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~第四章:冒険者編(中期)~

118ページ目…実験【1】

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 そんなこんなで鎧をバラし終えた俺《・》は、彼女、スケルトンに鎧を装備させようとする。
 とは言っても、見た目だけでは、おおよそしか分からず、ちゃんとサイズが合うか分からない為、まずは籠手こてから装備させる事にする。

「んじゃ、まずは左手から出して。」

 俺がそう言うと、スケルトンは素直に応じてくれる。

『ガチャガチャ…チッ、ガチャンッ!』

 流石、スケルトン…魔法的な何かで繋がっている様だが、接合部分が弱い所為か、籠手の重みに耐える事が出来ず、左腕…肘の部分から外れて、地面に落ちてしまった。
 ちなみに、落ちた左腕は元に戻ろうと頑張ってる様だが、籠手が重過ぎて動けない様だ。
 そう考えると、剣や鎧を装備出来ているスケルトン・ソルジャーとかの上位種は、そこら辺の接合能力は凄い性能なのだろう。
 さて…こうなってくると、少々知恵を絞らないといけない…。

 すると、あまり使いたくない…と言うよりも、試した事がない事を思い付く。
 まぁ、本人には、たぶん嫌われるであろう方法だが…只の骨なんかよりは、少しでも肉体と呼べる物を手に入れる事が出来るだろう方法だから我慢して貰おう。

 俺が、スケルトンの左腕から籠手を外すと、左腕は元の場所へと飛んでいき、くっついた。
 その後、俺はスケルトンを湖の畔まで連れて歩いていった。

 その間、スケルトンは何をされるのか心配する様な仕草をする物の黙って付いてくる。
 もっとも、しゃべろうとしてもカタカタと音が鳴るだけだとは思うが…。

 そして、湖の畔まで到着すると、俺は泥を掬い取るとスケルトンに塗っていく…。
 最初こそ、ビクリと体を震わせて嫌がっていたが、俺が『動くな』と強めに言ったのが、よほど怖かったのかそれ以降、動くのを辞めて、悲しそうに泥まみれになっていった…。

 ちょっとした罪悪感があるものの、それでも、只のスケルトンでは連れて歩く事すら出来ない。
 下手をすれば、プリンの怒りを買い、餌になってしまう…そんな事になるよりかはマシなはずだ。

 それに、幸いな事に、ここの泥は全然臭くない。
 元の世界のヘドロとかと違い、ハーブ系の草の匂いはするものの、そんなに不快な匂いはしなかった。
 ただし、現在は水分が多い為に、そのまま流れ落ちる感じになってしまい、スケルトンを中心に山盛りになっているのはご愛敬だ。

 それから数分後…おそらく十分な量の泥は確保出来たと思う。
 さぁ、どうなるか分からないけど…実験を始めよう…。
 とは言え、実際に使うのは〖模型創造モデリング〗と〖擬魂付加フェイクソウル〗…この二つである。

 では、どうするかと言うと…。

『パチンッ!』

 俺は指を鳴らして〖森羅万象〗を発動させると、泥に含まれる大量の水分を、今からする実験に必要な水分量へと減らす。
 ここからが実験の開始…なので、ある程度、意のままに出来る〖森羅万象〗を使っていると言うツッコミは受け付けない。

「まずは…〖魔法:模型創造モデリング〗ッ!」

 泥がウネウネと動き、スケルトンを覆っていく…そして、少しずつ肉体を思わせる様に変化していく。
 しかし、まだまだ人の姿に見えず、泥の化け物…と言う感じではある物の、第一段階は終了だ。
 そして、次にするのは…。

「さらに…〖魔法:擬魂付加《フェイクソウル》〗ッ!」

 対象とするのは、泥…しかし、その中に居るスケルトンにも〖擬魂付加フェイクソウル〗を追加で付与して別のアンデッドへと進化を促す。
 つまり、骨だけの存在から、泥で出来ているとは言え体を与えようとしているのだ。
 ただし、籠手を装備しただけで腕が外れて落ちるのでは話にならない。

 だからこそ〖擬魂付加フェイクソウル〗で魂の力を強化して、スケルトン・ソルジャーみたいに重い物も装備出来る様にしようとしたのだ。

 もっとも、今回は装備と言うよりは受肉と言った方が良いかもしれないが…肉ではなく泥なのだから、受泥?それも何か変だし…正直、何て言って良いか分からない。
 まぁ、まだ完成ではないし…気にしないでおこう。

「まだまだ完成じゃないけど…どう?動けそう?」

 俺がそう言うと、泥の塊が少しずつ動こうとする。
 泥自体はまだ乾いていないからか。変化する事が出来るみたいで、ボトボトと落ちることなく、スケルトンの動きに合わせて変化している様だ。

「うん、コレなら、次の作業に入れるかな?」

 俺の呟きが聞こえた様で、スケルトン?が若干、震えてるのが目にとまった…が、当然の様に無視する事にする。
 やはり、魔王化していると、俺《・》の心は残虐性が増すのだろうか?と疑問に思ってしまうのだった…。
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