30 / 36
同棲編
転生したから真面目になりました
しおりを挟む
前世の学生時代って、勉強より友情とか恋愛に意識が向きやすかった。
勉強しなかったわけじゃないけど、受け身だったんだよね。
今世でも庶民は勉強を必要最低限するけど、前世ほど識字率も高くないし、経済も数百年単位で遅れていると思う。あまり勉強はしないんだ。
そうなってくると、久しぶりに勉強するという環境はとても楽しくなった。
マリサ先生の次には、算術と経済のローザ先生、礼儀作法のソフィア先生とお話をした。
どの先生も、みんな初日だからと雑談交じりに教本の内容を少し話してくれた。
歴史と地理は1時間弱、算術と経済も1時間弱、礼儀作法は2時間弱の学習時間だ。
それぞれの学習時間の間に5分から10分くらい休憩時間を作ってくれるらしい。
まるで前世の学校みたい。
一先ず私に必要な学習として、以上の先生を用意してくれたゼブラさんには、本当に感謝だ。
私が一定以上知識を得たら、ゼブラさんのお仕事でも手伝って少しでも負担を減らせたらと思う。
それぞれの先生からもらった教本は初級程度で、今後はこの教材を使って勉強をしていくことになるという。
勉強が楽しみになった私は、午前中に先生が帰って、お昼ご飯を食べてから、早速復習と予習をした。
この世界の紙は結構貴重らしいのだけど、竜人国においてはそれほど貴重というわけではないらしい。
自然豊かで、紙の材料となる木材が多いため、一般市民にも紙が広く普及しているようだ。
というわけで、侍女にお願いして、紙をたくさんと各教科の学習内容をまとめるノートをもらった。
今日先生たちに教えてもらった内容をノートにまとめて、それが終わってから教本をそれぞれ読んで、知識としてインプットしないといけない単語を紙の右側、その内容を左側にまとめていく。
赤いシートとかあれば隠したりしながら勉強できるのになぁと思いながら・・・、テスト勉強をしている気分でわくわくする。
ある程度時間が過ぎてから、侍女の人がテーブルに紅茶を置いてくれたことで我に返る。
「番様、集中しているところ失礼いたします。ですが、時々水分補給をしてください」
そう言われて、部屋にある時計に視線を向けると、三時間ほどずっと集中して勉強していたようだ。
侍女の人は少し心配そうな顔をしていた。
あー、心配かけさせちゃったなぁ。
「ごめんなさい。気を遣ってくれて、ありがとうございます」
入れてくれた紅茶は暖かくミルクを入れてくれていたので、ちょっと甘かった。
頭をたくさん使っていたので、余計においしく感じる。
私が勉強道具から意識を紅茶に向けたことで、クッキーも用意してくれた。
至れり尽くせりである。
ほっと気を抜いたところで、今日はずっと座りっぱなしだということに気が付いた。
外にも出ていないし、ちょっとは歩いたほうが良いかもしれない。
そう思い立ったところで、紅茶を飲み切って、クッキーも食べて、勉強道具を机の中にしまって、
侍女の人に声をかけてから庭園に出た。
ゼブラさんがいつでも見て回って良いと言ってくれたから、時々こうしてお散歩をしている。
ゼブラさんは忙しいので、基本一人だけど・・・
時間があいている時に庭園で一緒にお茶を飲んだりする。
日焼けをしないように、日傘を侍女の人にもらって、ゆっくりお花を見て回る。
竜人国は気候が安定しているから、たくさんの種類の花を植えられるそうだ。私は特に好きな花がないので、ゼブラさんはたくさんの種類を植えるよう指示してくれた。
お花をもらったりするのは勿体ないとか、育てても食料にならないから興味がなかったんだけど・・・、こうして好きな人が私のために用意してくれるのはとても嬉しいものだ。
しばらく歩いていると、バラの花でできたアーチの前に来た。
ゼブラさんのことを考えながら歩いていると、結構建物から離れたところまで歩いていたようだ。
バラの花なんて、前世では時々見かけたけど、この世界ではまだ貴族とかじゃないと普及していない。
ちょっと富裕層の家だったら手に入るかもしれないけど、庶民は花を買うことに抵抗があるため(実用性がないから)、本当に久しぶりに見る。
「・・・あ」
久しぶりに頭を使ったからか、バラの花を見ていたらあることを思いついた。
もう枯れそうなバラを使って、ポプリとか作れないかな?
