけではないらしい。
自然豊かで、紙の材料となる木材が多いため、一般市民にも紙が広く普及しているようだ。
というわけで、侍女にお願いして、紙をたくさんと各教科の学習内容をまとめるノートをもらった。

今日先生たちに教えてもらった内容をノートにまとめて、それが終わってから教本をそれぞれ読んで、知識としてインプットしないといけない単語を紙の右側、その内容を左側にまとめていく。
赤いシートとかあれば隠したりしながら勉強できるのになぁと思いながら・・・、テスト勉強をしている気分でわくわくする。




ある程度時間が過ぎてから、侍女の人がテーブルに紅茶を置いてくれたことで我に返る。

「番様、集中しているところ失礼いたします。ですが、時々水分補給をしてください」

そう言われて、部屋にある時計に視線を向けると、三時間ほどずっと集中して勉強していたようだ。
侍女の人は少し心配そうな顔をしていた。
あー、心配かけさせちゃったなぁ。

「ごめんなさい。気を遣ってくれて、ありがとうございます」

入れてくれた紅茶は暖かくミルクを入れてくれていたので、ちょっと甘かった。
頭をたくさん使っていたので、余計においしく感じる。

私が勉強道具から意識を紅茶に向けたことで、クッキーも用意してくれた。
至れり尽くせりである。


ほっと気を抜いたところで、今日はずっと座りっぱなしだということに気が付いた。
外にも出ていないし、ちょっとは歩いたほうが良いかもしれない。

そう思い立ったところで、紅茶を飲み切って、クッキーも食べて、勉強道具を机の中にしまって、
侍女の人に声をかけてから庭園に出た。

ゼブラさんがいつでも見て回って良いと言ってくれたから、時々こうしてお散歩をしている。
ゼブラさんは忙しいので、基本一人だけど・・・
時間があいている時に庭園で一緒にお茶を飲んだりする。

日焼けをしないように、日傘を侍女の人にもらって、ゆっくりお花を見て回る。
竜人国は気候が安定しているから、たくさんの種類の花を植えられるそうだ。私は特に好きな花がないので、ゼブラさんはたくさんの種類を植えるよう指示してくれた。

お花をもらったりするのは勿体ないとか、育てても食料にならないから興味がなかったんだけど・・・、こうして好きな人が私のために用意してくれるのはとても嬉しいものだ。



しばらく歩いていると、バラの花でできたアーチの前に来た。
ゼブラさんのことを考えながら歩いていると、結構建物から離れたところまで歩いていたようだ。

バラの花なんて、前世では時々見かけたけど、この世界ではまだ貴族とかじゃないと普及していない。
ちょっと富裕層の家だったら手に入るかもしれないけど、庶民は花を買うことに抵抗があるため(実用性がないから)、本当に久しぶりに見る。

「・・・あ」

久しぶりに頭を使ったからか、バラの花を見ていたらあることを思いついた。
もう枯れそうなバラを使って、ポプリとか作れないかな?

部屋に置いたら、良い香りだからストレス解消とかできるんじゃないだろうか・・・。
お風呂に入れてもバラ風呂になるから、素敵だよね。
毎日お仕事して疲れているゼブラさんに使ってみたら、ちょっとは疲れが取れるかもしれない。

同棲するようになって、ゼブラさんは寝不足じゃなくなった。
毎日しっかり寝るようになった。

でも、毎日朝早くから夕食後にも数時間、書類仕事をしている様子を見ていると、もう少し休んでもらいたいとも思う。
この一週間休みなく働いているわけで・・・

まだ思いついただけだから、侍女の人に相談してみよう。


そう思いついて、私は散歩を切り上げて部屋に戻った。






部屋に戻ると、ちょうどゼブラさんが私の部屋の前に来たところだった。
私の姿を見つけて、とても嬉しそうに微笑む。
そんな姿を見ていると、こちらまで幸せになる。

「ミーア、夕食を共に食べよう。それまでの間、今日のことを教えてほしい」

今日はお茶の時間がなかったから、今ちょっとゆっくりする時間を取ろうということかもしれない。
もしかして、勉強初日で私が疲れているだろうからってお茶の時間を遠慮していたりは・・・

・・・してそうだなあゼブラさん。


でも、そんな不器用なところもゼブラさんの愛情だと思うととても嬉しい。


「私も、今日のゼブラさんのこと、教えてほしいな」

右手を差し出したゼブラさんの手に、左手を添えた。




同棲して一週間。

ようやく私の彼氏は自然に手を握れるようになりました。

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