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~第三章:美味い物ツアー編~

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「彼の物よ、その姿、我が望みし姿へと換えよ…〖魔法:模型創造モデリング〗!」

 僕は、なんちゃって詠唱で、無限庫インベントリにある大量のダンジョンの壁を使い、馬車を作り出した。
 しかし、同様に馬を作り出そうとした所で、この作戦が失敗だった事に気が付いく事となる。
 つまり、僕が馬をきちんとイメージ出来なかったのだ。

 原因としては、僕は一度も生きてる馬を見た事がない。
 おそらく、それが一番の原因だと思う。
 まだ、馬車程度ならば、ある程度、大まかに作ってから、適当に調整すれば良いが、流石に馬とか生きてる動物を正確にイメージするのは非常に難しく、残念ながら上手くイメージが出来なかったのだ。

 そこで僕は作戦を変え、一気に現代風の車へと形に作り替えた。
 とは言っても、窓ガラスなんて物はないし、サスペンションんどのクッションすらない…。。
 更に言うなら、エンジンやモーターと言う駆動機構すら組んでいない、只の箱である

 そして、通常では見えない部分に、特殊な車を作るろうと考えていた機構を取り付ける事にする。

 そして、僕は動力部分を作り出し、最後の仕上げとして一つの魔法を使う。
 その魔法とは〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗である

『ギュィーーーン!』

 先程、僕が作った車から駆動音らしき音が聞こえてくる。
 とは言え、先程も言ったが、この車はガソリンやモーターで動く訳じゃない。
 そう、僕が作り出した動力源…それは、魔力を糧に動き、僕に対し絶対服従するゴーレム。

 つまり、僕が作り出した車こそ、搭乗型ゴーレムだったのだ。
 その証拠に、僕が見た・・車には、搭乗型人造ゴーレムと書かれてる。

 僕はアクセルとブレーキ…そしてハンドル操作により、ゴーレムの動きを確認する。
 その後、微調整を何度も繰り返し…そして、念願の車が完成したのである。
 そう、僕の思い通りに操縦が可能となった車が完成したのだ!

「〖スキル:魔力譲渡トランスファー〗!」

 僕は車に燃料補給よろしく、ゴーレムへと魔力を注ぎ込む。
 いくらゴーレムとは言え、その力の源である魔力がないと只の箱になってしまうから…ね。

「みんな、お待たせ!準備出来たから出発するよ~!」

 と、声を掛けると、プリンとクズハがハモって返事をする。

「「はい!ご主人様♪」」

 こうして、長い寄り道は終わり、『アオイ』の港町へと移動を開始したのだった…。

◆◇◆◇◆◇◆

『キキーーー!ドンッ!!』

【経験値76を獲得した。】

 よっしゃ、ボディーアタック成功ッ!

「僕は車の確認チェックをするから、みんなはドロップ品の確認と回収を頼む。
 それと、ローラ!『オーク肉』があったとしても勝手に喰うなよッ!」

 僕は、急いで車から降りると車の損傷具合を確認をする。
 いくらダンジョンの壁を素材に使っているとは言え、あの速度でぶつかったのだ。
 当然、事故の衝撃と言うのは、予想以上に強い物なのだ。
 その為、所々、壊れていても不思議ではないし、壊れていたら修理が必要になる。

 また、ドロップ品の回収もしないといけないので他のメンバーに回収を頼むのも忘れない。
 ただし、肉食系のローラにだけは注意が必要だ。

 幸い、故障箇所はなかった…まぁ、下手な剣だと傷すら付ける事が出来ないダンジョンの壁が素材として使われているのだから、さもありなん…と言った所なのか?
 アレだけの衝撃を受けておきながら、何とも理不尽な車である。

 ちなみに、何故、こんな事態になっているのかと言うと…車が完成してから、30分ほど車を走らせた時、偶然、前方にいた醜い豚野郎オークが居たので、ゴーレムの性能チェックを兼ねて、思い切り跳ね飛ばしたのだ。
 まぁ、異世界には車と言う物がそもそも存在していないし、轢いたのはオークと呼ばれる魔物だから、犯罪行為と言う認識はされないから…と言うプリンによる暴挙げ原因である。

 冒険者はギルドでは、オークはゴブリンと並ぶ、即討伐の対象でありながら、レアドロップの『オーク肉』と呼ばれている上質な肉をドロップするのだ。
 ちなみに、オーク肉は上質な肉だけあって、かなり美味しい肉と言う情報をメルトの町のギルド受付嬢…ポプラさんからの情報である。
 もっとも…情報料は無料タダではなく複数個オーク肉を手に入れたら、一つ無償で提供する事を約束させられてしまったのだ。

 そんな訳で、たまたま見掛けたオークに対して、車で轢いたのだ。
 とは言え、これも車の性能の確認作業の一つ…耐久性の確認だったりする。
 故意に交通事故を起こし、こんな言い訳を言っておきながら何だが…ダンジョンの壁を素材にしたボディーには傷らしき傷がない。
 やはり、この車を作って正解だった様だ。

 もっとも、これらの行為は、元の世界であるなら立派な犯罪行為である。

 ただ、馬車と違い、かなりの速度が出る事を確認出来た。
 そして、馬車と決定的に番うのは…馬車と言うからには馬が必要となる。
 当然、馬は生き物手ある為、怪我もするし病気にもなる…つまり維持費が大変なのだ。

 その点、僕の作った車型のゴーレムならば、基本的にゴーレムが活動するだけの魔力があれば問題ない。
 もっとも、作り出せる人が皆無に等しいので、売りに出すにはコストが掛かり過ぎるだろう…王族とか一部の貴族辺りなら見栄の問題もあり、問題なく買えるかもしれない知れないが、詳細は不明である。

 そんなこんなで、ここは商売に使うのではなく、道楽…美味い物ツアーに使うのがベストだ。
 とは言え、この車には最大の欠点と言うべき欠点がある。

 それ、すなわち…重要な窓がないのだ。
 故に、速度を出せば、その分の風圧をもろに受ける。
 その為、移動中に虫なんかが当たると、かなり痛い…。

 そもそも、こちらの世界では、まだガラス製品を加工する技術はつたなく、凄く高いのだ。
 その内、何か良い素材を手に入れないとダメだなと思うのだった…。
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