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~第七章:魔神復活編~

243ページ目…ダンジョンマスターの憂鬱【2】

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 『聖王都』からメルトの町に戻り、ダンジョンを拡張した日から、既に2ヶ月が過ぎようとしていたある日の事。
 相変わらず、僕はダンジョンマスターの部屋…と、言うよりはダンジョンコアの部屋にいた…。

 とりあえず、そんな特別な部屋に入り浸って、今日も今日とて、ダンジョンの調整をしていたのだが、プリンから念話での緊急連絡が入った。

〔ご主人様、大変です!〕
〔プ、プリンかッ!?どうしたッ!?〕

 プリンからの念話で緊急事態の知らせが入る。
 もっとも、緊急事態だと判断したのは、念話から感じ取れるプリンの感情からである。

〔冒険者ギルドのラオンさんから、緊急連絡で直ぐに来てくれとの事です。〕

 プリンの言うラオンさんとは、僕が住んでいるメルトの町で冒険者ギルドのギルドマスターをやっているライオンの獣人ラオンさんの事出会ってるはずだ。
 と言うか、それ以外に冒険者ギルドのラオンと言う人物に心当たりがない。

 いつも、僕やプリンが無茶をするもんだから、最近では胃薬を常備しているとか噂になっていたはずだ…。
 そのラオンさんが、緊急連絡をしてまで呼び出す…と言う事は、何かあったに違いない…。
 とは言え、今はダンジョンの調整中で…最悪、下手をすると死者が多数出てしまうかも知れない状態なのだ。

「えぇ~い、昔からダンジョンに挑むのは自己責任!死んだら死んだ時だ!
 それよりラオンさんの方が気になる…ダンスラ(ダンジョンのサブマスターの権限を与えられたスライム)、後は頼んだ!
 僕が出ている間、極力、今の状態で死者が出ない様に調整しておいてくれ。」

「キュィッキュ(了解ッス)!」

 僕はスライムからの返事を受けて、自宅である屋敷へと転移したのだった。

◇◆◇◆◇◆◇

「ただいま!で、ラオンさんからの呼び出しについて何か言ってた?」
「おかえりなさい、ご主人様あなた
 それが、ラオンさんからの緊急の呼び出しで、直ぐに来て欲しいとの話だけで…内容までは何も聞いていないそうなんです。」

 出迎えてくれたプリンが、僕の質問に答えてくれる。
 ちなみに、メルトの町に戻ってきて半月ほど経った頃、ある事を切っ掛けに、プリンは僕の事を『あなた』と呼ぶ様になっている。
 まぁ、正確に言うとプリン以外にも…何だけどね?

「はい?どう言う事だ?」

 つまり、ラオンさんは呼び出すだけ呼び出して、内容を何も言わずに待っていると言う事なのか?

「ですから、先程、冒険者ギルドからの使いの人がやって来て、あなたにすぐに来る様に…って伝えるだけ伝えて、さっさと帰っちゃったんです…。」
「あ…そりゃそうだ、忙しいラオンさんが、わざわざ家まで尋ねてきて待ってる訳ないか…勘違いしてた。」

 僕の疑問にプリンが答えてくれる…が、考えてみれば当たり前の話だ。

 流石に、ギルドの長であるギルドマスターが緊急とは言え、たかが冒険者の…しかも個人の家にまで足を運んで来る可能性は皆無と言って良いはずだ。
 例え、それが友人と言っても可笑しくない関係であっても…だ。

「もう、ご主人様あなたったら…それで、今からギルドに向かいます?」
「あぁ、流石に緊急って言ってるんだから、急いで行かなきゃ…だろ?
 とりあえず…さっさと準備しなきゃだね。」

 そんな訳で、僕はブラウニーであるアリスに声を掛けようと思ったのだが、それよりも先にアリスがやってきて、僕に服を渡してくれた。

御主人様あなた、服の準備出来ました。」

 プリンに続き、アリスも僕の事を『あなた』と呼ぶ様になっている…これも、先程言った『ある事』の所為と言うかお陰と言うか…微妙な話だ。

「あ、サンキュ!ちょうど今、アリスにお願いしようと思ってた所なんだ。」
「いえ…ブラウニーとして、当然の事ですから。」

 アリスは、そう言いながら僕にお出掛け用の服を渡してくれる。
 ちなみに、恥ずかしい様で、顔を真っ赤にしているのは見なかった事にしておこうと思う。

「あ、流石に急ぎとは言え、本気で走っていくと問題があるから、馬車の用意をしなきゃ…。」
御主人様あなた、既に馬車はクズハさんにお願いして、玄関先に回して貰っていますので、そのまま玄関に行っていただければ大丈夫です。」
「流石、アリス、助かるよ!」

 僕はそう言うと、急いで服を着替えると、玄関へと向かう…。
 流石に鎧とかの防具は着ていないが、最低限、腰に短剣だけは装備しているので、万が一には時は、相手を殺さずに制圧出来るであろう。

 そんな事を考えていると、既に玄関に到着していた。
 慌ててる為か、上手く靴が履けずバランスを崩し掛けるが、体勢を立て直し何とか靴を掃き終える。
 そして、玄関のドアを開け放つと、そこにいたクズハへと声を掛ける。

「悪い、ちょっと時間が掛かりすぎた!馬車、サンキュ!」

 僕はそう言うと、馬車の御者席へと飛び乗るのだった…。
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