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~第七章:魔神復活編~

316ページ目…会談開始

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「待たせて悪かったね…では、さっそく話し合いを始めようか。
 それで、緊急の話と聞いたが、どう言った内容の話なのかな?」

 挨拶も碌に無しに、話し合いを始めようとするヘンリーさん。
 まぁ、自己紹介は既に終わってるのだから、今回の様な場合には、それの方が良いのかもしれない。

「どう言った内容、ですか…。
 えっと…落ち着いて聞いて欲しいのですが、先程、冒険者仲間から魔族の動向についての情報がありまして…。」
「ほぅ…魔族と言うと、今、砦に攻めてきている下級魔族…レッサーデーモンの事かな?」
「そうですね…いや、ある意味そうとも言えるし違うとも言えます。
 と、言うのも、現在、砦まで来ているレッサーデーモン達ではなく…新たに遠くの方から、こちらに近付いて来ているレッサーデーモン達の事なんです。」
「ん?遠くの方からとは…どう言う事なんだ?」
「先程も言いましたが、冒険者仲間に斥候を得意とする者が居まして、その者から、この砦に近付いている多数のレッサーデーモン達がいると言う情報が入りました。
 それで、そいつの言う事を信じるのであれば、そのレッサーデーモン達は、既に暴走スタンピード状態である…と言う話なんです。」
「何だと!それは本当なのかッ!?いや、しかし…こちらの斥候からは、そんな情報は来ていないのだが?」
「ですから、今、こうして話して居るんです。」

 もっとも、あのレスターからの情報が正しいとは限らないのだが…。

「そ、そうだな…では、急いでその情報の真偽を確かめさせよう。」

 確かに、ヘンリーさんの言う事は正しいと思う。
 だが、その情報が正しかった場合、その確認をする時間が致命的な隙を作り出す事だってある。
 何より、準備する時間は多ければ多いほど良いのだ。

「それじゃ、間に合わなくなるかも知れないじゃないですかッ!!」

『バンッ!』

 僕は大きな声と共に、目の前のテーブルを叩く。
 正直、イラっとしてしまったのは否定しない。

「いや…もちろん、急いで迎撃の準備はする。
 だが、こちらは冒険者ではなく軍隊なのだ…故に『はい、そうですか』と言って、君の言葉を鵜呑みする訳にはいかないのだよ…。
 その為、腕の良い斥候に情報を確認して貰う必要があるのだ…。」
「つまり、現状、何も出来ないと?」
「あぁ、残念ながら…な。
 先程も言ったが迎撃の準備の為、警戒する程度しか…な。」
「あの…一つだけ聞きたいんですが良いですか?」
「コホンッ!あぁ、話したまえ。」

 姿勢を正し、質問を促すヘンリーさん…僕が何を言い出すのか、些か緊張している様だ。

「ではお聞きします…僕のパーティーだけ・・・・・・・・・で魔族領に攻め入るって言ったら、許可貰えるんですか?」
「それは、私の判断だけでは何とも…いくら君がS級の冒険者だろうが、私個人で判断して良い案件ではないのだよ。
 よって、隊長が戻られたら、隊長に判断をお願いして貰えないだろうか?
 ただ、その…だ、君達は、我々軍隊と違い冒険者…だ。
 そう言う意味では、本来、自由である君達が出て行くのを我々に止める権利は無いと言えよう…。」

 と、ヘンリーさんが僕に言う。
 正直、明言を避けたな…と思うが、それを責めるのは辞めておこう。
 いくらS級冒険者でも、大量の下級魔族相手に打って出る…なんてのが、ヘンリーさん自分の判断で決まったら、その責任は重大…流石に副隊長には荷が重過ぎだろう…。

「つまり、出て行くなら自己責任…ですね。」

 まぁ、この場合の出て行くと言うのは、本来は逃げ帰る事を意味するのだが、ヘンリーさんは敵陣へ出て行くと理解している為、苦笑している。

「すまないが、ノーコメントと言わせて貰う。」
「分かりました…それなら、好きにさせて貰います。
 ある程度、レッサーデーモン下級魔族を間引くつもりですが、それでも数が数なんで、あまり期待しないで下さいね?
 それから、鳩を一羽お借りしても良いですか?」

 なお、この『鳩』と言うのは伝書鳩の事で、通信機能の一つだと考えてくれたら良いと思う。

「鳩を?」
「えぇ、魔族領まで着いたら、連絡した方が良いでしょ?
 向こう側の情報を伝える為にも…ね。」
「うむ…そう言う事なら、持って行くと良い。
 なんだったら、一羽と言わず二~三羽持って行っても構わんぞ?
 情報は多ければ多い方が良いからな。」
「は、ははは…それで手柄は、ヘンリーさんの物…と、まぁ、良いですけどね。
 それでは、魔族領へ進行するする許可は頼みますよ?
 それと門を通すだけで良いんで…もちろん、援護は却って危険になりますので、いらないですからね?」
「分かった…その様に手配しよう。
 だが、これだけは言わせて欲しい…スマン、生きて帰れよ?」

 無謀の試みと分かっているのだろう。
 その為、ヘンリーさんは冒険者なんかにも、平気で頭を下げる。
 騎士団の副隊長なんかしている人なので、恐らく貴族であろう彼が、平民である僕に頭を下げる。
 その価値は計り知れない行為だと思った。

「えぇ、その代わり…砦の死守、頼みましたからね?」
「あぁ、その為に我々、騎士団がいるのだからな!」

 と、ヘンリーさんが胸を張って言う。
 だけどさ…騎士団以外の人もいて、色々な人が集まり軍隊になってるんだから、騎士団だけを強調して言うの辞めといた方が良いですよ?
 そんなんだと…気を付けないと、背後からブスリ!だからね?

 何はともあれ、これで魔族領へ進行する事が可能となった。

 まぁ、ギルド暗部のレスターが、これからどう動くか分からないが…人族に害を与えない限り邪魔だけはしないはずだ。
 こうして、僕はプリン達嫁~ズを連れて、魔族領へと旅立つのだった…。
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