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~第四章:冒険者編(中期)~

117ページ目…イエス or ノー

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 やっとの思いで大量のオリハルコンを手に入れた訳だが、ここで問題になってくるのが、この骸骨スケルトンの処遇である。
 オリハルコンゴーレムの中に封印されるかの如く封じ込められていた事から考えると、何か事情が知っているかもだが、正直、モールス信号で合図されても、には分からるはずもなく…。
 もしかしたら、じぃちゃんとの記憶にあるかもしれないけど、記憶アレに関しては、基本的には触れてはいけない物として神様達と約束した認識である為、下手に思い出さない様にしている。
 そんな訳で、簡単に記憶を甦らせる訳にはいかない。

 とりあえず、現状として、このまま骸骨…スケルトンを放置する訳にいかないので、大量に手に入れたオリハルコンの一部を鎧型のゴーレムに加工して、このスケルトンに装備させようと思う。
 なお、他の人に迷惑を掛けない為に動きを制限する様に、全身鎧フルプレートアーマーである。

 外見だけで言えば只の全身鎧?にしか見えないので、これならば、例え町中であろうと問題なく出歩けるはずだ。
 もっとも、骸骨スケルトンだけに筋肉すらない訳だから、重たい鎧を着て歩けるのか?と言う疑問は残る。
 まぁ、その時はその時…と、開き直る事にした。
 もっとも、幾つか対策を考え付いたからと言う事もあり、予定通り鎧の作成に取り掛かる。

「〖魔法:模型創造モデリング〗!」

 〖模型創造モデリング〗の魔法が発動すると、直ぐにオリハルコンの塊がグニョグニョと動き、適当な大きさになった所で、ぷちりと切れる。
 そこから、更に千切れた塊がどんどん変化して、直ぐに一つの鎧が完成する。
 素材こそオリハルコンと貴重な物だが、造りに関してはシンプルの一言に尽きる。
 それ故、下手な装飾なんて言う物は一切無い。
 ただ、着て身を守る為の物…としての価値しかない鎧の完成である。

 そして、スケルトンが着れる様なサイズで…しかも極力薄く作ってある為、そこまでの重量はないはずだ。

「さぁ、着てみてくれ!」

 俺は出来立てホヤホヤの鎧をスケルトンに渡そうとする。
 だが、スケルトンはカタカタと顎を鳴らすだけで、装備しようとしない…う~ん、言葉が通じていないのだろうか?
 だが、それにしてはスケルトンの反応が…仕方がない、一応、確認をしてみるか?

「俺の言葉が分かるなら、右腕を上げてくれ。」

 すると、スケルトンは、すんなり右腕を上げてくれる。

「次に左腕を…。」

 と、上げてくれと言う前に、こちらの意図を汲んだ様に、さっと左手を挙げてくれる。
 どうやら、意思疎通は出来てる様だ。
 何より、通常のスケルトンと違い、敵意がないだけでも驚きである。

「ふむ…だったら、イエスなら右腕、ノーなら左腕を上げてくれる?
 まずは…君は、ゴーレムの中に居たけど、自分から入ったのかな?」

 すると、スケルトンは左腕を上げた…つまり、ノーと言う事か。

「だったら、誰かに閉じこめられた…と、言う事かな?」

 今度も、左腕を上げる…自分でも他人でも無いとは、どう言う事だ?
 正直、答えは二択なのに…と頭を悩ませる。
 何処か、この答えに見落としは…。

「自分でも他人でもない…あッ!もしかして分からないって事か?」

 今度は右腕を上げる…第三の答えがあったみたいで正解を導けた。
 だが、それは逆に言えば、ゴーレムの事を知らない可能性が高いと思われる訳で…。
 仕方がない、ここはダメ元で聞いてみるか…。

「えっと…君が閉じ込められていたゴーレムに付いて、何か知っている?」

 するとスケルトンは予想通り、左腕を上げた。
 やはりダメだったか…後は、このスケルトンをどうするか…だ。

「あ…そう言えば、生前は男だったのかな?」

 すると左腕を上げた…つまり、女性だったと言う事だ。
 つまり、今はスケルトンではあるものの…この場合でも、当てはまるか分からないけど女性な訳で、じぃちゃん曰く、女性には優しくする事…との事。
 仕方がない、今回は極力助けてやる事にするか…そこで、俺は新たに質問をする事にした。

「何歳だった?10代?」

 すると、少し迷った感じで右腕を上げた。
 ちょっと怪しい…。

「本当に?」

 今度は、迷わず右腕を上げる…単純に歳を教えたくなかっただけの様だ。

〔ご主人様、女性に歳を聞くのはどうかと思いますが…。〕

 と、プリンから注意を受ける…なので、『必要事項』だからと念話で返事をしておくのを忘れない。
 そして、俺は先ほどの鎧に近付き、再度、手を加える事にする。

「〖魔法:模型創造《モデリング》〗!」

 先ほど作ったのは、シンプルな鎧だったのだが、着用者が『元女性』と言う事もあり鎧の外装を、少々、変化させる事にする。
 とは言っても、胸の部分を膨らませたり、腰回りを少し細めにしたり、お尻の部分を若干大きくしたり、多少の飾りっ気を鎧に付属させる程度である。
 これで、外見だけで言えば女性の騎士に見えなくもない。

 もっとも、全身鎧フルプレートアーマーの女性騎士が、こんな所に居ると言う違和感に関しては、どうしようもないのだが…。
 何にせよ、これで移動は問題ない…はずだ。

「さぁ、今度こそ着てみてくれ。」

 僕の呼び掛けに、スケルトンは鎧の所までは行くものの、何故か、一向に、装備しようとしない…。

「もしかして、着たくない?」

 すると、左右にブンブンと首を振る…いや、そこは腕を上げれば良いんじゃね?とは思う物の、彼女?は着たくない訳ではない様だ。

「だったら…何で着ないの?」

 その質問に、さらに激しく首を左右にブンブンと振る…。
 イエスorノーでしか答えられない為、俺には直ぐに正解を導く事が出来ない。
 いったい、どうすれば…そんな事を考えていたら、プリンから話し掛けられた。

〔あの…もしかして、鎧の着方が分からないのでは…。〕

「あッ…。」

 普通に考えて、そこら辺にいる10代の女の子が全身鎧なんて着る事なんて、まずあり得ない…。
 いや、皆無と言ってる訳じゃないが、一般的な女性は着る事は無いだろう。
 だとすれば、着れと言われて、はいそうですか…とはいかないだろう。。
 自分が出来るからと言って、他人も出来るとは限らない…ちょっと考えが足りなかったと反省する。

「もしかして、着方が分からない?」

 念の為、確認の為に質問をする。
 今度は首を縦に振って肯定する。
 どうやら、正解だったみたいだ…流石、プリン、良く気が付いたと褒めてあげたい。

「なら…俺が着せてあげるよ?このままじゃ、街まで行けないし…ね。」

 街まで…その言葉が嬉しかったのか、スケルトンはその場で飛び跳ねて喜んでいる。
 だが、よく考えて欲しい…骸骨が、嬉しそうにはしゃいでる姿を…その姿は、はっきり言って『不気味』の一言に尽きる。
 まぁ、一部のマニアな人なら喜ぶかもしれないが…個人的には、あまり見ていたい物じゃない。
 俺は、溜息を付きがら、彼女?に鎧を着せる為、全身鎧をバラしていくのであった…。
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