上 下
76 / 421
~第三章:美味い物ツアー編~

76ページ目…新たな仲間

しおりを挟む
「ラオンさん、おはようございます。」

 僕が挨拶すると、ラオンさんが、あからさまに嫌な顔をする。
 それもそのはず…ここに来る度に、何かしら厄介事を頼んだり起こしている事が多いからだ。

「それで、今度は、そいつ…か?」

 と、僕の後ろでキョロキョロと周囲を見渡している女性を指差して僕に聞いて来た。

「いやまぁ、こいつもそうなんですが、今回は別件ですよ。
 実は、今、家の修理をしてるんですが木材が足りないみたいでして…良い材木屋を知らないかと思って聞きに来たんですよ。」
「材木屋だと?俺は知らないが職員の誰かが知っているはずだ。
 だが、わざわざ材木屋を探さなくても、お前なら町の南にある森の木を使えば良いんじゃないか?
 それよりも…だ、先程、別件と言っていたが、そっちの女性なんだが君が連れてきたと言う事は、やはりトラブルなんだよな?」

 どうやら、ラオンさんには僕が関わる事は全てトラブルと思われている様だ。
 まぁ、否定出来ない程、トラブルまみれなのが痛い所だが…。

「オレ トラブル チガウ
 オレ コイツ ノ ペット ダ」
「そうかそうか…おお嬢さんは、そこで待っててくださいね?
 俺は、コイツと話があるので…って事で、ちょっとこっち来いや!」

 ラオンさんは、僕の胸ぐらを掴むと引き摺る様に奥の部屋へと連れて行こうとする。

「ちょ、ラオンさん、僕を何処へ連れて行く気なんですかッ!?」

 そんな僕を横目に、〖人狼化〗したフェンリルは、何食わぬ顔で…

「ワカッタ オレ マツ」

 と、僕を見送ったのだった…。

『ズルズル…。』

 フェンリルの女性をペット発言に、ラオンさんの怒りが爆発した様で、僕は引きられる様に奥の部屋…資料室へと連れて行かれてしまったのだった…。

◆◇◆◇◆◇◆

「つまり…あの人は、本当は神獣のフェンリルで、しかも、仲間にするのを断る為に、ペットなれって言ったら、ペットになるったと、貴様は本気で言うつもりなのか?」
「はい…僕も、まさか神獣がペットで良いなんて言うとは思いませんでした…とても信じられないでしょうけど…。」
「ま、まぁ、確かに簡単には信じられる話ではないが…流石に君の疲れ切った顔を見るに、本当の事なんだろうな…。
 それで、どうする気なんだ?本当にペットとして飼うつもりのか?」

 どうやら、僕がいかがわしい事をしていないと言うのは理解していた様で、本気で怒られる事はなかった物の、種族が種族だけにラオンさんも困り顔である。

「犬擬き…狼の姿でいればペットと言っても、それほど問題はないかもしれませんが…流石に、〖人狼化〗あの状態でペットと言うのは、色々と問題かと…ラオンさん、僕はどうしたら良いんでしょうか?」

 ラオンさんが、項垂れている僕の肩を叩き、アドバイスをくれた。

「そうだな…私が出来るアドバイスがあるとしたら…。
 この際、もう全部諦めて、君のハーレムに入れたらどうだ?」
「はい?僕のハーレムって…いったい何の話ですか!?」

 って、それはアドバイスじゃなく問題爆弾発言ですよッ!?

「ん?違うのか?プリンさん、クズハさん、アリスさん…既に3人もいるじゃないか。
 そこに、あの人を入れた所で、大した問題じゃないのでは無いか?」

 この世界は、一夫多妻制らしいので、養うだけの甲斐性があれば、ハーレムを作ったとしても、本人達が良いのであれば問題はないらしい。

「いえ、以前にも言ったと思いますが、僕の彼女はプリンだけですよ?
 ってか、クズハなら、まだ分かりますが、何故、アリスまでハーレム要員になってるんですか?」

 アリスはブラウニーの為、魔物であって人の括りでは無い筈だ。

「いや、クエスト完了の調査で行った時、アリスさんの君の事を話す顔が好きな人を話す時のソレと同じだったし、匂いが…な。」
「えっと…匂いですか?」
「あぁ、獣人の中には匂いに対して敏感な種族がいてな。
 確か…フェロモンと言うらしいが、発情している時に出る匂いを嗅ぎ分ける事が出来るんだよ。
 まぁ、本来は、全ての生き物に備わっているらしいのだが…人族は苦手みたいだな。」

 と、ラオンさんは当たり前の様に話してくる…。
 もし、その話を信じるならアリスもまたプリン同様に僕の事を好きになっているらしい。
 だが、そう考えると、魔力を与えるのにキスをされた事も、少なからず納得がいく。

 それに、プリンも言っていたが、こっちの世界は、一夫多妻制。
 ならば、ハーレムなんて事も実際に可能なのかもしれない…。

「あ~なんだ…君が何を考えているかは聞かんが、匂いが出てるぞ。」

 おっと…余計な事を考えた性でフェロモンとやらが出てしまった様だ。
 ここは冷静になって、コレからの事を考えよう。

「とりあえず、ペットと言うのは置いきますが、成り行きとは言え、彼女を僕の仲間にしようと思います。
 まぁ、帰ったら色々大変になるとは思いますが…。」
「そうか…なら、彼女もギルド登録しておいた方が良いだろうな。
 で、彼女の名前は、何て言うんだ?」
「そうですね…本人にはまだ確認してないんですが、僕としては『ローラ』と名前を付けようと考えています。」

 フェンリルには、まだ名前がなかったのでアリス同様、仲間になるのだから…と、名前を与えようと思ったのだった…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

女神様から同情された結果こうなった

回復師
ファンタジー
 どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗
ファンタジー
 おっさんに唯一与えられたもの――それは【オートスキル】。  とある女神様がくれた素敵なプレゼントだった。  しかし、あまりの面倒臭がりのおっさん。なにもやる気も出なかった。長い事放置して、半年後にやっとやる気が出た。とりあえず【オートスキル】を極めることにした。とはいえ、極めるもなにも【オートスキル】は自動で様々なスキルが発動するので、24時間勝手にモンスターを狩ってくれる。起きていようが眠っていようが、バリバリモンスターを狩れてしまえた。そんなチートも同然なスキルでモンスターを根こそぎ狩りまくっていれば……最強のステータスを手に入れてしまっていた。これは、そんな爆笑してしまう程の最強能力を手に入れたおっさんの冒険譚である――。

身体強化って、何気にチートじゃないですか!?

ルーグイウル
ファンタジー
 病弱で寝たきりの少年「立原隆人」はある日他界する。そんな彼の意志に残ったのは『もっと強い体が欲しい』。       そんな彼の意志と強靭な魂は世界の壁を越え異世界へとたどり着く。でも目覚めたのは真っ暗なダンジョンの奥地で…?  これは異世界で新たな肉体を得た立原隆人-リュートがパワーレベリングして得たぶっ飛んだレベルとチートっぽいスキルをひっさげアヴァロンを王道ルートまっしぐら、テンプレート通りに謳歌する物語。  初投稿作品です。つたない文章だと思いますが温かい目で見ていただけたらと思います。

処理中です...