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~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆
390ページ目…魔王戦、その後【4】
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やはり、生き残った魔族達は、受肉をした事で弱体化しているとは言え、種族としての能力は人間のそれとは比べるのが烏滸がましい程の物で、その中でも魔力の多さには、正直、驚きを隠せない。
その証拠に、たった十数人からなる魔族達により、『見える範囲』と言った俺の一言を守るかの如く、文字通り見渡す限り遠くには、かなりの高さがある壁を作り出していた。
もっとも、流石に魔族と言えど人数が少なかった事もあり、それらを成し遂げた全員が疲労困憊ではあった…。
「あ、あのさ…俺が言うのも何だけど、コレって、一気に壁を作る必要は無かったんじゃないか?」
アレから一時間程しか経っていないのに、見渡す限り、遠くに見えるのは、そびえ立つ壁、壁、壁…その、あまりの変化に、俺は戸惑う事しか出来ない。
だが、それは魔族達に対しては意味のある事であった。
「いえ、確かに此度は無理をしたと思います。
ですが、魔王様が、人族との争いを避ける為の手段として壁の建設を指示された事は理解しております。
それも、命令ではなく提案として…です。
元々、我々は魔王様の道具として生み出された存在…故に、そんな我々を人として扱っていただけたのですから、我々は、喜んで無理をするでしょう!」
と、何処ぞのマゾ体質な様な事を言い出す魔族達。
とは言え、言ってる事に関しては、何となくではあるが、理解出来てしまうのが悲しい。
そもそも、人と言うのは、他の人に認められる事で幸せを感じる事が出来る生き物なのだから…。
「そ、そうか…でも、本当に無理はしない方が良いぞ?
もちろん、これも命令じゃないけど、これからは極力無理はしないで欲しい。
じぃちゃん曰く、『無理をすると必ずしっぺ返しを喰らう事になる』ってヤツだ。」
本当にしっぺ返しが来るかは分からないが、散々無茶をしてきた俺でも、無理をすると、それに比例する様に負担が大きいと言うのは十分理解しているつもりだ。
故に、先程の言葉を彼等魔族達に送る事にしたのだ。
だが、その言葉を聞いた魔族達の反応は、と言うと…。
「魔王様、そう言う物なのですか?」
「そんな言葉、初めて聞きました。」
「私もです…勉強になりました。」
「しっぺ返しって何ですか?」
と、様々な答えが返ってくる…そんな中でも、一際、引いたのが…。
「いえ、むしろ私にとっては、それは快感に…。」
と言ったのは、魔族の一人である…。
俺はもちろん、嫁~ズ…だけではなく、他の魔族達もザザッと数歩離れる程である。
「お、おい、彼奴、大丈夫か?」
「わ、分からん…だが、ちょっと関わるのは避けた方が…。」
「ちょっと、こっち見ないでよ…。」
等々、酷い言われ様である…ただ、それを言われた本人は、何故か嬉しそうに恍惚な表情を浮かべご満悦だった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「さて、俺達は自分達の町に帰るが、後の事を任せても大丈夫だよな?」
あの後、色々と指示を出し、俺達が帰った後の事を決めていた。
そして、彼等には壁の内側…つまり、生き残った魔族達には自分達の領土として、壁で覆った内側の発展をお願いしておいた。
もっとも、発展と言っても農業を行い、食料を作りする自給自足の生活を促す物だったのだが…。
本来、弱体化する前の魔族達であれば、食料を作り出す必要はなかった。
そもそも、精神体であった頃は、人の負のエネルギーを糧にしていたからだ。
だが、そんな彼等も受肉をした今となっては、他の生物同様に、食べ物を摂る必要があるからだ。
幸いにも、彼等には強大な魔力があり、それを利用すれば食糧問題は解決が可能である。
その結果、僕達が離れても問題ないと言う結論になり、僕達の帰国が決定した。
もっとも、それを成し得たのは、俺の〖空間転移〗の魔法と、〖無限庫〗のお陰である。
まぁ、それ以外にも種族の個体数が増えると嬉しいとも言ってある。
彼等も受肉をした事で、人間と同様に、営みを持って、その数を増やしていけるのではないだろうか。
余談ではあるが、〖空間転移〗の魔法で今まで行った事のある場所へ植物の苗や種を手に入れに行く。
当分の間の食料を用意する事で、草木がが成長し、食べられる様になるまで飢えなくて良いのではないだろうか?