部屋に置いたら、良い香りだからストレス解消とかできるんじゃないだろうか・・・。
お風呂に入れてもバラ風呂になるから、素敵だよね。
毎日お仕事して疲れているゼブラさんに使ってみたら、ちょっとは疲れが取れるかもしれない。
同棲するようになって、ゼブラさんは寝不足じゃなくなった。
毎日しっかり寝るようになった。
でも、毎日朝早くから夕食後にも数時間、書類仕事をしている様子を見ていると、もう少し休んでもらいたいとも思う。
この一週間休みなく働いているわけで・・・
まだ思いついただけだから、侍女の人に相談してみよう。
そう思いついて、私は散歩を切り上げて部屋に戻った。
部屋に戻ると、ちょうどゼブラさんが私の部屋の前に来たところだった。
私の姿を見つけて、とても嬉しそうに微笑む。
そんな姿を見ていると、こちらまで幸せになる。
「ミーア、夕食を共に食べよう。それまでの間、今日のことを教えてほしい」
今日はお茶の時間がなかったから、今ちょっとゆっくりする時間を取ろうということかもしれない。
もしかして、勉強初日で私が疲れているだろうからってお茶の時間を遠慮していたりは・・・
・・・してそうだなあゼブラさん。
でも、そんな不器用なところもゼブラさんの愛情だと思うととても嬉しい。
「私も、今日のゼブラさんのこと、教えてほしいな」
右手を差し出したゼブラさんの手に、左手を添えた。
同棲して一週間。
ようやく私の彼氏は自然に手を握れるようになりました。
勉強しなかったわけじゃないけど、受け身だったんだよね。
今世でも庶民は勉強を必要最低限するけど、前世ほど識字率も高くないし、経済も数百年単位で遅れていると思う。あまり勉強はしないんだ。
そうなってくると、久しぶりに勉強するという環境はとても楽しくなった。
マリサ先生の次には、算術と経済のローザ先生、礼儀作法のソフィア先生とお話をした。
どの先生も、みんな初日だからと雑談交じりに教本の内容を少し話してくれた。
歴史と地理は1時間弱、算術と経済も1時間弱、礼儀作法は2時間弱の学習時間だ。
それぞれの学習時間の間に5分から10分くらい休憩時間を作ってくれるらしい。
まるで前世の学校みたい。
一先ず私に必要な学習として、以上の先生を用意してくれたゼブラさんには、本当に感謝だ。
私が一定以上知識を得たら、ゼブラさんのお仕事でも手伝って少しでも負担を減らせたらと思う。
それぞれの先生からもらった教本は初級程度で、今後はこの教材を使って勉強をしていくことになるという。
勉強が楽しみになった私は、午前中に先生が帰って、お昼ご飯を食べてから、早速復習と予習をした。
この世界の紙は結構貴重らしいのだけど、竜人国においてはそれほど貴重というわけではないらしい。
自然豊かで、紙の材料となる木材が多いため、一般市民にも紙が広く普及しているようだ。
というわけで、侍女にお願いして、紙をたくさんと各教科の学習内容をまとめるノートをもらった。
今日先生たちに教えてもらった内容をノートにまとめて、それが終わってから教本をそれぞれ読んで、知識としてインプットしないといけない単語を紙の右側、その内容を左側にまとめていく。
赤いシートとかあれば隠したりしながら勉強できるのになぁと思いながら・・・、テスト勉強をしている気分でわくわくする。
ある程度時間が過ぎてから、侍女の人がテーブルに紅茶を置いてくれたことで我に返る。
「番様、集中しているところ失礼いたします。ですが、時々水分補給をしてください」
そう言われて、部屋にある時計に視線を向けると、三時間ほどずっと集中して勉強していたようだ。
侍女の人は少し心配そうな顔をしていた。
あー、心配かけさせちゃったなぁ。
「ごめんなさい。気を遣ってくれて、ありがとうございます」
入れてくれた紅茶は暖かくミルクを入れてくれていたので、ちょっと甘かった。
頭をたくさん使っていたので、余計においしく感じる。
私が勉強道具から意識を紅茶に向けたことで、クッキーも用意してくれた。
至れり尽くせりである。
ほっと気を抜いたところで、今日はずっと座りっぱなしだということに気が付いた。
外にも出ていないし、ちょっとは歩いたほうが良いかもしれない。
そう思い立ったところで、紅茶を飲み切って、クッキーも食べて、勉強道具を机の中にしまって、
侍女の人に声をかけてから庭園に出た。
ゼブラさんがいつでも見て回って良いと言ってくれたから、時々こうしてお散歩をしている。
ゼブラさんは忙しいので、基本一人だけど・・・
時間があいている時に庭園で一緒にお茶を飲んだりする。
日焼けをしないように、日傘を侍女の人にもらって、ゆっくりお花を見て回る。
竜人国は気候が安定しているから、たくさんの種類の花を植えられるそうだ。私は特に好きな花がないので、ゼブラさんはたくさんの種類を植えるよう指示してくれた。
お花をもらったりするのは勿体ないとか、育てても食料にならないから興味がなかったんだけど・・・、こうして好きな人が私のために用意してくれるのはとても嬉しいものだ。
しばらく歩いていると、バラの花でできたアーチの前に来た。
ゼブラさんのことを考えながら歩いていると、結構建物から離れたところまで歩いていたようだ。
バラの花なんて、前世では時々見かけたけど、この世界ではまだ貴族とかじゃないと普及していない。
ちょっと富裕層の家だったら手に入るかもしれないけど、庶民は花を買うことに抵抗があるため(実用性がないから)、本当に久しぶりに見る。
「・・・あ」
久しぶりに頭を使ったからか、バラの花を見ていたらあることを思いついた。
もう枯れそうなバラを使って、ポプリとか作れないかな?
