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~第四章:冒険者編(中期)~
104ページ目…回想シーン【2】
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「じぃじ、これ~。」
ん?これは…夢?いや、思い出…なのか?
小さい頃の僕がいる。
そして、じぃちゃんだけじゃなく、ばぁちゃんも…って、ばぁちゃん、若いなッ!?
「おや、夢幻…またじぃじの部屋から本を持ってきたのかい?」
「うん、これ、よんで~。」
そりゃそうだ…いくら何でも3歳位の僕に本を読む事は出来ないだろう。
何せ、その年代くらいだと文字を知らないんだ。
当然、誰かに読んで貰わないと本なんて読めるはずがない。
「どれどれ…今度は何を持ってきたのかな~?」
じぃちゃんはそう言うと僕を膝の上に乗せて、僕から本を受け取る。
そして、その本を見たじぃちゃんは、動きを止めた…。
「ま、まさか…バカな、この本は、あの時無くなったはずじゃ…。」
無くなった?何の事だろう…それに、あの本、どっかで見たことがあるような…。
「じぃじ?」
僕は今までに見た事のない、じぃちゃんの顔に驚きながら首を傾げた。
「あ、あぁ…本だったね…。」
そう言うと、じぃちゃんは慌てて本のページを捲めくる。
だけど、そこには何も書いていない。
だけど、偶然、僕の手が本に触れた、次の瞬間、本が一瞬だけ光、直ぐに消えた。
すると、再びじぃちゃんが慌てて本を調べる。
何も書かれていなかった最初のページ…1ページ目に、何やら文字が顕あらわれている。
それを見たじぃちゃんが、表拍子を念入りに調べる…。
「よかった、まだ指輪は無いようだな…。」
「じぃじ、ほん~」
「あ、あぁ…これはな『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と書いてある。」
「へぇ~。」
僕は意味も分からずに、適当な返事をした。
「あらあら、夢幻ちゃんは本当に正義さんがお気に入りですね。
ばぁばに甘えてくれなくて、ばぁばは寂しいですよ~。」
あ、ばぁちゃんだ…相変わらず綺麗で若いな…もっとも、僕が小さい時の記憶?なんだから、今よりも若いのは当然と言えば当然か。
とは言え、近所の婆さんたちに比べたら、かなり綺麗…と言うより、ぶっちゃけ可愛い。
もっともっと若ければ、お姫様と言われたら信じてしまいそうになる程だ。
「ははは…アリアさん、夢幻は私よりもアリアさんの方が大好きなんです、な~夢幻?」
「うん、ぼく、ばぁば、だ~いすき~♪」
そりゃそうだ…じぃちゃんと違い、ばぁちゃんに抱き締められると、お日様の匂いとでも言うのかな?
何故か良い匂いがして、幸せな気分になるのだ。
「あらあらあら、私も正義さんよりも夢幻ちゃんの方が大好きですよ~♪」
「わ~い、じぃじにかった~♪」
「えッ!?ちょっとアリアさん、私よりも夢幻の方が好きなんですかッ!?」
ばぁちゃんの返事に慌てるじぃちゃん…ってか、孫と競ってどうするよ?
「はい…その代わり、あなたを愛してますから♪」
その言葉で我を取り戻すじいちゃん…心なしか、じぃちゃんの頬が赤い気がする。
「なるほど…それなら、私もアリアさんを愛しています。」
あぁ、そう言えば…ばぁちゃん、よくこうやってじぃちゃんを、からかっていたな…。
なんとも懐かしい光景だ。
「正義さん、そろそろお昼の支度をしますので、ちゃんと夢幻ちゃんのお相手お願いしますね?」
「任せろておきなさい、夢幻、じぃじとお庭で遊ぼうか?とっておきの手品を見せてあげようね。」
そう言うと、じぃちゃんは僕を庭へと誘い出す。
もっとも、じぃちゃんは、直ぐに出てこず、ばぁちゃんと何やら話してから庭に出てきたのだが…。
「おまたせ!さてと…夢幻、約束通り手品を見せよう。
あそこに、柿の木があるだろ?」
そう言うと、じぃちゃんは庭にある大きな柿の木を指さす。
「ある~!」
釣られて声を上げる僕…夢?とは言え、何やらちょっと恥ずかしい。
「よ~く見ててごらん、えいッ!」
じぃちゃんの掛け声と共に、じぃちゃんの手から小さな水の塊が飛んで行き、柿の木に当たる。
そして、水の塊は、霧へと変わった…すると、そこに太陽の光が当たり…小さな虹が出来る。
あぁ…夏場、ホースで水道の水を撒く時に出来る現象だな…と改めて思う。
が、当時の僕にはそんな事分かるはずもない訳で…。
って、ちょっと待てッ!今、何処から水の塊を出した!?
当然、夢?の中のじぃちゃんはホースなんて持っていない。
いったい、何処から水の塊を…って、夢?なんだから何でもありなのか?
「じぃじ、すご~い!」
だが、そんな事もお構いなしに、夢?の中の僕は、素直に驚いている。
「えっへん、すごいだろ~!」
「あらあら、正義さんったら、いつまでも子供なんですから…でも、もうあの時とは違うのですから、あまり無理しちゃダメですよ?」
そう言って、ばぁばは笑っていた。
そう言えば、何で僕はこんな事すら忘れていたのだろう…。
目が覚めてしまえば、また忘れるであろう…そんな事を考えながら、今暫くの間、この世界を楽しもうと僕は心に決めたのだった…。
ん?これは…夢?いや、思い出…なのか?