ついでに、他にも必要な物も色々な所から調達したのだった。
まぁ、新たな魔王として崇められた俺の最初の命令が、平和に生きろと言うのは魔族的に、些かどうかと思うが、それでも彼等が戦争で傷付き命を失うよりかはマシだと思ってしまう。
そして、そんな俺の思いに応えるかの様に…。
「はい、お任せください魔王様!」
と、『グレコ・ノール』が俺の問に返事をする。
彼は、自らの身体を、禁術により魔剣、皆殺しの剣と化した魔族である。
だが、今回、残った魔族を率いる為には必要な存在として、俺の中でもとびきりのチートスキルである『森羅万象』を使い、その姿を元の魔族へと変えていたのである。
当然と言えば当然だが、自ら剣になってまで着いてきた『グレコ・ノール』は、俺が完全な魔王となった事もあり、彼の忠誠はMAXである。
そして、彼に従う様に、残りの魔族達も敬礼を持って応えた。
こうして、俺達はラオンさんの言い付け通り、来た道を逆に進み、事後処理をしていく事になったのだった…。
その証拠に、たった十数人からなる魔族達により、『見える範囲』と言った俺の一言を守るかの如く、文字通り見渡す限り遠くには、かなりの高さがある壁を作り出していた。
もっとも、流石に魔族と言えど人数が少なかった事もあり、それらを成し遂げた全員が疲労困憊ではあった…。
「あ、あのさ…俺が言うのも何だけど、コレって、一気に壁を作る必要は無かったんじゃないか?」
アレから一時間程しか経っていないのに、見渡す限り、遠くに見えるのは、そびえ立つ壁、壁、壁…その、あまりの変化に、俺は戸惑う事しか出来ない。
だが、それは魔族達に対しては意味のある事であった。
「いえ、確かに此度は無理をしたと思います。
ですが、魔王様が、人族との争いを避ける為の手段として壁の建設を指示された事は理解しております。
それも、命令ではなく提案として…です。
元々、我々は魔王様の道具として生み出された存在…故に、そんな我々を人として扱っていただけたのですから、我々は、喜んで無理をするでしょう!」
と、何処ぞのマゾ体質な様な事を言い出す魔族達。
とは言え、言ってる事に関しては、何となくではあるが、理解出来てしまうのが悲しい。
そもそも、人と言うのは、他の人に認められる事で幸せを感じる事が出来る生き物なのだから…。
「そ、そうか…でも、本当に無理はしない方が良いぞ?
もちろん、これも命令じゃないけど、これからは極力無理はしないで欲しい。
じぃちゃん曰く、『無理をすると必ずしっぺ返しを喰らう事になる』ってヤツだ。」
本当にしっぺ返しが来るかは分からないが、散々無茶をしてきた俺でも、無理をすると、それに比例する様に負担が大きいと言うのは十分理解しているつもりだ。
故に、先程の言葉を彼等魔族達に送る事にしたのだ。
だが、その言葉を聞いた魔族達の反応は、と言うと…。
「魔王様、そう言う物なのですか?」
「そんな言葉、初めて聞きました。」
「私もです…勉強になりました。」
「しっぺ返しって何ですか?」
と、様々な答えが返ってくる…そんな中でも、一際、引いたのが…。
「いえ、むしろ私にとっては、それは快感に…。」
と言ったのは、魔族の一人である…。
俺はもちろん、嫁~ズ…だけではなく、他の魔族達もザザッと数歩離れる程である。
「お、おい、彼奴、大丈夫か?」
「わ、分からん…だが、ちょっと関わるのは避けた方が…。」
「ちょっと、こっち見ないでよ…。」
等々、酷い言われ様である…ただ、それを言われた本人は、何故か嬉しそうに恍惚な表情を浮かべご満悦だった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「さて、俺達は自分達の町に帰るが、後の事を任せても大丈夫だよな?」
あの後、色々と指示を出し、俺達が帰った後の事を決めていた。
そして、彼等には壁の内側…つまり、生き残った魔族達には自分達の領土として、壁で覆った内側の発展をお願いしておいた。
もっとも、発展と言っても農業を行い、食料を作りする自給自足の生活を促す物だったのだが…。
本来、弱体化する前の魔族達であれば、食料を作り出す必要はなかった。
そもそも、精神体であった頃は、人の負のエネルギーを糧にしていたからだ。
だが、そんな彼等も受肉をした今となっては、他の生物同様に、食べ物を摂る必要があるからだ。
幸いにも、彼等には強大な魔力があり、それを利用すれば食糧問題は解決が可能である。
その結果、僕達が離れても問題ないと言う結論になり、僕達の帰国が決定した。
もっとも、それを成し得たのは、俺の〖空間転移〗の魔法と、〖無限庫〗のお陰である。
まぁ、それ以外にも種族の個体数が増えると嬉しいとも言ってある。
彼等も受肉をした事で、人間と同様に、営みを持って、その数を増やしていけるのではないだろうか。
余談ではあるが、〖空間転移〗の魔法で今まで行った事のある場所へ植物の苗や種を手に入れに行く。
当分の間の食料を用意する事で、草木がが成長し、食べられる様になるまで飢えなくて良いのではないだろうか?
ついでに、他にも必要な物も色々な所から調達したのだった。
まぁ、新たな魔王として崇められた俺の最初の命令が、平和に生きろと言うのは魔族的に、些かどうかと思うが、それでも彼等が戦争で傷付き命を失うよりかはマシだと思ってしまう。
そして、そんな俺の思いに応えるかの様に…。
「はい、お任せください魔王様!」
と、『グレコ・ノール』が俺の問に返事をする。
彼は、自らの身体を、禁術により魔剣、皆殺しの剣と化した魔族である。
だが、今回、残った魔族を率いる為には必要な存在として、俺の中でもとびきりのチートスキルである『森羅万象』を使い、その姿を元の魔族へと変えていたのである。
当然と言えば当然だが、自ら剣になってまで着いてきた『グレコ・ノール』は、俺が完全な魔王となった事もあり、彼の忠誠はMAXである。
そして、彼に従う様に、残りの魔族達も敬礼を持って応えた。
こうして、俺達はラオンさんの言い付け通り、来た道を逆に進み、事後処理をしていく事になったのだった…。
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