409 / 421
~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆
409ページ目…出来ちゃいました【2】
しおりを挟む
プリンとの激しい戦闘が終了した日の午後、俺はある決意と共に、自分の管理しているダンジョンへと来ていた。
もっとも、自分の管理しているダンジョンとは言ったが、ダンジョンマスターである俺よりも、サブマスターであるスライムの方が、真のダンジョンマスターとして活躍しているのだから、正直な話、自分の管理しているダンジョンと呼んで良いのかは、かなり微妙だったりする。
とは言え、ここに来たのは先程も言ったが、ある決意の為だ。
そして、その決意の為、俺は、このダンジョンの運営に必要なダンジョンポイントを大量に消費して、一つのアイテムを作り出した。
この行動が、これから先、吉と出るか凶と出るかは、正直、俺には判断出来ない。
ただ、俺に言える事は一つだけで…。
「悪かったな、ここまで大きくしてくれたってのに…。」
「キュ、キュ~イ(いえ、気にしないで下さい)。」
「そうか…それでも、お前には、本当にすまないと思う。」
「キュイ…(そうですか…)。」
今まで、ダンジョンマスターとしての職務を放棄し、サブマスターであるスライムにダンジョン業務を一任させてきたと言うのに、何一つ、文句も言わないスライム…正直、こいつが居なければ、既に、このダンジョン経営は破綻していたと思う。
それなのに、俺はある程度どうなるか分かっていながら、ダンジョン経営を破綻させる様な行為をしていると思うと、本当に申し訳なく思えてくる。
だが、それでも…俺には、どうしてもそれを行う必要があったのだ…。
「それで、お前はどうする?このまま此処の管理をするか?
それとも、俺と一緒に来るか?」
「キュ~…キュ、キュイキュ~(そうですね…ご迷惑でなければ、付いて行こうかと)。」
「そうか、なら、その時はよろしく頼む。
それと、こんなダンジョンマスターで悪かったな…。」
「キュキュキュイ(それは言わない約束ですよ)。」
情報源はプリンからかな?と思いつつ『あはは…』と、苦笑しながら、俺はスライムを撫でる。
改めて考えてみても、このスライムには世話になりっぱなしだ。
しかも、俺がダンジョンから出て活動出来るのも、このスライムのお陰である。
それなのに、俺はその恩を仇で返す行為をしている。
だが、それでも…俺はそうしないといけなかった。
何故なら、それが俺が彼奴等にしてやれる最善の事だと思ったのだから…。
☆★☆★☆
そして、ダンジョンを後にした俺は、自宅へと帰って来た。
すると、直ぐに、プリンが出迎えてくれた。
「ご主人様、どうでした?」
「あぁ、大丈夫だ…もちろん、アイテムの方も、ちゃんと作る事が出来た。
ただ、予想以上にダンジョンポイントの消費が激しかったから、最悪、あのダンジョンは枯渇する可能性がある。」
「それでも、ご主人様は、そうしようと思ったのですね?」
「あぁ、彼奴等には、返せないだけの恩があるからな…。」
そう言った俺に、少しだけ悲しそうな顔をしたプリンが抱きついてきた。
「それは、私も同じです。
ですが、ご主人様は、もう悲しそうな顔をするのは止めて下さい。
確かに、彼等とのお別れは辛いかもしれません。
ですが、ご主人様には私達が居ます。
それに…それでも寂しいと言うのなら、今度は本当に私達の家族を増やせば良いんです!」
何とも自分勝手な言い分である。
だが、確かに、プリンの言う事は一理ある。
それに、ばぁちゃんとの約束もあるのだ。
なら、俺には落ち込んでいる暇はない。
故に、俺は…自らを奮い立たせると、行動を開始したのだった。
☆★☆★☆
「それで、お前は、私の所に来たと?
しかも、私にダンジョンを作る為の土地を探せと言うのか?」
「えぇ…商業ギルドに都合の良い土地をお願いしたいのですが、流石に、俺個人で相談出来る様な案件じゃないですから…。
それに、これは、この町の発展にも繋がる話ですから…ね。」
「それはそうだが…普通は、こんな事を相談されるとは思いもしないぞ?」
「いや、俺も十分悩んだんですよ?
