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~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆

395ページ目…魔王の帰還【5】

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【本来であれば、魔王・零に当たるはずの矢を、王女が自らの身体を犠牲にして庇ったのじゃ…。】

 そう告げた創造神は、しばしの間、言葉を紡ぐ事はなく、悲しい感情だけがこちらに送り続けられるのだった…。

 それから少しして、創造神は、再び話の続きを語り始めた。

【それからは、御主達の方が詳しく知っておるやもしれんの…。】
【魔王・ゼロは、己が手から失われた王女の魂を求め、王女の転生体を探し、色々と無茶をしたようじゃな…。】
【その結果、あやつは本当の意味で魔王と化し、勇者セイギによって倒されるまで、地上を戦乱の世をもたらしたのじゃ…。】
【何はともあれ、その元凶である『遊戯神・レキ』を捕まえる事が出来たのは僥倖ぎょうこうじゃったわい。】
【これで、暫くは、そっちの世界も平和になる事じゃろう。】

「まぁ、人族同士の争いは、普通にあるだろうから平和じゃないかもしれないけど…ね。」

 人間と言う生き物は、何処の世界でも同じ種でありながら、争う事を止めないおろかな生き物なのだ。

【ムゲン君、お主は身も蓋もない事を言うのう…。】
【じゃが、それに付いては、我々の預かり知らぬ所じゃな。】
【我々の仕事は、世界を行末を見守る事じゃからの。】

「う、嘘だ!それでは、我等が神が悪神だと言うのか!
 そ、それでは、兄上は…兄上の死は無駄だったと言うのかッ!!」
「ひ、姫ッ!?」

 創造神の言葉に、レスターさんの様子が可怪おかしくなる。

 いや、それ以前に、彼の部下達の言動が気になる。
 何故、彼をと呼んだのか…。
 いや、確かに、俺はを〖神眼〗で見て確認しているから、その理由は分かっている。
 だが、それでも、何故、このタイミングで…と言うのが分からないのだ。

 だが、ここで、ふと思う…そう言えば、彼は俺の〖神眼〗を誤魔化す程の隠蔽が使えたのだ。
 その為、最初、彼が〖勇者〗の称号を持っていた事に、気が付かなかった。
 もっとも、完全なる魔王となった今では〖神眼〗の能力も上がったのか、見た時には看破する事が出来たが故に、彼が彼女である事も理解できていたのである。

 だとするなら…もしも、他の部分も本気で見たら、どうなるのだろう?
 そう思った俺は、他にも隠蔽されていると仮定して、本気で見る・・事にし、その隠蔽を看破しようとした。
 その結果…。

 レスター・ハーミットの名前が、『レベッカ・フォン・シロガネ』と変わった。
 もちろん、性別も男から女へと変化している。

 つまり、彼女は、性別だけではなく名前までも隠蔽して、別人になりすましていたようだ。
 しかも、シロガネか…聖確か、王都の名前もシロガネ…これに、先程の『姫』の言葉を当てはめると…どうやら、彼女はこの国の姫様の様である。
 だが、今はそんな事より、重要な事がある…それは…。

「兄上の死って…何?」

 『レキ』が悪神である事と、レベッカの兄の死にどんな繋がりがあるのだろうか…。
 しかし、その答えは、最悪なタイミングで知る事となる。

【あ、思い出した!君達、兄弟で殺し合わせ、生き残った者が真の勇者になる事が出来るって言って、遊んだ事があったんだった。】
【そうそう、彼女の兄の名前…何だっけ?レクタ?レスタ?】
【とにかく、彼女の兄が、わざと彼女に斬られてつまらなかったから、すっかり忘れてたよ。】

 と、まるで三流芝居でも見たかの様に、くだらない物だったと言い放つ。
 なるほど、どうやら彼女が名乗っている名前は、彼女の兄の名前を借りていた様だ。

 だが、もちろん、俺の意見は『レキ』とは違う。
 おそらく、彼女の兄は、本気で彼女を愛していたのだろう。
 故に、自分の命と引き換えにしてでも彼女を救う道を選んだのだろう。

 その証拠に…。

「き、貴様!!我等が神でありながら、レスター様を侮辱するのか!」
「先程からの話を聞くに、そうなる様に、貴様が仕組んだのだろうが!」

 等々、『レキ』の事を、我らが神と言っておきながら、部下達は『レキ』の事を、激しく批難する。
 そんな傍ら、彼女レベッカは…ガックリと膝を落とし、『兄上』と呟きながら涙を流しているだけだった…。
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