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~第六章:冒険者編(後期)~
216ページ目…呟き
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佐々木さんからの突然の告白に驚く中、僕の知らない所で、事態は刻一刻と悪い方へと変化していた。
「そう言えば、団長には話を聞いたのか?」
「いえ…と、言うか、団長って誰ですか?
そもそも、捕まえた中に団長と名乗る人はいませんでしたよ?
第一、僕達が捕まえた中で、佐々木さんが、一番、位が高かったんですから…。」
僕がそう言うと、佐々木さんは驚いた顔をして僕の方を見ていた。
「いや、団長は団長だろ?分からないのか?」
「いえ、先程も言いましたが、僕達が捕まえた聖騎士団の中で、佐々木さんが一番偉い人だって聞いて、ここに来たんですが…。
そもそも、今回捕まえた聖騎士団の中で佐々木さん以上の幹部の人がいるんですか?」
「バ、バカなッ!?俺達がいた建物の中に、団長や副団長がいたんだぞ!?」
佐々木さんの叫び声が上がる。
その声を聞いて、部屋の外にいたラムダさんが慌てて部屋の中に入ってくる。
「すまないが、その話を詳しく聞かせてもらえないだろうか?」
部屋に入るなり、ラムダさんが佐々木さんに詰め寄り声を上げる。
おそらく、盗み聞きするかの様に耳を澄ましていたのだろう。
「ラムダさん、急に…いったいどうしたんですか?」
と、僕が尋ねるとラムダさんは僕だけではなく、佐々木さんにも聞こえる様に、少し大きな声で、はっきりと告げられた。
「ムゲンさんは知らないかもしれないが、俺達があの屋敷を捜索している時に、彼等とは違う、紫色の聖騎士団の鎧を着た魔族が2体いたんだ…。」
「魔族ですか?魔物じゃなく?」
「あぁ、見間違いなんかじゃない!300年ほど前に滅んだとされる魔族だ!」
それを聞いた佐々木さんの顔が青くなる。
「そ、そんなッ!?まさか、団長が…。」
佐々木さんは何か思い当たる節があったのか、そのまま黙ってしまった。
その後、佐々木さんは何を聞いても応えず、結局、今回の事情聴取は、ここまでとなり、お開きになってしまった。
但し、僕が部屋を出た様とした時に、僕にだけ聞こえる様な声で、佐々木さんは『明日、もう一度、俺に会いに来てくれ』と言っていた。
◇◆◇◆◇◆◇
「ご主人様、事情聴取はどうでしたか?」
その後、僕は宿屋に帰って来たのだが、僕の姿を見たプリンが直ぐによって来て、先ほどの事情聴取について聞いて来た。
「どうしたんだ?プリンにしては、やけに事情聴取の事が気になってるみたいだが…。」
「いえ、実は女の勘と言うか野生の勘と言うか…今回の聖騎士団の事が、凄く気になって仕方がないんです。」
「プリンがそんなに気にするって、何か凄く不思議な気がするね。」
と、僕は揶揄うと、プリンは真面目な顔をして僕に言って来た。
「ご主人様、私が保険として預けたプチドラ…もし私に何かあったら、私だと思って大事にしてくださいね?」
「おいおい、縁起でも無い事言うなよ…。」
僕は冗談だと思い、苦笑しながらプリンに言う、だが、それでもプリンは凄く真剣な顔をして言ってくる。
「ご主人様、約束してください。」
「あ、あぁ、分かった、約束する…。
だけど、僕が絶対にプリンを守るから、その約束は意味がないと思うぞ?」
と、僕はプリンに何かあると考える事自体が嫌で、半ば誤魔化す様にプリンに言う。
すると、プリンは悲しそうに『それでも、運命を変える事は出来ないと思います。』と小さな声で呟いた。
本来、誰にも聞こえない筈だったプリンの小さな呟きは、何故か、その時だけは、僕の耳にしっかり届き、悲しい程、僕の心に棘を刺したのだった…。
「そう言えば、団長には話を聞いたのか?」
「いえ…と、言うか、団長って誰ですか?
そもそも、捕まえた中に団長と名乗る人はいませんでしたよ?
第一、僕達が捕まえた中で、佐々木さんが、一番、位が高かったんですから…。」
僕がそう言うと、佐々木さんは驚いた顔をして僕の方を見ていた。
「いや、団長は団長だろ?分からないのか?」
「いえ、先程も言いましたが、僕達が捕まえた聖騎士団の中で、佐々木さんが一番偉い人だって聞いて、ここに来たんですが…。
そもそも、今回捕まえた聖騎士団の中で佐々木さん以上の幹部の人がいるんですか?」
「バ、バカなッ!?俺達がいた建物の中に、団長や副団長がいたんだぞ!?」
佐々木さんの叫び声が上がる。
その声を聞いて、部屋の外にいたラムダさんが慌てて部屋の中に入ってくる。
「すまないが、その話を詳しく聞かせてもらえないだろうか?」
部屋に入るなり、ラムダさんが佐々木さんに詰め寄り声を上げる。
おそらく、盗み聞きするかの様に耳を澄ましていたのだろう。
「ラムダさん、急に…いったいどうしたんですか?」
と、僕が尋ねるとラムダさんは僕だけではなく、佐々木さんにも聞こえる様に、少し大きな声で、はっきりと告げられた。
「ムゲンさんは知らないかもしれないが、俺達があの屋敷を捜索している時に、彼等とは違う、紫色の聖騎士団の鎧を着た魔族が2体いたんだ…。」
「魔族ですか?魔物じゃなく?」
「あぁ、見間違いなんかじゃない!300年ほど前に滅んだとされる魔族だ!」
それを聞いた佐々木さんの顔が青くなる。
「そ、そんなッ!?まさか、団長が…。」
佐々木さんは何か思い当たる節があったのか、そのまま黙ってしまった。
その後、佐々木さんは何を聞いても応えず、結局、今回の事情聴取は、ここまでとなり、お開きになってしまった。
但し、僕が部屋を出た様とした時に、僕にだけ聞こえる様な声で、佐々木さんは『明日、もう一度、俺に会いに来てくれ』と言っていた。
◇◆◇◆◇◆◇
「ご主人様、事情聴取はどうでしたか?」
その後、僕は宿屋に帰って来たのだが、僕の姿を見たプリンが直ぐによって来て、先ほどの事情聴取について聞いて来た。
「どうしたんだ?プリンにしては、やけに事情聴取の事が気になってるみたいだが…。」
「いえ、実は女の勘と言うか野生の勘と言うか…今回の聖騎士団の事が、凄く気になって仕方がないんです。」
「プリンがそんなに気にするって、何か凄く不思議な気がするね。」
と、僕は揶揄うと、プリンは真面目な顔をして僕に言って来た。
「ご主人様、私が保険として預けたプチドラ…もし私に何かあったら、私だと思って大事にしてくださいね?」
「おいおい、縁起でも無い事言うなよ…。」
僕は冗談だと思い、苦笑しながらプリンに言う、だが、それでもプリンは凄く真剣な顔をして言ってくる。
「ご主人様、約束してください。」
「あ、あぁ、分かった、約束する…。
だけど、僕が絶対にプリンを守るから、その約束は意味がないと思うぞ?」
と、僕はプリンに何かあると考える事自体が嫌で、半ば誤魔化す様にプリンに言う。
すると、プリンは悲しそうに『それでも、運命を変える事は出来ないと思います。』と小さな声で呟いた。
本来、誰にも聞こえない筈だったプリンの小さな呟きは、何故か、その時だけは、僕の耳にしっかり届き、悲しい程、僕の心に棘を刺したのだった…。
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