上 下
111 / 421
~第四章:冒険者編(中期)~

111ページ目…忘れ物は何ですか?

しおりを挟む
「ガウガウッ!」

 さて困った…何で、レオは僕を引き留めようとするんだろう?
 いや、それ以前に、レオに僕を引き留める様に言ったであろうプリンの方が気になると言った方が正しいだろうか?

 まさか、本当に妖精を食べるつもりなのか?
 う~ん…さすがにそれはないと信じたい。
 が、相手がプリンだけに絶対にないと言えないのが辛いと言うか何と言うか…とりあえず、下手に悩むよりプリンに聞いた方が早い…かな?
 そんなこんなで、僕は諦めてプリンに聞く事にした。

「プリン、どうしたんだ?この妖精が、そんなに美味しそうなのか?」

 すると、プリンがすぐに返事をする。

「いえ、確かに、この妖精を食べたら美味しそうってってのは否定しませんけど…。」
「ちょっと、そこのあんたッ!私を食べても美味しくないんだからねッ!!」

 まぁ、ここで美味しいと言えば確実に食べられてしまうのだから、否定したい気持ちは分かるのだが、その態度は、色々と問題がある様な…。

「そんな事より、ご主人様は調査をせずに帰るんですか?」
「調査?何の?」

 と、間抜けな事を聞き返してしまった。
 もちろん、僕は質問の内容を直ぐに内容を思い出し、慌ててプリンに言った。

「ごめん、ゴーレムの調査の事だよね?色々あって忘れてたよ。」

 そう、ここには配達に来た事が目的ではないし、ドラゴンとの戦闘バトルでもない。
 本当の目的は、この森で見られたと言う謎のゴーレムの調査だ。

 バルムングさんの証言で、七色に輝くらしいが、上の湖で目撃したと言う目撃証言の確認中に、ドラゴンに襲われた所為で、その事をすっかり忘れていたのだった…。

◆◇◆◇◆◇◆

 ってな訳で、再びやってきました、上の湖…。
 まぁ、ドラゴンと戦った後な所為で、その痕跡が、ちょっとアレだけど…。
 とりわけ、それ以外には特に変わった事はない。

 え?妖精はどうしたって?
 もちろん、プリンが美味しく頂いた…って事はなく、ちゃんとバルムングさんに預けて来ましたよ?
 そもそも、妖精の方も、疲弊していて、自由に動けるほど回復していなかったからね。

「う~ん、やっぱり、コレと言った物ない…か、プリンの方はどう?」

 プリンと分裂…ではなく分離、つまり、融合解除してる今の僕は只の人族な為、魔物ほど感知能力は無い。
 だってさ…スキルではなく生物としての本能が重要になっている為、元の世界では、のほほんと生きてきた僕には、高性能な感知能力なんて装備されているはずがないじゃないか…。
 って事で、基本的に目視と言うよりは魔力感知で動く魔物であるプリンにお願いしたのだ。

 何故って?今は〖人化〗して、人と変わりないけど…スライム状態だと、目とか無いんだよ?
 完全に魔力感知能とかの力で周囲を認識してるんだから、感知能力が高いのは言うまでもないじゃないか。

「えっと、そうですね…湖の中に何か大きな物ある。
 って所までは分かるんですけど、それが何か…は、分かりません。」
「それって、湖のどこら辺にあるのかな?」
「はい、ちょうど真ん中辺りにある様なんですが…すいません、水の中なんで、感知の精度があまり…。」
「そっか…。」

 まぁ、普段、陸地で生活してるのだから、水の中までは上手く分からないのも仕方がない。
 むしろ、それだけでも感知出来た事の方が、ありがたい…と言うか、凄いと思う。
 とは言え、水の中か、どうやって調査するかな…。