最初は、俺の屋敷の地下に作るつもりだったのを止め、こうやって相談してるんですから…。」
ぶっちゃけ、黙って自宅の地下に作っても良いのだが、それだと別の問題が発生する。
それに、この世界のダンジョンと言うのは資源でもあるのだ。
「確かに、勝手に作られるよりはマシだが…だからって、ダンジョンを作る為の土地を用意しろってのは、流石に、二つ返事で了承する事は出来ないぞ?」
「ですよね…まぁ、俺はこの町が気に入ってますからこそ、こうやって相談している訳なんですが…。」
正直、他の町でも問題がないと言えば問題ないのだが、それでも俺はこの町の住人が好きだ。
それに、ラオンさんを含め、何人か友人がいる。
その中には、受付嬢のポプラさんも含まれている。
それに、今住んでる家は、謂わば、じぃちゃんの形見でもあるのだ。
だったら、この世界で暮らすのなら、この町が良いと思っても可笑しくない筈だ。
それに、二人の孫である俺が継ぐのが、正しいあり方だと思う。
ただ、今までの俺のダンジョンは、彼等に譲ると決めたい以上、新たなダンジョンを作らなければいけない訳で…。
他にも、魔王としての使命でもあるが、それを踏まえて考えても、やはりダンジョンは資源である。
故に、町の側にあれば、町の発展の足がかりになるのだ。
「分かった分かった、なら、明日の午前中に一緒に商業ギルドへ行こう。
流石に、準備する事が多々ありすぎて、今から向かったのであれば、到底、間に合わん。」
「そうですか…では、明日はお願いします。」
「あぁ…その代わり、今度、私の頼みを聞いてもらうからな?」
「えぇ、俺に出来る事なら…ですが…。」
このタイミングで交換条件を言ってくるとは、何ともズルい人である。
しかも、頼みごとの内容は白紙とは…何を頼まれのか、恐ろしい限りである。
こうして、俺はラオンさんと、明日、商業ギルドへ行く約束をして自宅へと帰って行くのだった…。
もっとも、自分の管理しているダンジョンとは言ったが、ダンジョンマスターである俺よりも、サブマスターであるスライムの方が、真のダンジョンマスターとして活躍しているのだから、正直な話、自分の管理しているダンジョンと呼んで良いのかは、かなり微妙だったりする。
とは言え、ここに来たのは先程も言ったが、ある決意の為だ。
そして、その決意の為、俺は、このダンジョンの運営に必要なダンジョンポイントを大量に消費して、一つのアイテムを作り出した。
この行動が、これから先、吉と出るか凶と出るかは、正直、俺には判断出来ない。
ただ、俺に言える事は一つだけで…。
「悪かったな、ここまで大きくしてくれたってのに…。」
「キュ、キュ~イ(いえ、気にしないで下さい)。」
「そうか…それでも、お前には、本当にすまないと思う。」
「キュイ…(そうですか…)。」
今まで、ダンジョンマスターとしての職務を放棄し、サブマスターであるスライムにダンジョン業務を一任させてきたと言うのに、何一つ、文句も言わないスライム…正直、こいつが居なければ、既に、このダンジョン経営は破綻していたと思う。
それなのに、俺はある程度どうなるか分かっていながら、ダンジョン経営を破綻させる様な行為をしていると思うと、本当に申し訳なく思えてくる。
だが、それでも…俺には、どうしてもそれを行う必要があったのだ…。
「それで、お前はどうする?このまま此処の管理をするか?
それとも、俺と一緒に来るか?」
「キュ~…キュ、キュイキュ~(そうですね…ご迷惑でなければ、付いて行こうかと)。」
「そうか、なら、その時はよろしく頼む。
それと、こんなダンジョンマスターで悪かったな…。」
「キュキュキュイ(それは言わない約束ですよ)。」
情報源はプリンからかな?と思いつつ『あはは…』と、苦笑しながら、俺はスライムを撫でる。
改めて考えてみても、このスライムには世話になりっぱなしだ。
しかも、俺がダンジョンから出て活動出来るのも、このスライムのお陰である。
それなのに、俺はその恩を仇で返す行為をしている。
だが、それでも…俺はそうしないといけなかった。
何故なら、それが俺が彼奴等にしてやれる最善の事だと思ったのだから…。
☆★☆★☆
そして、ダンジョンを後にした俺は、自宅へと帰って来た。
すると、直ぐに、プリンが出迎えてくれた。
「ご主人様、どうでした?」
「あぁ、大丈夫だ…もちろん、アイテムの方も、ちゃんと作る事が出来た。
ただ、予想以上にダンジョンポイントの消費が激しかったから、最悪、あのダンジョンは枯渇する可能性がある。」
「それでも、ご主人様は、そうしようと思ったのですね?」
「あぁ、彼奴等には、返せないだけの恩があるからな…。」
そう言った俺に、少しだけ悲しそうな顔をしたプリンが抱きついてきた。
「それは、私も同じです。
ですが、ご主人様は、もう悲しそうな顔をするのは止めて下さい。
確かに、彼等とのお別れは辛いかもしれません。
ですが、ご主人様には私達が居ます。
それに…それでも寂しいと言うのなら、今度は本当に私達の家族を増やせば良いんです!」
何とも自分勝手な言い分である。
だが、確かに、プリンの言う事は一理ある。
それに、ばぁちゃんとの約束もあるのだ。
なら、俺には落ち込んでいる暇はない。
故に、俺は…自らを奮い立たせると、行動を開始したのだった。
☆★☆★☆
「それで、お前は、私の所に来たと?