部屋に置いたら、良い香りだからストレス解消とかできるんじゃないだろうか・・・。
お風呂に入れてもバラ風呂になるから、素敵だよね。
毎日お仕事して疲れているゼブラさんに使ってみたら、ちょっとは疲れが取れるかもしれない。
同棲するようになって、ゼブラさんは寝不足じゃなくなった。
毎日しっかり寝るようになった。
でも、毎日朝早くから夕食後にも数時間、書類仕事をしている様子を見ていると、もう少し休んでもらいたいとも思う。
この一週間休みなく働いているわけで・・・
まだ思いついただけだから、侍女の人に相談してみよう。
そう思いついて、私は散歩を切り上げて部屋に戻った。
部屋に戻ると、ちょうどゼブラさんが私の部屋の前に来たところだった。
私の姿を見つけて、とても嬉しそうに微笑む。
そんな姿を見ていると、こちらまで幸せになる。
「ミーア、夕食を共に食べよう。それまでの間、今日のことを教えてほしい」
今日はお茶の時間がなかったから、今ちょっとゆっくりする時間を取ろうということかもしれない。
もしかして、勉強初日で私が疲れているだろうからってお茶の時間を遠慮していたりは・・・
・・・してそうだなあゼブラさん。
でも、そんな不器用なところもゼブラさんの愛情だと思うととても嬉しい。
「私も、今日のゼブラさんのこと、教えてほしいな」
右手を差し出したゼブラさんの手に、左手を添えた。
同棲して一週間。
ようやく私の彼氏は自然に手を握れるようになりました。
1
お気に入りに追加
642
あなたにおすすめの小説
『えっ! 私が貴方の番?! そんなの無理ですっ! 私、動物アレルギーなんですっ!』
伊織愁
恋愛
人族であるリジィーは、幼い頃、狼獣人の国であるシェラン国へ両親に連れられて来た。 家が没落したため、リジィーを育てられなくなった両親は、泣いてすがるリジィーを修道院へ預ける事にしたのだ。
実は動物アレルギーのあるリジィ―には、シェラン国で暮らす事が日に日に辛くなって来ていた。 子供だった頃とは違い、成人すれば自由に国を出ていける。 15になり成人を迎える年、リジィーはシェラン国から出ていく事を決心する。 しかし、シェラン国から出ていく矢先に事件に巻き込まれ、シェラン国の近衛騎士に助けられる。
二人が出会った瞬間、頭上から光の粒が降り注ぎ、番の刻印が刻まれた。 狼獣人の近衛騎士に『私の番っ』と熱い眼差しを受け、リジィ―は内心で叫んだ。 『私、動物アレルギーなんですけどっ! そんなのありーっ?!』
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
花姫だという私は青龍様と結婚します
綾月百花
恋愛
あらすじ
突然うちの子ではないと言われた唯(16歳)は見知らぬ男に御嵩神社の青龍神社に連れて行かれて生き神様の青龍様のお妃候補になったと言われる。突然、自分が花姫様だと言われても理解できない。連れて行かれたお屋敷には年上の花姫もいて、みな青龍様のお妃になることに必死だ。最初の禊ぎで川に流され、初めて神の存在に気付いた。神に離しかけられ、唯は青龍様に会いたくなる。せつなくて、頑張る唯を応援してください。途中残酷シーンも含まれますので苦手な方は読み飛ばしてください。
聖女様の生き残り術
毛蟹葵葉
恋愛
「お前なんか生まれてこなければ良かった」
母親に罵倒されたショックで、アイオラに前世の記憶が蘇った。
「愛され聖女の物語」という物語の悪役聖女アイオラに生まれて変わったことに気がつく。
アイオラは、物語の中で悪事の限りを尽くし、死刑される寸前にまで追い込まれるが、家族の嘆願によって死刑は免れる。
しかし、ヒロインに執着する黒幕によって殺害されるという役どころだった。
このままだったら確実に殺されてしまう!
幸い。アイオラが聖女になってから、ヒロインが現れるまでには時間があった。
アイオラは、未来のヒロインの功績を奪い生き残るために奮闘する。
リス獣人のお医者さまは番の子どもの父になりたい!
能登原あめ
恋愛
* R15はほんのり、ラブコメです。
「先生、私赤ちゃんができたみたいなんです!」
診察室に入ってきた小柄な人間の女の子リーズはとてもいい匂いがした。
せっかく番が見つかったのにリス獣人のジャノは残念でたまらない。
「診察室にお相手を呼んでも大丈夫ですよ」
「相手? いません! つまり、神様が私に赤ちゃんを授けてくださったんです」
* 全4話+おまけ小話未定。
* 本編にRシーンはほぼありませんが、小話追加する際はレーディングが変わる可能性があります。
* 表紙はCanvaさまで作成した画像を使用しております。
「俺、殿下は女だと思うんだ」
夏八木アオ
恋愛
近衛騎士チャールズは、ある日自分の仕える王太子殿下の秘密に気付いてしまう。一人で抱えきれない秘密をルームメイトに話してしまい……から始まる、惚れっぽくてちょっとアホなヒーローx男装ヒロインのゆるふわ設定のラブストーリーです。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる