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~第七章:魔神復活編~
269ページ目…情報拡散【1】
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その日、冒険者ギルドに驚くべき情報がもたらされた。
それもそのはず…何せ、100年ほど前に死んだとされるダンジョンが甦ったのだ。
しかも、その情報をもたらしたのは田舎町と呼ばれているメルトの町の冒険者。
とは言え、メルトの冒険者ギルド職員の話によると、秘密兵器扱いのAランク冒険者が犯人…もとい、功労者と言うのだから、その情報は信用は出来るはずだ…と噂になる。
そんな訳で、各街や村などからも情報が正しいのか…と、色々な人達が派遣されたのだ。
その結果、ダンジョンが情報通り甦っており、魔物が現れた事が確認された。
そして、低層からのドロップ品から、1枚のメモが発見された。
「お、おい!コレ見てみろよッ!!」
「ん?どうした?」
第4階層で調査していた冒険者達が魔物を狩った時、偶然にも1枚の紙がドロップした。
そして、その紙には文字が書かれていた。
「こ、これはッ!?」
その紙をドロップした冒険者が、その内容に驚き、慌てて仲間の冒険者達へ確認するように言う。
「えっと…何々、当ダンジョンには対魔族用の聖武具、聖防具を多数用意しています。
準備に100年ほどの時間を要してしまいましたが、それでも十分な数を確保出来たと自負しております。
皆様、どうか協力の下、ダンジョンの下層まで進み、対魔族装備を入手する事を願っています。
血塗られた騎士、ドラコ・シルヴァ…。」
「ちょ、ちょっと待て!!
ドラコ・シルヴァって、あの伝説のドラコ・シルヴァか?」
「ま、まさか…な…。」
「いやいやいや、ブラッドナイトの二つ名を持つドラコ・シルヴァなんて、伝説のドラコ・シルヴァしかいないだろ?」
「バ、バッカじゃね~の?そんなの騙りに決まってるじゃんか!」
「で、でもよ…これ、ドロップ品だぞ?」
「「「……………。」」」
そう、これがドロップ品でなければ、誰かの悪戯と言われれば納得もいく。
だが、この紙は正真正銘、ダンジョンの魔物からのドロップ品であり、しかもそれを自ら手に入れたのが、このメンバーの中でリーダー的な存在、嘘を付くのも付かれるのも凄く嫌っている冒険者だった為、自作自演で無いと言う事だった。
その為、彼等は情報の真偽はともかく一度ギルドへの報告へと戻る事になったのだった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「で、これはどう言う事だ?」
ギルドマスターであるラオンさんに、まだ日が昇り始める前…暗い時間に使いの者が来て呼び出された僕は、眠いのを我慢しつつもラオンさんの部屋へとやってきていた。
そして、開口一番言われたのが、先程の言葉だ…。
「いや、どう言う事だと言われても、僕には何の事か分からないんですけど?」
そりゃそうだ、開口一番と言う言葉からも分かる様に、何も説明されていないのだから、どう言う事も何も分かる筈がないと言う物だ。
「いーや、お前なら絶対知ってるはずだ!」
それでもラオンさんは僕が関わっていると決めつけて話してくる。
まぁ、そこまで確信しているのなら僕が関わっている話なんだろう…たぶん…。
「…で、冗談抜きで何かあったんですか?」
「お前…本気で分かっていないのか?」
いやいやいや、説明も無しに分かるも分からないも無いでしょ?
「ち、ちょっと何言ってるか分かんないですが…。」
僕がそう言うと、ラオンさんは一枚の羊皮紙を僕に見せてきた…。
「こ、これはッ!?凄く汚い字ですね…。」
一応、文字として読めない事はない…と言うレベルの文字を見ると、余程急いで書いたのだろう。
「チッ…急いで書いたんだから文字が汚いのには目を瞑れ!そんな事より問題はその内容だ!」
少しふて腐れ気味のラオンさんが、内容を確認しろと言ってくるので、僕は確認をする…。
「あぁ、ドラコさんの所のダンジョンですね。
へ~、これはまた…魔族との決戦に備えての準備みたいですね。」
「…やはり、お前が関わっているみたいだな…。」
と、ラオンさんが、じと目で僕を睨み付けてくる。
「ま、まぁ、確かにまったくの無関係とは言いませんけど…ただ、今回のコレに関しては、僕は何も知りませんよ?」
確かにダンジョンの復活には手を貸した…が、こんなメモが現れる事に僕が関わるはずは無いじゃないか…。
「…だがな、お前は、このダンジョンから聖武具や聖防具を一式、入手してきたのだぞ?
しかも、装備に関しては各ギルドマスターに箝口令まで出して…だ。
それなのに、この報告にもある様に、伝説の騎士であるドラコ・シルヴァ様の名前を添えて…。
故に、はいそうですか…と納得する訳にはいかんだろうが…。」
「え~っと…い、胃薬いります?」
「あ、あぁ…頂こう…。」
僕は無限庫に保管してある胃薬の中でも、高品質の胃薬を取り出してラオンさんに渡す。
受け取ったラオンさんはお礼も言わずに受け取ると、疑いもせずに服用する。
もし毒だったらどうするんだろう?と、じ~と見ながら、そんなくだらない事を考えていたら、どうやら考えを読まれていた様だ…。
「何となくだが、考えている事は分かってるからな?
お前が少し本気を出せば、俺なんか直ぐに殺せるんだから毒を飲ますより攻撃してくるだろ?
そもそも…だ、俺に攻撃しても特になる事は何もないだろ?」
ふむ…確かに、その通りである。
「で、話を戻すが、先程の文章に心当たりは?」
「う~ん…魔族が活発化してきてる事を危惧して、ドラコさんが、魔族に対抗出来る装備を大量に作成しているのは報告しましたよね?
と言うか、サンプルとして装備一式は既に見せています。
ただ、予想よりもダンジョンに人が来なくて、しびれを切らした…って所じゃないですか?
あの人?装備を作るのに夢中になりすぎて、ダンジョンポイントを枯渇させてましたから…。」
僕は半分呆れながらラオンさんに言う…そう言えば、この話はまだしてなかった様な…。
「そ、そうなのか?と言うか、もしかして、ダンジョンが復活したのって…。」
「えぇ、僕の力を分けました。」
僕がそう言うと、ラオンさんは絶句し、しばしの間、部屋に沈黙が訪れたのだった…。
それもそのはず…何せ、100年ほど前に死んだとされるダンジョンが甦ったのだ。
しかも、その情報をもたらしたのは田舎町と呼ばれているメルトの町の冒険者。
とは言え、メルトの冒険者ギルド職員の話によると、秘密兵器扱いのAランク冒険者が犯人…もとい、功労者と言うのだから、その情報は信用は出来るはずだ…と噂になる。
そんな訳で、各街や村などからも情報が正しいのか…と、色々な人達が派遣されたのだ。
その結果、ダンジョンが情報通り甦っており、魔物が現れた事が確認された。
そして、低層からのドロップ品から、1枚のメモが発見された。
「お、おい!コレ見てみろよッ!!」
「ん?どうした?」
第4階層で調査していた冒険者達が魔物を狩った時、偶然にも1枚の紙がドロップした。
そして、その紙には文字が書かれていた。
「こ、これはッ!?」
その紙をドロップした冒険者が、その内容に驚き、慌てて仲間の冒険者達へ確認するように言う。
「えっと…何々、当ダンジョンには対魔族用の聖武具、聖防具を多数用意しています。
準備に100年ほどの時間を要してしまいましたが、それでも十分な数を確保出来たと自負しております。
皆様、どうか協力の下、ダンジョンの下層まで進み、対魔族装備を入手する事を願っています。
血塗られた騎士、ドラコ・シルヴァ…。」
「ちょ、ちょっと待て!!