しかも、私にダンジョンを作る為の土地を探せと言うのか?」
「えぇ…商業ギルドに都合の良い土地をお願いしたいのですが、流石に、俺個人で相談出来る様な案件じゃないですから…。
それに、これは、この町の発展にも繋がる話ですから…ね。」
「それはそうだが…普通は、こんな事を相談されるとは思いもしないぞ?」
「いや、俺も十分悩んだんですよ?
最初は、俺の屋敷の地下に作るつもりだったのを止め、こうやって相談してるんですから…。」
ぶっちゃけ、黙って自宅の地下に作っても良いのだが、それだと別の問題が発生する。
それに、この世界のダンジョンと言うのは資源でもあるのだ。
「確かに、勝手に作られるよりはマシだが…だからって、ダンジョンを作る為の土地を用意しろってのは、流石に、二つ返事で了承する事は出来ないぞ?」
「ですよね…まぁ、俺はこの町が気に入ってますからこそ、こうやって相談している訳なんですが…。」
正直、他の町でも問題がないと言えば問題ないのだが、それでも俺はこの町の住人が好きだ。
それに、ラオンさんを含め、何人か友人がいる。
その中には、受付嬢のポプラさんも含まれている。
それに、今住んでる家は、謂わば、じぃちゃんの形見でもあるのだ。
だったら、この世界で暮らすのなら、この町が良いと思っても可笑しくない筈だ。
それに、二人の孫である俺が継ぐのが、正しいあり方だと思う。
ただ、今までの俺のダンジョンは、彼等に譲ると決めたい以上、新たなダンジョンを作らなければいけない訳で…。
他にも、魔王としての使命でもあるが、それを踏まえて考えても、やはりダンジョンは資源である。
故に、町の側にあれば、町の発展の足がかりになるのだ。
「分かった分かった、なら、明日の午前中に一緒に商業ギルドへ行こう。
流石に、準備する事が多々ありすぎて、今から向かったのであれば、到底、間に合わん。」
「そうですか…では、明日はお願いします。」
「あぁ…その代わり、今度、私の頼みを聞いてもらうからな?」
「えぇ、俺に出来る事なら…ですが…。」
このタイミングで交換条件を言ってくるとは、何ともズルい人である。
しかも、頼みごとの内容は白紙とは…何を頼まれのか、恐ろしい限りである。
こうして、俺はラオンさんと、明日、商業ギルドへ行く約束をして自宅へと帰って行くのだった…。
0
お気に入りに追加
296
あなたにおすすめの小説
憧れの先輩に抱かれたくて尿道開発している僕の話
聖性ヤドン
BL
主人公の広夢は同じ学生寮に住む先輩・日向に恋をしている。
同性同士だとわかっていながら思い余って告白した広夢に、日向は「付き合えないが抱けはする」と返事。
しかしモテる日向は普通のセックスには飽きていて、広夢に尿道でイクことを要求する。
童貞の広夢に尿道はハードルが高かった。
そんな中、広夢と同室の五十嵐が広夢に好意を抱いていることがわかる。
日向に広夢を取られたくない五十嵐は、下心全開で広夢の尿道開発を手伝おうとするのだが……。
そんな三つ巴の恋とエロで物語は展開します。
※基本的に全シーン濡れ場、という縛りで書いています。
魔力ゼロの出来損ない貴族、四大精霊王に溺愛される
日之影ソラ
ファンタジー
魔法使いの名門マスタローグ家の次男として生をうけたアスク。兄のように優れた才能を期待されたアスクには何もなかった。魔法使いとしての才能はおろか、誰もが持って生まれる魔力すらない。加えて感情も欠落していた彼は、両親から拒絶され別宅で一人暮らす。
そんなある日、アスクは一冊の不思議な本を見つけた。本に誘われた世界で四大精霊王と邂逅し、自らの才能と可能性を知る。そして精霊王の契約者となったアスクは感情も取り戻し、これまで自分を馬鹿にしてきた周囲を見返していく。
HOTランキング&ファンタジーランキング1位達成!!
【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜
高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。
フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。
湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。
夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。
【R18】白い結婚なんて絶対に認めません! ~政略で嫁いだ姫君は甘い夜を過ごしたい~
瀬月 ゆな
恋愛
初恋の王子様の元に政略で嫁いで来た王女様。
けれど結婚式を挙げ、いざ初めての甘い夜……という段階になって、これは一年限りの白い結婚だなどと言われてしまう。
「白い結婚だなどといきなり仰っても、そんなの納得いきません。先っぽだけでもいいから入れて下さい!」
「あ、あなたは、ご自身が何を仰っているのか分かっておられるのですか!」
「もちろん分かっておりますとも!」
初恋の王子様とラブラブな夫婦生活を送りたくて、非常に偏った性の知識を頼りに一生懸命頑張る王女様の話。
「ムーンライトノベルズ」様でも公開しています。
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる