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Eランク

草刈師

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 日が昇り朝焼けと共に教会の鐘が鳴り響く。
ここは僕が住むココザッコス村から乗り合い馬車で5日かかるコレデッカ南方教会があるマジハッリ砦だ。
ここには村の仲間4人でやって来た。
昨年15歳の成人の義を終え晴れて適性検査を受けにやってきたのだ。

僕の名前はバル。身体は小さいけどこれでも村で1番足が速し、村の仲間との冒険ごっこでは1番知識がある。人見知りだし、あまり社交的ではないけど適性検査で勇者や剣士になれたらハンターになって世界中を冒険したいと思っている。
村の仲間には恥ずかしくて話したことはないんだけど。

「ねえバル、私たちどんな適性があるんだろうね?」

「うーん、どうだろう、まぁ僕は普通でいいよ。ははは、、、
でも、エールならきっと凄い適性があるよ。」

「バルは自己評価低いからな!俺は剣士になっていつかドラゴンスレイヤーのビアって有名になりてぇな!」

「ビア君は自己評価高すぎるんですよ。
 俺はまあ謙虚に賢者とかですかね。」

「ナッマもなかなかだよね笑」

「あ、教会見えて来たよ。」

乗り合い馬車を降り僕たちは教会に向かった。
教会に着くと適性検査を受けるために集まった近隣の村の同年代が集まっていた。

「これより適性検査を行いますが、適性とは神の定めたあなたの天職です。しかし期待した適性でない者もいるでしょう。しかし気を落とすことはありません。人にはそれぞれ役割があるのですから、あなたはあなたの道を極めればいいのです。
それでは名を呼ばれた者は中へ来なさい。」

教会に使える神官はそう言うと数人の巫女と共に教会内部に入って行った。

昼が過ぎた頃僕の村の名が呼ばれた。

「ココザッコス村のビア。中へ。」
「はい!」

ビアが呼ばれ、ナッマが呼ばれ、エールが呼ばれた。

僕は最後か。

「バル中へ。」
「、、、はい。」

巫女に呼ばれ教会内に入ると3人が居た。

「バルがんばれ!」

声をかけてくれる仲間たちの顔は晴れやかで良い結果だったことが伝わってくる。

こんなの期待しちゃうじゃないか。
僕の胸は高鳴っていた。

「ここに手を乗せて。」

青白い水晶に手を乗せると水晶は虹色に輝き奥へと色を集めていった。

薄く淡い緑の光が残り神官が適性を伝える。

「草刈師。」

「え、」

「草刈師。」

「、、、え」

「ココザッコス村のバル、草刈師。」


聞き直しも虚しく最後には念押しで村と名指しで明言された。

「。。。く、草刈師。。。」

僕は暫く何も考えられなかった。

草刈師と言えば非戦闘職中の非戦闘職であり、草刈師は最も出世した者でも王城庭師と言われる程冒険とは無縁の職である。そしてそのほとんどは農民になるしかないのだ。
稀に薬師に雇われ薬草採取をする者もいるがごくわずかだ。
なぜなら薬草を採取するだけなら薬師でも出来るからだ。
つまり必要ないのだ。
こんな適性ではもう冒険者にはなれない。
僕の人生は詰んだ。


僕の絶望とは裏腹に仲間たちの適性は凄かった。

ビアは1万人に1人と言われる剣豪に。
ナッマは1000人に1人の灰色法使い。
エールは10万人に1人の治癒術師というレア適性だった。

帰りの乗り合い馬車の中みんなが僕を励ましてくれていたが、何も覚えていない。
みんなの冒険は始まり、僕の冒険は終わったのだ。

それから3ヶ月、僕は引き篭もった。



「おーいバルー」

ビア達が僕の家の前で呼んでいる。
少し前にダンジョンに行くと聞いていたけど、無事に帰ってきてくれた嬉しさから僕は3ヶ月ぶりに外に出た。

「久しぶりだね。ダンジョンどうだった?」

ビアが少し難しい顔をして声をだした。
「ああ、それなんだけどよ、、、」

「もし良かったら、俺たちのパーティーに入らないか?」

同情か。僕はそう思った。
最弱職の僕とパーティーを組むメリットなんてなにもない。
いやむしろデメリットしかない。
足でまといになるしかない。

「、、、同情かよ」

「違う!」
「違うよ!」
「違うぜ」
3人の声が揃って否定された。

「違うぜ、バル。」
「俺たちお前と冒険したいんだ。4人でいつも冒険ごっこしてパーティーごっこしてたあの頃の夢を一緒に叶えたいんだ!3人でダンジョンに行ってみんなそう思ったんだ!」

その本気の目に僕は気づくと差し出された手を握っていた。

「ありがとう。」

「そう言えばパーティー名はなんて言うの?」

ビアが屈託ない笑顔で言った。

「俺たちは、ドラゴンスレイヤーズだ!!」



、、、僕は思った。

マジかよ   と。
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