ドラコ・シルヴァって、あの伝説のドラコ・シルヴァか?」
「ま、まさか…な…。」
「いやいやいや、ブラッドナイトの二つ名を持つドラコ・シルヴァなんて、伝説のドラコ・シルヴァしかいないだろ?」
「バ、バッカじゃね~の?そんなの騙りに決まってるじゃんか!」
「で、でもよ…これ、ドロップ品だぞ?」
「「「……………。」」」
そう、これがドロップ品でなければ、誰かの悪戯と言われれば納得もいく。
だが、この紙は正真正銘、ダンジョンの魔物からのドロップ品であり、しかもそれを自ら手に入れたのが、このメンバーの中でリーダー的な存在、嘘を付くのも付かれるのも凄く嫌っている冒険者だった為、自作自演で無いと言う事だった。
その為、彼等は情報の真偽はともかく一度ギルドへの報告へと戻る事になったのだった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「で、これはどう言う事だ?」
ギルドマスターであるラオンさんに、まだ日が昇り始める前…暗い時間に使いの者が来て呼び出された僕は、眠いのを我慢しつつもラオンさんの部屋へとやってきていた。
そして、開口一番言われたのが、先程の言葉だ…。
「いや、どう言う事だと言われても、僕には何の事か分からないんですけど?」
そりゃそうだ、開口一番と言う言葉からも分かる様に、何も説明されていないのだから、どう言う事も何も分かる筈がないと言う物だ。
「いーや、お前なら絶対知ってるはずだ!」
それでもラオンさんは僕が関わっていると決めつけて話してくる。
まぁ、そこまで確信しているのなら僕が関わっている話なんだろう…たぶん…。
「…で、冗談抜きで何かあったんですか?」
「お前…本気で分かっていないのか?」
いやいやいや、説明も無しに分かるも分からないも無いでしょ?
「ち、ちょっと何言ってるか分かんないですが…。」
僕がそう言うと、ラオンさんは一枚の羊皮紙を僕に見せてきた…。
「こ、これはッ!?凄く汚い字ですね…。」
一応、文字として読めない事はない…と言うレベルの文字を見ると、余程急いで書いたのだろう。
「チッ…急いで書いたんだから文字が汚いのには目を瞑れ!そんな事より問題はその内容だ!」
少しふて腐れ気味のラオンさんが、内容を確認しろと言ってくるので、僕は確認をする…。
「あぁ、ドラコさんの所のダンジョンですね。
へ~、これはまた…魔族との決戦に備えての準備みたいですね。」
「…やはり、お前が関わっているみたいだな…。」
と、ラオンさんが、じと目で僕を睨み付けてくる。
「ま、まぁ、確かにまったくの無関係とは言いませんけど…ただ、今回のコレに関しては、僕は何も知りませんよ?」
確かにダンジョンの復活には手を貸した…が、こんなメモが現れる事に僕が関わるはずは無いじゃないか…。
「…だがな、お前は、このダンジョンから聖武具や聖防具を一式、入手してきたのだぞ?
しかも、装備に関しては各ギルドマスターに箝口令まで出して…だ。
それなのに、この報告にもある様に、伝説の騎士であるドラコ・シルヴァ様の名前を添えて…。
故に、はいそうですか…と納得する訳にはいかんだろうが…。」
「え~っと…い、胃薬いります?」
「あ、あぁ…頂こう…。」
僕は無限庫に保管してある胃薬の中でも、高品質の胃薬を取り出してラオンさんに渡す。
受け取ったラオンさんはお礼も言わずに受け取ると、疑いもせずに服用する。
もし毒だったらどうするんだろう?と、じ~と見ながら、そんなくだらない事を考えていたら、どうやら考えを読まれていた様だ…。
「何となくだが、考えている事は分かってるからな?
お前が少し本気を出せば、俺なんか直ぐに殺せるんだから毒を飲ますより攻撃してくるだろ?
そもそも…だ、俺に攻撃しても特になる事は何もないだろ?」
ふむ…確かに、その通りである。
「で、話を戻すが、先程の文章に心当たりは?」
「う~ん…魔族が活発化してきてる事を危惧して、ドラコさんが、魔族に対抗出来る装備を大量に作成しているのは報告しましたよね?
と言うか、サンプルとして装備一式は既に見せています。
ただ、予想よりもダンジョンに人が来なくて、しびれを切らした…って所じゃないですか?
あの人?装備を作るのに夢中になりすぎて、ダンジョンポイントを枯渇させてましたから…。」
僕は半分呆れながらラオンさんに言う…そう言えば、この話はまだしてなかった様な…。
「そ、そうなのか?と言うか、もしかして、ダンジョンが復活したのって…。」
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