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~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆

412ページ目…出来ちゃいました【5】

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 オーサさんの言う事は、至極当然で簡単な話だった。
 それはそうだろう…町の中にダンジョンがあるのが問題だと言うのなら、町の外に作れば良いだけの話だったのだから。
 だが、それでも、やはり問題は発生するのが世の常である。

 当然、何かを始めると言う事は、少なからず周囲に影響を与えるからだ。
 早い話、それらの事も考慮する必要がある…と言う事だ。
 街の中がダメと言う事で、町の外にダンジョンを作る訳だが、そうなると、今度はダンジョンから溢れた魔物が、町の周囲にまで出てくる可能性があると言う事。
 それは、そのまま、町の人のみならず、町へ行き来する人達への危険が増す事を意味する。

 だがまぁ、ぶっちゃけて言うと俺のダンジョンから魔物が溢れる心配は無い。
 それを、この二人に説明するには、俺が本物のダンジョンマスターである事を説明しなければならなくなるのだが、正直、タワー塔型のダンジョンを作ると言ってる時点で、此処にいる人には説明しているのと同意語である。
 但し、この場にいない人達には、説明する事が出来ないので不安が残るのは仕方が無い事だ。

 そんな訳で、俺達の話はどんどん進んでいく。
 結果、町から少しだけ徒歩10分程離れた場所にダンジョンを作る事となった。
 しかし、町の外とは言え、ただ単純にダンジョンを作るだけでは許されない。
 一応の処置としては、タワー型のダンジョンの…塔の周囲を囲う様に、外壁を作り、他の魔物や人等が簡単に出入り出来ない様にする事で安全を考慮する形で落ち着いた。
 もちろん、その外壁には扉がついており、人の出入りを制限する事が出来る様になっている。
 そして、俺が作ろうとしているタワー型のダンジョンには最大の特徴と言える物があった。
 それは…。

「お主、先程から言っているアミューズメントパークとは、何ぞ?」
「ムゲン君、それは一体、どの様な物なんだ?」

 当然、この世界の人達には馴染みのない言葉である。
 幸い、翻訳は正常に働いているのか、言葉自体は通じている物の、その意味までは流石に分からない様だ。

「えっとですね…簡単に言うと、娯楽施設?ですかね。」
「ふむ…だが、その娯楽施設とダンジョンと、どんな関係があるのじゃ?」
「えっと、そうですね…ラオンさん、オーサさん、お二人に聞きますが、貴方あなた方が娯楽施設と聞けば、何を思い付きますか?」
「パッと思いつくものと言えば、私は、やはりカジノかね~。」
「俺は、闘技場か?」

 この世界に来て、今まで思った事と言えば、娯楽が少ないと言う事。
 もっとも、それに関しては生と死が隣り合わせの世界の為、元の世界の様に、娯楽で溢れていない。
 せいぜい、簡単な賭け事、見世物、闘技場、貴族達が楽しむオペラ?らしき物、そして…俺はプリン達が怖いので行った事が無いが娼館等である。

 後は、せいぜい子供達が安全な場所で、鬼ごっこや隠れんぼ的な事をしている位で、基本的に誰でも楽しめる娯楽と言う物が存在していないのである。
 そう言う意味では、野球やサッカー等を流行はやらせたら、凄い儲けになるだろうが、それを流行らせるには並大抵の努力じゃ済まないのは目に見えている。
 第一、肝心の俺がルールを正確に覚えていないのだから、元のスポーツとかけ離れた物になってしまう可能性が非常に高い。

 ならば、それらを踏まえて娯楽施設と言える場所を作る事が出来れば、必然的に人が集まるはずである。
 まぁ、正直、常識外れな考えではあるが、娯楽施設のあるその場所が、ダンジョンの低層だったとしても、安全であれば人は来る。
 そして、かなりの人が集まれば、そこを維持するのにダンジョンポイントDPを使ったとしても、それ以上に稼ぐ事が出来ると言うのが、俺の見込みである。

「なるほど…では、お二人の言った物が、ダンジョンの中で…しかも安全に出来れば凄いと思いませんか?
 もちろん、運営するのはダンジョン側…つまり、俺の管理下にある店員達ですが、普段、恐れられている強力な魔物モンスターや可愛い魔物とかだったら?」
「そりゃ、珍しい物見たさに人は集まるだろうね。
 だけど、それが可能だったとしても、一時的な物じゃないのかい?」
「えぇ、そうでしょうね…普通なら、ですが…。」
「つまり、お主のダンジョンは普通じゃない、と言いたいのかい?」
「そりゃそうでしょ、そもそも、魔物が店員なんですよ?
 普通なはずないじゃないですか。」

 俺の言葉に、オーサさんが目をパチパチと瞬く。
 その横で、ラオンさんが、またコイツは…と、ため息をつきながら、額に手を当てる。

「それに、どんだけ飾り付けてもダンジョンなんですから、当然、普通にダンジョンとしての機能もありますからね。
 当然ながら、一般の人達だけじゃなく、冒険者もターゲットにしてますので…。」
「つまり、アレか?ムゲン君は娯楽施設はオマケで作ると言いたいのか?」
「えぇ、その代わりと言ってはなんですが、娯楽施設で手に入る物は、ダンジョン産の物なので良い物が手に入るはずですよ?」

 俺の中では、イメージ的にはゲームセンターをイメージしている。
 その為、ダンジョンポイントで交換出来る物をゲームの景品として出す事が出来れば人気が出る筈だ。

 まぁ、本当に危険がないのであれば、おそらく、それらは受け入れられるであろう。
 あと、ゲームなんかでカジノの商品を何度も見ている事だが、冒険に使える様な景品を用意する事にも同じ事が言えるだろう。
 まぁ、目玉商品として、カジノの景品に高価な物を用意する必要があるのは言うまでもない。
 高価な景品として冒険者が使うような武具などを用意しておけば、将来、冒険者になろうと思うと人達には先行投資よろしく通ってくれるはずだ。
 そこら辺は、運任せなのは仕方ないが、ハイリスク・ハイリターンかローリスク・ローリターンの選択権は常にダンジョンに来た者に与えられているのである。

 そして、それが決め手となったのか、冒険者ギルドのギルドマスターであるラオンさんと、商業ギルドマスターのオーサさん、二人から『GOサイン』が出た事により、この作戦は実行される事となった。

 そんな訳で、ダンジョン作成の話は急ピッチで進められる事となったのだった…。
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