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~第四章:冒険者編(中期)~

120ページ目…実験【3】

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「〖魔法:模型創造モデリング〗!〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗!」

 すでに10数回目となる摺り合わせ作業…もう、下手に触られなければ問題ないと思う程の出来映えとなっている…にも関わらず、何となくだが納得がいかない。
 その所為で、何度も何度も微調整を行っている…。

 はっきり言って時間の無駄だ…と思う物の、何故か出来映えが気になる。
 仕方がないので、今回の調整を期に、追加として言葉をしゃべれる様に調整を施す事にする。

「あんたね~!実験と称して、人を玩具にするのも大概にしなさいよ!」
「はぁ?だったら、元の骸骨に戻りたいのか?」

 しゃべれる様になって、初めてじゃべる言葉が文句と言うのは、どうなんだろう?
 だが、〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗を多重で掛けている所為か、既にスケルトンから別の物へと進化している様である。

「い、いや、それはちょっと、今の方が良いかな~っと…。」
「だったら、醜い姿の方が良かったとか?」
「それもちょっと…。」

 まぁ、普通で考えれば不細工よりも美人だとか可愛い方が良いのは、世の常である。

「ふむふむ、だったら、ブスと美人…どっちになりたい?
 もっとも、ブスで良いのなら、もう実験しなくて良いから、こっちも楽なんだけどね?」

 既に答えは決まっている物の、えて挑発する様に言ってみる。

「う、うぐぅ、ブスよりかは美人の方が良いです…。」
「でも、実験するなって言ってなかったっけ?
 それに、可愛くするより、ブスにする方が何も考えなくて良いから凄く楽なんだけど…。
 って言うか~わざわざが身体を作ってあげる必要もなかったんだけどね。」

 基本的には逆らえない様にしているが、本人の意思に関しては否定しない。

「あの…それは、その…。」
「いや、それ以前にスケルトン…魔物なんだから退治した方が良かったかな~。」

 自分で言っておいて何だが、これはちょっと酷いかな…。

「ご、ごめんなさい!感謝してるから、もう許してください!」
「チッ…仕方がない、今回は許してやるけど、今度、そんな口の利き方したら退治するからな。」

 と、敢えて自分の方が正しいと言う様な態度を取り、優位に立つ事に心掛ける。
 まぁ、当然ながら立場の弱いスケルトンの女の子は、それに対して謝ってくる…。
 ある意味、洗脳の様な物だけど、それでも逆らってきた事からも、やはり元々の魂がある物は絶対服従する事はない様だ。

 この結果だけでも十分、実験をした価値はあるという物だが、それで納得する訳にはいかない。

「そう言えば、一つ聞きたいんだけど…何度か身体を作り替えていたんだけど、痛みとかはあったのかな?」
「い、いえ、そもそも、身体と言っても元々が泥なので…核となる魔石や骨が無事なら痛みはないです…はい…。」

 やはり、核となる魔石や骨を傷付けなければ、問題はなさそうだ。
 だとするならば…頑張って、このまま一気に仕上げてしまおう。
 そう思い、僕はスケルトンの方を向く…その姿が怖かったのか、スケルトンはジリジリと後ろに下がっていく。


 イラッ…逃げるスケルトンに、少しムカついた…すると、俺の身体から黒い靄みたいな物が吹き出してくる…。
 あれ?これって…特殊技能とくしゅスキルにあった〖瘴気〗じゃ…。
 そんな事を考えていると、俺の目の前でスケルトンの動きが止まる…。
 否、正確にはガタガタ震えて、恐怖で動けなくなっている…と言うのが正解の様だ。

