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~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆

398ページ目…魔王の帰還【8】

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「これが俺の怒りの一撃全力だーーーーーッ!!」

 そう叫んだ俺は、拳が『遊戯神・レキ』に当たる直前、自分の中の破壊衝動を最大限に発揮して、もう一つのスキルを発動させる。
 しくも、それ・・は、後輩の名前と同じだった。

「『魔神剣・秘奥義…砕神さいがみ』ッ!!」

『バシュンッ!』

【〖称号:神殺し〗を手に入れた。】

 到底、何かを殴った音に聞こえない、その一撃は…次の瞬間には、既に何も残っていなかった。
 何故なら、魔王・ゼロの力…ではなく、その本質…魔神としての力を乗せていたからである。

 では、此処で言う魔神としての零の本質とは、一体何か?
 それは、何でこの世界の管理をしているのか疑問に思うが、その本質とは破壊神である。
 つまり、今の一撃は、破壊神としての一撃…しかも、技の名前からも分かる様に、神をも砕く程の一撃だと言う事。
 その結果…。

「ば、莫迦な…よもや、人族が神を殺すなどと…。」

 『レキ』を取り押さえていた名も知らないオッサンが驚きの声を上げる。

そ、創造神様お、お爺ちゃん…。」

 先生こと、ミューズさんも唖然としている。
 そして、そんな事をしでかしたは…と、言うと…。

「あちゃ~…やっぱり、こうなったか…。」

〔はい、想像していた通りになりました…あ、でも直ぐに、再生させますから大丈夫です。〕

「あぁ、よろしく頼む。」

 俺はプリンにそう言うと、『ふぅ…。』と、一息付く。
 まぁ、普通に考えれば、俺の負った怪我は大怪我も良い所だが、それでも〖魔王化〗も〖魔神化〗も種族が人族ではなくなる。
 しかも、プリンと〖融合〗する事で、その種族は『スライム』が基本ベースとなる為、特殊な魔法や薬を持ちいらなくても再生する事が可能で、肉体の損傷事態は、それほど問題ではなくなる。

 そして、先程使用した〖魔神剣〗の秘奥義・・・とも言える『砕神』は…く程の威力を持って、をもく…『砕我身・・・』を持ちて『砕神・・』と成す。

 言霊ことだまと言う概念を用いた闘法で、言霊を変換し、まったく別の効果を引き出したのである。
 もっとも、普通であれば人族の俺に出来る攻撃ではない…。
 それが出来たのは、俺、プリン…そして、魔王・零と、その彼女の怒りが引き起こした奇跡に近い事だった。

「あ、そう言えば…何気に、『遊戯神・レキ』を殺しちゃいましたけど、問題なかったですかね?」

 今更ながら、俺は振り返りながら、創造神である爺さんに声を掛ける。

「ま、まぁ、問題が無い訳では無いんじゃが…それでも神に死と言う概念は無い。
 今は、死んだと言っても過言ではないじゃろうが、『遊戯神・レキ』も暫くすれば再び復活するはずじゃ。
 もっとも、復活するとは言っても、その記憶は完全に消され、真っ白な状態で復活する事になるじゃろうから、もはや別人と思った方が良いやもしれぬがの…。」

 爺さん創造神は、そう言うと、少しの間、遠くを見つめていた。

「しかし、アレじゃな…お主、いっその事、神となって破壊神ゼロの仕事を引き継いではどうじゃ?」
「ん?破壊神を…ですか?」
「そうじゃ、相手が格下の『遊戯神』とは言え、神殺しを成したのじゃから、十分、その資格はあると思うのじゃが?」

 まぁ、言わんとする事は分からない訳では無いのだが、それは…。

「すいません、お断りします…俺は〖破壊神〗なんかに興味ありませんし、なりたいとも思いません。
 それに…もう少ししたら、零と彼女・・・・を開放するつもりですから…。」
「な、何じゃとッ!?しかし、彼奴等は完全にお主達の魂と同化しておるはずじゃぞ?」
「えぇ、まぁ、そうですね…ですが、プリンの…スライムとしての特性で、その問題は解決するんです。
 まぁ、その代わり、彼等はスライムになってしまうんですけど…ね。」

 そう、スライムの特性…〖分裂〗と対を成す〖増殖〗と言うスキルを使えば、それも可能となるのだ。
 そして、この世界が平和になるのであれば、もう〖魔神化〗なんてスキルは必要ないのである。

「なるほどの…じゃが、お主は本当に良いのか?」
「えぇ、ミューズさんも、その…お兄さん・・・・が居た方が嬉しいでしょうから…。」
「…何じゃ、気付いておったのか?」
「はい…だからこそ、俺を見守りつつ、色々と面倒を見てくれたんですよね?
 それも、を俺に気付かせて暴走しない様に、記憶まで封印して…。」

 勇者セイギと呼ばれた正義まさよしじぃちゃん…そのじぃちゃんとの思い出が、の記憶に干渉し、暴走しない様に、ずっと見守ってくれていたのは、零の魂を一つにした時に理解した。
 そして、先生が必要以上に俺に対し干渉して意味も…。
 普通に考えて、自分の兄家族が不幸になるより幸せになる方が良いに決まってる。
 ましてや、他神他人の所為で、一度、不幸になっているのだから、幸せにしてあげたいと思っても不思議じゃない。

「よもや、そこまで気付いておったとは…。」
「なので、俺の魂と混じってない部分だけになりますが、爺さん達にお返ししますよ。
 まぁ、先程も言いましたが、破壊神としてではなくスライムとして…ですが。」

 そう言うと、俺は苦笑しながらミューズさんに目を向ける。
 すると、頬を染めたミューズさんが、俺に向けて一言言った。

「わ、私は、お兄ちゃんが居なくても、さ、寂しくないんだからね!」

 このタイミングでツンデレされても、誰得だよ…と思うのだが、気の所為だろうか?
 それでも、そう言った彼女の顔は、プリン達嫁~ズとは違う、ドキッとしてしまう程の魅力的な笑顔だった…。
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