上 下
202 / 421
~第六章:冒険者編(後期)~

202ページ目…残念

しおりを挟む
「主、着た…どう飛ぶ?」

 新しい鎧に包まれて、戦女神を彷彿とさせる姿なのに、マイペースと言うか何と言うか…残念な感じで飛び方を聞いてくるローラ。
 まぁ、ブレないと言うのは、ある意味、重要な要素でもあるのだから問題がないと言えば問題はないのだが、物事には順序と言う物がある訳で…。

「ローラ、その前に鎧の事を、ちゃんと説明しないとダメだろ?
 能力も分からないのに、いきなり飛ぼうとしたらダメだぞ。」

 と、僕が言うと、直ぐにローラが反応する。

「分かった、主、早く説明する。
 そして、飛び方教える。」
「ロ、ローラさん…ご主人様の言う事、ぜ、絶対に分かってませんよね?」

 ローラの発言に、苦笑しならがツッコミを入れるクズハ…。
 うん、その意見には僕も禿しく…もとい、激しく同意だ。

 だが、そんな事は些細な事だと言わんばかりに、ローラは尚も催促してくる。

「ローラ、飛ぶの期待してた。
 プリン、ちゃんと飛んだ言ってた。
 プリン気持ち良い言ってた。
 ローラ、もう待てない…主、ローラにも、いっぱいいっぱい、気持ち良い事させろ。」

 と、顔を近づけてお強請ねだりしてくる。
 あ~…うん、ローラの言いたい事は分かった。
 だから、もう少し距離を取って、更に言葉を選んで話して欲しい。
 最近、妙に色気が出てきているローラの言葉が、脳内でエッチな言葉に聞こえてきてしまって、戸惑ってしまう。

「わ、分かったから…ひとまず落ち着け?
 えっと…まずは、ローラの方の鎧なんだが、風の属性を秘めているってのは説明したよね?
 その為、攻撃も主に風を用もちいた攻撃が出来る様になっている。
 また、矢とか魔法などの遠距離攻撃を風を纏う事である程度、逸そらす事も可能になっているはずだ。
 後はそうだな…ローラが一番空を飛ぶのを望んでいたらか、特に早く飛べる様に、飛行に関しても風が支援してくれるはずだよ。」
「おぉッ!主、愛してる!」
「ちょっと待てッ!?ローラ、言葉分かって言ってるのか!?」

 ここに来て、まさかの愛してる発言に、ドキッとしてしまう。

「ん?プリンが、嬉しい時、愛してる、言っている。
 お礼の言葉、違うのか?」
「あ、あ~…そう言う事ね、ローラ、それはお礼の言葉じゃないぞ?
 って言うか、いつも通り『ありがとう』で良いから。
 それと意味も分からずに、あまり『愛してる』って言葉は使わない様にね?」
「うむ、分かった、主、ありがとう。」
「はい、どういたしまして。
 んで、話を戻すけど、飛ぶだけなら特に難しい事はないはずだ。
 空を飛んでるイメージを持てば、感応石が、その思念に反応して、飛行を補助してくれると思う。
 但し、空を自由に飛ぶとなると、しっかりとしたイメージを持たなければいけない。
 まぁ、ローラは感覚派だから、すぐに慣れると思うけど…要は、どんな風に飛びたいかって事だね。」
「分かった、ローラ飛んでみる。」

 そう言うと、ローラは走りながら大きくジャンプをし、そのまま、その場に着地した。

「主、ローラ、飛べない。」

 え~っと、ローラさん、何をしているのかな?

「わ、私、飛んでます!飛んでますッ!!」

 今までローラの説明に夢中で忘れていたが、クズハも思っていたより飛びたかったのか、横で聞いてたクズハが説明も途中にもかかわらず空を飛んでいる。
 もっとも、説明と言ってもクズハの場合は火属性と言うだけで、それに伴い各種の行動補助が入ったり、プリン同様に、水属性ではなく、火属性の剣やらが使えると言うだけの話なので、特には問題はない。
 そもそも、クズハ達の着ている鎧は、生きてる鎧…ある程度は鎧の方が勝手にサポートしてくれる様になっている。

 つまり…現状として考えられるのは、鎧とローラの相性が悪い…と言う事なのか?
 僕は、急いでローラの元へと駆け寄ると、ローラの鎧化アームドを強制解除させる。

「ローラ、ちょっと聞きたいんだが、鎧を着た時に体が重く感じたりしなかったか?」
「鎧着る、重くなる、当たり前。」
「いや、まぁ、確かにそうなんだけど、必要以上にって言うか何と言うか…。」
「ローラ強い、だから少し重くても平気。」

 どうも会話が噛み合っていない気がするが、どうにも『少し重くても』の部分が妙に引っ掛かる。
 僕は無限庫インベントリから金属の塊を取り出すと、ローラに持ち上げる様に言う。
 すると、ローラは言われた通りにその塊を持ち上げた。

「主、持ち上げたぞ。」
「えっ~と、その塊と鎧、どっちが重い?」
「ローラ、違いが分からん。
 たぶん、同じ位、思う。」
「そ、そっか…それは困ったな…。
 あ、その塊は、もう降ろして良いよ。」
「分かった。」

『ズシンッ!』

 僕の言葉を聞いて、ローラは足下へと金属の塊を投げ捨てた事で、重い音が周囲に響く。
 ローラよ、僕は降ろして良いとは言ったが、投げ捨てろとは言っていないからな?

 とは言え、何とはなくだが原因が分かったので、クズハには降りてきて貰い、簡単に鎧の使い方を説明して自主トレをさせつつ、この問題に取り組むのだった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが…… なろう、カクヨムでも投稿しています。

ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...