「さて、鬼ごっこは終わりだ…覚悟して貰おう。」

 俺はそう言うと、スケルトンに向けて手を伸ばす…。

「き、きゃーーーッ!」

 僕は、スケルトンの五月蠅うるさい悲鳴を無視して、一気に仕上げに取り掛かる。

「〖魔法:模型創造モデリング〗!〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗!」

 これで、最後と言わんばかりに、集中して調整&魂の力を付与していく。
 そして、無事に完成を迎えた。

「わ、私…生きてる?」

 何を当たり前な事を…と思うものの、スケルトン…アンデッドだったから生きていると言うのは語弊がある様な気がする。

「何を考えて居るんだ?最初から、ちゃんと実験…調整してたじゃないか…。」
「そ、そうなんですが…てっきり殺されるかと…。」
「………まぁ、良いや。
 それで、ちゃんと調整出来たと思うけど、身体に違和感とか無いか?」

 俺がそう言うと、スケルトンだった子は体を動かして、問題ないかを確認する。
 こればかりは、本人の自己申告になるから聞かない事には分からない。

「えっと…問題ないと思います…ただ…。」
「ん?ただ…何だ?」
「ペチャパイ過ぎませんか?」
「はぁ~!?」

 まさかのペチャパイ発言である。
 確かに、胸に関しては適当に作っていた為、特に何も考えていなかった所為か、若干、ペチャパイではあるが…。

「だって、どう見ても小さいじゃないですか!」
「あのなぁ…この鎧を着れる様に調整してんのに、胸なんて関係ないだろうが!」
「で、でも…このサイズは酷すぎます!もっと大きくしてください!」

 何と言う事でしょう…よもや、スケルトン娘に胸の大きさでダメ出しを喰らうとは思っていなかった…。
 ってか、泥とは言え、身体を作っているから胸がある訳で、骨のままだと胸なんかないんだぞ?
 しかも、アンデッドとバレ無い様に、鎧を着るのに胸の大きさなんて関係ないじゃん?

「あのさ…人に見せる訳じゃないんだから、どっちでも良いじゃん?
 ってか、胸を大きくすると他の部分の調整もしなきゃだから面倒なんだよ…。」

 しかし、残念ながら、その言い訳は通用しなかった…。

「例え、人に見せなくてもです!」

 そう言うと、ジリジリと俺に近付いてくる。
 その雰囲気に押され、今度は逆に俺がジリジリと後ずさる…。

 ちょっと待て!まだ俺の身体からは〖瘴気〗が出てる筈なんだが?
 逆に俺の方が追いやられるってどうよ?

 そんなに胸が大事か?まぁ、確かに個人的にも胸は大きい方が好きだが…大きすぎるのは逆に醜いと思うから、小さくても良いじゃないか…。

「な・ん・か・失・礼・な・事・考・え・て・ま・す・よ・ね?」

 異様な気迫で僕に迫ってくる為、何か怖い…。

「い、いえ…何も考えておりませんが?」

 何故か立場が逆転してるんだけど…どうしよう?

「だったら、胸…当然、大きくしてくれますよね~?」

 い、いかん…完全に目が据わっている。
 戦えば大した事はないのは分かるのだが…もう、何を言っても無駄だと分かってはいるが、最後に反撃に出る。

「さっき、実験するなって…。」
「それはそれ、これはこれ…って言うか、実験って言うより義務です!
 私の身体を、散々、もてあそんだのは貴方なんですから、責任を取って胸を大きくする義務があるのです!」

 何だ、その訳分から理屈は!とは思うものの、身の危険を感じ、仕方なく再調整してあげる事にした。

「わ、分かったから、それ以上近付くな!」
「分かれば良いんです、分かれば!」

 元スケルトン娘はそう言うと、俺に向けて胸をグイッと突きだしてくる…。
 元々、泥だから問題ないんだろうが、自分が服も着ていない素っ裸の状態って分かっているのだろうか?
 そんな疑問を感じながら、俺は再度調整をする事になった。

 ちなみに…結局、納得いくサイズと形になるまで、この後、6回ほど調整させられた事は、みんなには秘密にしておこうと思う…ちゃんちゃん。
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