～僕の異世界冒険記～異世界冒険始めました。

破滅の女神

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～第六章：冒険者編（後期）～

177ページ目…聖王都への旅路【8】

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「ご、ご主人様、起きてください…もう、朝ですよ～。」

　ユッサユサと体を揺さぶられて、僕は目が冷める。
　アレ？確か、朝食の用意をしてた様な…。

「あらあら、ご主人様は、まだ寝惚けてるのかしら？」
「う、う～ん…やぁ、二人とも、おはよう…ふぁ～…。」
「ご主人様、今日はやけに眠そうですね？」
「う、うん…久しぶりの野宿だから緊張して、上手く眠れなかったみたいで…ね。
　とは言え、朝食の用意は殆ど終わらしたはずだから、すぐに用意…って、あれ？」

　少し頭が冴えてきたのか、朝食の用意は終わっていた事を思い出す。
　後は軽く温めるだけで、食べれるはずだ。

「ご心配なく、ご主人様が準備してくれていましたので、勝手ながらご用意させていただきました。」
「あ、そっか…プリンも確保していたもんね。」

　そう…先日の村で、オーク肉の代わりに大量に出された料理、その大半を僕の〖無限庫インベントリ〗とプリンの〖胃袋〗へと収納していたのだ。

　つまり、今回の食事はプリンの〖胃袋〗から取り出したのだろう。
　もっとも、〖胃袋〗とは言っても、言葉通りの胃袋ではなく亜空間へと通じる…所謂《いわゆる》、ド○えもんの四次元ポケットみたいな物だと思ってくれれば想像しやすいだろう。

　なので、間違っても唾液や胃液などで汚れているなんてことは一切ないので安心して食べる事が出来る。
　それに、今回は、プリンの方の貯蓄から食べるのは正解だと思う。

　と言うのも、プリンの方は時間の経過と共に、中に入れていた物の時間が少しずつ経過する。
　一方、僕の〖無限庫〗では、その時間の経過と言う物がない。
　つまり、温かい料理を〖無限庫〗に入れた場合、時間の経過が無い為、料理は温かいまま取り出す事が出来る。
　こっちの世界では未だ見た事はないが、ラーメンとかを〖胃袋〗に入れた場合だと麺が汁を吸って伸びる…なんて事も、〖無限庫〗ではない。

　逆に、プリンの場合は時間の経過があるので、昨日の温かい料理も今は冷えている。
　まぁ、今は湯気が出てるから、温め直したみたいだけど…。
　しかし、ここには電子レンジなんて物はないし、焚き火だって焚いてる訳じゃない。
　火もないし、調理器具に関しても僕の〖無限庫〗にしかないはずなのに、どうやって温めたんだろう？と、疑問が残る。

「ご主人様、折角、クズハさんが温めたんですから、冷める前に食べちゃいましょう？」
「あ、あぁ…そうだね、冷めちゃったらクズハに申し訳ないもんね。
　クズハ、料理の温め、ご苦労様。」
「い、いえ…私は温めただけですから、それに、料理を用意したのはプリン様ですので…。」
「えっへん♪」

　いや、何でそこでそんな風にドヤ顔で褒めてくれと言う様な目で僕を見るのかな？プリンさん…。
　しかし、ここで褒めると調子に乗るのが目に見えてるので、目を逸らして料理を見る。

「しっかし、凄い量だな…。」
「はい、昨日、村で確保した分を全部出しましたが、ダメでした？」
「そ、そうなんだ…まぁ、ダメじゃないから良いんだけど…。
　ただ、食料ってのは何時何が起こるか分からないから、必要な分を必要な時にってな具合に節約して使わないと、後で困る事になるかもしれないから、注意しようね？」
「でも、ご主人様がいっぱい食べると、プリンのご飯もいっぱい食べれる…。」

　一瞬、どう言う事かと思ったが、直ぐに納得がいく。

「あっ、そっか…確かに、それはそうだね。
　でも、一度に大量に…は、勘弁してね？
　動けなくなると、いざという時、2人を守ってあげられないから…。」

　プリンのご飯は、他者からの魔力等の摂取である。
　その為、食事は可能だが嗜好品・・・の意味合いが強く、本当の意味での食事にはならない。
　そして、今は…プリンは僕からの摂取で生きている様な物である。

　結果、僕の魔力を回復させる為には、僕がいっぱい食べてよく休む事が一番大事になる。
　その事を踏まえて、プリンは僕にいっぱい食べて欲しかった様だ。

「うん、それは大丈夫、ちゃんと少しずつ食べる様にするから。」

　この前の大量摂取の事が、まだ頭にあるのだろう。
　珍しく、プリンが声のトーンを落としていた。

「無理させて、ごめんなさい…。」
「いや、わざとじゃなかったんだから、気にしなくていいよ。
　さて、それじゃ…本気マジで冷めちゃう前に、ご飯を食べようかな？それじゃ、一緒に…。」
「「「いただきます！」」」

　三者三様…互いに好きな物を食べ、他の人に勧める。
　時折、『あ～ん』なんて事もあったが、美味しい朝食にありつけた事に感謝しつつ、陽気な朝食を食べたのであった。

◆◇◆◇◆◇◆

「さてと…片付け終了かな？忘れはないよね？」

　僕はそう言うと、周囲を見渡す。

「こ、こっちは全部片付け終わりました。」

　荷台を整理整頓していたクズハから報告が上がる。

「こっちも大丈夫みたいです。
　まぁ、ご飯食べる時に使った物は、基本、テーブルの上にあった物だから、落としたら直ぐ分かるし、忘れ物もないと思います。」
「確かに…でも、万が一と言う事があるからね？
　それが、もし大事な物だったら本当に困っちゃうからね…。」

　僕はそう言うと、もう一度だけ周囲を見渡す。

「うん、忘れ物はないみたいだ、それじゃ、出発しよう！」

　僕はそう言うと、ゴーレム騎士ナイト達に〖武装化〗を解除させて、馬の形になる様に指示をして荷台と連結させる。
　これで再び、馬車の完成である。
　さぁ、出発だ！僕は手綱に魔力を注ぎ込むと、馬車を操作して『聖王都』に向けて再出発するのだった…。

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