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~第六章:冒険者編(後期)~

212ページ目…威嚇射撃

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「それで、これからの事なんだが…あんたにリーダーをやって貰いたい。」

 と、リーダー格の男…ラムダさんが僕に言って来る。
 しかし、僕は誰かに指示を出す戦いと言うのは殆ど経験がない。
 もちろん、プリン達には支持を出した事はあるが、他の人となると勝手が違ってくる。

 つまり、僕にはリーダーと言うポジションは適任では無いと言う事。
 なので、ここは丁重にお断りをしようと思う。

「それなんですが、僕は他のパーティーと組んだ経験が皆無なんで、指示の出し方が分かりません。
 ですので、リーダーはラムダさんの方が適任かと思います。」
「いや、しかし、それでは…いや、了解した。
 それでは俺がリーダーを務めさせて貰う事にしよう。」

 ラムダさんは周囲を見渡し他のメンバーに確認を取る様に了解したのだった。

 ◇◆◇◆◇◆◇

 そんなこんなで僕達は一斉攻撃の時間を、今か今かと待っていた。

「そう言えば、ムゲンは、そんなに強いんだから、当然、強力な魔法やスキルが使えるんだろ?
 最初の攻撃の時に見せてくれないか?」

 と、何故か、サブが提案してくる。
 それにしても、基本的に冒険者は相手を呼び捨てで呼ぶ事が多いのは知っているが、このサブに関しては、何故か、その事が少しだけイラっとくるのは何でだろう?

「サブ、ムゲンじゃない、ムゲンさんだ!
 すまない、また、うちのサブが迷惑を掛けた様だ…。」
「いえ、それは構わないんですが…そんなに強力な魔法やスキルって見たい物なんですか?」
「あぁ、自分との差がどれほどの物なのかってを見定めるのと共に、いつかは自分も同じ様にって言う目標みたいな物を、自分の目で確かめる絶好の機会だからな…。」
「なるほど…そう言う事なら、牽制?の最初の威嚇射撃の一撃は僕がやりましょうか?
 只、その後のフォローをしっかりとして貰えないと、問題ないになるかもしれませんが…。」

 ちょっと位なら、本気を出しても問題ないだろうが、下手に建物やらを破壊してしまうと、作戦に支障をきたす事になりかねない。
 その為、何かあった時、フォローが欲しいのだ。

「い、良いのか?正直、サブなんか・・・我儘わがままなんて聞かなくて良いんだぞ?」
「いえ、ただちょっと強力な技を見せるだけですから、それなら、そんな負担は無いはずですよ?」

 と、僕は何でも無い事だと伝える。
 ってか、サブなんかって発言はいかがなものでしょう?
 それはそれとして、ちょっと力を振るうだけだから、問題無いよね?
 誰もツッコミを入れてくれる人がいないので、少し心配になるのだった…。

 ◇◆◇◆◇◆◇

 それから更に時間が経ち、とうとう作戦開始時間になった。

「野郎共、準備をしろ!それと、ムゲンさんも準備をお願いします。」

 ラムダさんがみんなに声を掛ける。
 そして、何故か、僕にだけ『さん』付けで、準備をお願いしてきた。

「準備ですか?僕はいつでも良いですよ?」
「あぁ、なるほど魔法じゃなくスキルを使うんですね。」

 ラムダさんは僕が詠唱をしない為、魔法を使わないと思ったみたいだ。
 いや、魔法は使うんだけどね?正直、僕はちゃんとした詠唱を知らないだけですからね?
 とは言え、僕は事情を知らないラムダさんの勘違いを正す気は更々無いので、そのまま合図を待つ。

 数分後…合図があった。

「時間です!」

 僕は、その合図を受けて攻撃を開始する。

「〖 魔法:火炎爆弾フレアボム〗!からの~、掌握!〖 魔神剣・火炎龍爆破 〗ッ!!」

 僕は〖魔法: 火炎球ファイアーボール〗の数倍もの威力がある火炎爆弾を軸に闘気剣オーラブレードを発動させる事で魔神剣を発動させる。
 もっとも、そんなスキルは無いので、オリジナルスキルと呼んでも良いかもしれない。
 そんな『魔神剣』ごと、掌握した魔法を〖投擲〗スキルを使用し、投げつける事で、目標に向けて飛んでいく。

 すると、その魔法は西洋の竜ではなく東洋の龍を模したドラゴンとなり、攻撃対象の建物の入口へと飛んで行く。

『チュドーーーーーンッ!!』

 激しい振動と共に、もうもうと煙が立ち上がる。
 ただし、立ち上がるのは煙だけではなく、そこらかしこから火の手が上がっていた。

「やばッ!?やり過ぎた!?急いで火を消さなきゃ!」

 僕は慌てて火を消さないと火事になると思い、ラムダさん達の方を振り向いた。
 すると、そこにはあまりに強力なスキルの威力にショックを受け、目が死んでるラムダさん達御一行がいたのだった…。
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