上 下
339 / 421
~第七章:魔神復活編~

339ページ目…一時帰宅

しおりを挟む
「いや~、やっぱり我が家が一番だね~。」

 ローラの所為で大怪我を負った僕を心配した嫁~ズの面々に言われ、僕達は一時帰宅する事になった。
 とは言っても、怪我自体は既に治っているので心配はいらない。
 だが、残念ながら失った血までは戻らないので、安静にしておくのは仕方がない。
 もっとも、エリクサーまで飲んでいるので、おそらく、失った血まで復活していると思うのだが、どうにもフラ付く為、大事を取って帰って来たのだ。
 もっとも、それ以外の大事な理由もあるのだが…。

 とは言え、バカ正直に来た道を同じ時間掛けて戻って来た訳ではない。
 そこは、ほら…行った場所なら瞬時に行けると言う、どこでも○ア…もとい、〖空間転移ゲート〗と呼ばれる便利な魔法がある。
 そのお陰で消費したのは魔力のみ、それほど労力を使った訳ではなく疲れもそれほどない。
 それに、消費した魔力も、既に回復済みである。

「そ、そうですね…ですが、暫く留守にしていた所為で、少々、埃が溜まってるので掃除しなくてはいけませんけど…。」

 僕の言葉にいち早く反応したのはクズハである。
 もっとも、アリスも何か言おうとしていたが、同じ事を言おうとしていたのか黙ってしまった。

「でわ、クズハさん、アリスさん、お願いしますね。」
「は、はい。」
「はい、畏まりました。」

 プリンの言葉に、二人が返事をする。
 基本的に、家事担当はクズハとアリスで、特に何か言わなくても自発的に行動してくれる。
 正直、片付けが苦手な僕には頼りがいのある嫁~ズだ。
 特に、掃除はアリスが主体となっている為、ブラウニーとしての能力をフルに発揮して、新築並みに綺麗にしてくれる事だろう。

 それとは逆に、料理はクズハが主体となる。
 まぁ、料理に関しては家に憑くブラウニーよりも、冒険者として色々な場所に行っていたクズハの方が、色々な料理を食べてきているのでアリスには分が悪かっただけ…とも言う。
 どちらにせよ、クズハとアリスの二人は、家事全般が得意なのは変わらない訳だ。

「プリンは、どうするんだ?」

 二人が家の掃除を始める為、僕とプリン…そしてローラは暇になる。

「私は、ご主人様あなたと一緒にお風呂に入ろうかと…。
 誰かさんの所為で、ご主人様の身体やら服が血で汚れてしまいましたから、隅々すみずみまで洗わないといけませんから。
 特に、背中は一人では洗い難いですから…ね?」
「そ、そっか…確かに、背中は上手く洗えないよな…。
 なら、プリン、お願いして良いかな?」
「えぇ、もちろんです♪」
「ローラも、あなたと一緒にお風呂入りたい。」

 僕とプリンの会話を聞いて、ローラも自己主張をする…だが、プリンの答えは…。

「却下です!そもそも、ご主人様を怪我させておきながら、罰を与えないのは飼い主・・・としての責任放棄も同じ事…少し、反省して下さい。」
「飼い主って…確かに、最初はペット代わりに飼う様になったけど、今は、一応、ローラも僕の嫁なんだから、もう少し優しくしてあげても…。」
「そうですか…確かに言われてみれば、本来、ローラさんの飼い主は、ご主人様あなたですから、罰は私からではなく、ご主人様あなたに与えて貰うのが筋でしたね…。
 では、ご主人様あなた…ローラさんに、今回の罰を、お与えて下さい。」

 …なるほど、表面上は、いつものプリンではあるが、僕に怪我をさせた事に対して、かなりお冠の様である。
 だが、ローラも悪気があった訳ではない。

 それに…原因の半分は僕にあると言っても過言ではない。
 と言うのも、僕の使った石化の魔法の所為で、村にあった食料も薪も、全て石になっていた。

 その為、お腹を空かせたローラが力加減を間違えて、僕に飛び込んできたのだから…。
 そこで、頑張って考えてみた…いかにしてローラに罰にならない罰を与えるか…すると、一つの妙案が浮かんだ。

「そう言う事なら…ローラに罰を与える。
 ローラ、君に与える罰は…僕の身体を綺麗に洗う事。
 ローラが僕の身体をよごしたんだから、ローラが洗うのは当然だよね?」
「分かった…よろこんで罰を受ける。」
ご主人様あなたッ!?」

 プリンが驚くのも無理はない。
 何故なら…この罰は、正直、罰であって罰ではないからだ。
 と言うのも、普段から嫁~ズは僕の身体を洗いたがるからだ。

 つまり、十分反省しているローラに対して、これ以上の責めるのは過剰である為、罰にならない罰を与えた…と言う事。
 まぁ、僕の身体を洗いたがっていたプリンには悪いが、ここは我慢して貰う事にしよう。

「んで、風呂から上がったら、みんなでご飯にしよう。」

 そう…これこそ、帰ってきた一番の理由。
 魔神教団が占拠していた村は、全ての物が石化した。
 その結果、料理に使う薪さえも石化しているのである。

 その為、先程まで意識を失っていた僕が〖無限庫インベントリ〗から食材を出したとしても、料理が出来ない事が判明したのだ。

「ローラ、頑張る。」

 ローラはそう言うと、狼の姿から獣人の姿へと変身する。

あなた、早く風呂入る…そして、ご飯にする。」

 そう言って、僕の腕を掴むと風呂場へと引きずる様に移動をする。
 どうやら、この瞬間、ローラ彼女の中では『僕への謝罪<ご飯』の図式が出来上がった瞬間だった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが…… なろう、カクヨムでも投稿しています。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...