 レオなら…と、思ったが息をする必要がないとは言え、金属の鎧であるレオは沈んだら最後、浮上する事が出来ないだろうし…何より、底にヘドロとか溜まっていた場合、埋まったら救出すら出来なくなる。
 更に言うなら…例え、回収出来たとしても、そんな臭くなったレオを僕は装備したくない。
 誰が好きこのんで、臭い鎧なんて着るものか!と叫びたくなるのは、誰もが思う事だろう。

 そうなると、回収もままならないのは明白である。
 流石に、レオを使い捨てにするのは、かなり勿体ない気がするので、レオを使う案は却下である。

 そして、プリン…スライムで呼吸不要とは言え、スライムではあるが女の子に行かせると言うのも男として少々アレだ…。
 それに、プリンに行かせた場合、何が怪しいとか分からないのでは無いだろうか?

 そうなると、僕が調査するのには一番適しているはずなんだけど…僕は呼吸が必要な訳で…。
 つまり、僕は水中では活動出来ない訳で…。

「う~ん…ダメだ、良い方法が思い浮かばない、いったいどうしようかな…。」

 と、僕は腕組みをしながら、頭を悩ませるのであった…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

憧れの先輩に抱かれたくて尿道開発している僕の話

聖性ヤドン
BL
主人公の広夢は同じ学生寮に住む先輩・日向に恋をしている。 同性同士だとわかっていながら思い余って告白した広夢に、日向は「付き合えないが抱けはする」と返事。 しかしモテる日向は普通のセックスには飽きていて、広夢に尿道でイクことを要求する。 童貞の広夢に尿道はハードルが高かった。 そんな中、広夢と同室の五十嵐が広夢に好意を抱いていることがわかる。 日向に広夢を取られたくない五十嵐は、下心全開で広夢の尿道開発を手伝おうとするのだが……。 そんな三つ巴の恋とエロで物語は展開します。 ※基本的に全シーン濡れ場、という縛りで書いています。

魔力ゼロの出来損ない貴族、四大精霊王に溺愛される

日之影ソラ
ファンタジー
魔法使いの名門マスタローグ家の次男として生をうけたアスク。兄のように優れた才能を期待されたアスクには何もなかった。魔法使いとしての才能はおろか、誰もが持って生まれる魔力すらない。加えて感情も欠落していた彼は、両親から拒絶され別宅で一人暮らす。 そんなある日、アスクは一冊の不思議な本を見つけた。本に誘われた世界で四大精霊王と邂逅し、自らの才能と可能性を知る。そして精霊王の契約者となったアスクは感情も取り戻し、これまで自分を馬鹿にしてきた周囲を見返していく。 HOTランキング&ファンタジーランキング1位達成!!

【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜

高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。 フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。 湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。 夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。

【完結】11私は愛されていなかったの?

華蓮
恋愛
アリシアはアルキロードの家に嫁ぐ予定だったけど、ある会話を聞いて、アルキロードを支える自信がなくなった。

【R18】白い結婚なんて絶対に認めません! ~政略で嫁いだ姫君は甘い夜を過ごしたい~

瀬月 ゆな
恋愛
初恋の王子様の元に政略で嫁いで来た王女様。 けれど結婚式を挙げ、いざ初めての甘い夜……という段階になって、これは一年限りの白い結婚だなどと言われてしまう。 「白い結婚だなどといきなり仰っても、そんなの納得いきません。先っぽだけでもいいから入れて下さい!」 「あ、あなたは、ご自身が何を仰っているのか分かっておられるのですか!」 「もちろん分かっておりますとも!」 初恋の王子様とラブラブな夫婦生活を送りたくて、非常に偏った性の知識を頼りに一生懸命頑張る王女様の話。 「ムーンライトノベルズ」様でも公開しています。

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

廃校カニバリズム

FUMUFUMU
ホラー
カニバリズム×廃校のホラー小説です。 読んでいただけたら幸せです。

愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす

リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」  夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。  後に夫から聞かされた衝撃の事実。  アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。 ※シリアスです。 ※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。

処理中です...