小さい頃の僕がいる。
そして、じぃちゃんだけじゃなく、ばぁちゃんも…って、ばぁちゃん、若いなッ!?
「おや、夢幻…またじぃじの部屋から本を持ってきたのかい?」
「うん、これ、よんで~。」
そりゃそうだ…いくら何でも3歳位の僕に本を読む事は出来ないだろう。
何せ、その年代くらいだと文字を知らないんだ。
当然、誰かに読んで貰わないと本なんて読めるはずがない。
「どれどれ…今度は何を持ってきたのかな~?」
じぃちゃんはそう言うと僕を膝の上に乗せて、僕から本を受け取る。
そして、その本を見たじぃちゃんは、動きを止めた…。
「ま、まさか…バカな、この本は、あの時無くなったはずじゃ…。」
無くなった?何の事だろう…それに、あの本、どっかで見たことがあるような…。
「じぃじ?」
僕は今までに見た事のない、じぃちゃんの顔に驚きながら首を傾げた。
「あ、あぁ…本だったね…。」
そう言うと、じぃちゃんは慌てて本のページを捲めくる。
だけど、そこには何も書いていない。
だけど、偶然、僕の手が本に触れた、次の瞬間、本が一瞬だけ光、直ぐに消えた。
すると、再びじぃちゃんが慌てて本を調べる。
何も書かれていなかった最初のページ…1ページ目に、何やら文字が顕あらわれている。
それを見たじぃちゃんが、表拍子を念入りに調べる…。
「よかった、まだ指輪は無いようだな…。」
「じぃじ、ほん~」
「あ、あぁ…これはな『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と書いてある。」
「へぇ~。」
僕は意味も分からずに、適当な返事をした。
「あらあら、夢幻ちゃんは本当に正義さんがお気に入りですね。
ばぁばに甘えてくれなくて、ばぁばは寂しいですよ~。」
あ、ばぁちゃんだ…相変わらず綺麗で若いな…もっとも、僕が小さい時の記憶?なんだから、今よりも若いのは当然と言えば当然か。
とは言え、近所の婆さんたちに比べたら、かなり綺麗…と言うより、ぶっちゃけ可愛い。
もっともっと若ければ、お姫様と言われたら信じてしまいそうになる程だ。
「ははは…アリアさん、夢幻は私よりもアリアさんの方が大好きなんです、な~夢幻?」
「うん、ぼく、ばぁば、だ~いすき~♪」
そりゃそうだ…じぃちゃんと違い、ばぁちゃんに抱き締められると、お日様の匂いとでも言うのかな?
何故か良い匂いがして、幸せな気分になるのだ。
「あらあらあら、私も正義さんよりも夢幻ちゃんの方が大好きですよ~♪」
「わ~い、じぃじにかった~♪」
「えッ!?ちょっとアリアさん、私よりも夢幻の方が好きなんですかッ!?」
ばぁちゃんの返事に慌てるじぃちゃん…ってか、孫と競ってどうするよ?
「はい…その代わり、あなたを愛してますから♪」
その言葉で我を取り戻すじいちゃん…心なしか、じぃちゃんの頬が赤い気がする。
「なるほど…それなら、私もアリアさんを愛しています。」
あぁ、そう言えば…ばぁちゃん、よくこうやってじぃちゃんを、からかっていたな…。
なんとも懐かしい光景だ。
「正義さん、そろそろお昼の支度をしますので、ちゃんと夢幻ちゃんのお相手お願いしますね?」
「任せろておきなさい、夢幻、じぃじとお庭で遊ぼうか?とっておきの手品を見せてあげようね。」
そう言うと、じぃちゃんは僕を庭へと誘い出す。
もっとも、じぃちゃんは、直ぐに出てこず、ばぁちゃんと何やら話してから庭に出てきたのだが…。
「おまたせ!さてと…夢幻、約束通り手品を見せよう。
あそこに、柿の木があるだろ?」
そう言うと、じぃちゃんは庭にある大きな柿の木を指さす。
「ある~!」
釣られて声を上げる僕…夢?とは言え、何やらちょっと恥ずかしい。
「よ~く見ててごらん、えいッ!」
じぃちゃんの掛け声と共に、じぃちゃんの手から小さな水の塊が飛んで行き、柿の木に当たる。
そして、水の塊は、霧へと変わった…すると、そこに太陽の光が当たり…小さな虹が出来る。
あぁ…夏場、ホースで水道の水を撒く時に出来る現象だな…と改めて思う。
が、当時の僕にはそんな事分かるはずもない訳で…。
って、ちょっと待てッ!今、何処から水の塊を出した!?
当然、夢?の中のじぃちゃんはホースなんて持っていない。
いったい、何処から水の塊を…って、夢?なんだから何でもありなのか?
「じぃじ、すご~い!」
だが、そんな事もお構いなしに、夢?の中の僕は、素直に驚いている。
「えっへん、すごいだろ~!」
「あらあら、正義さんったら、いつまでも子供なんですから…でも、もうあの時とは違うのですから、あまり無理しちゃダメですよ?」
そう言って、ばぁばは笑っていた。
そう言えば、何で僕はこんな事すら忘れていたのだろう…。
目が覚めてしまえば、また忘れるであろう…そんな事を考えながら、今暫くの間、この世界を楽しもうと僕は心に決めたのだった…。
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