～僕の異世界冒険記～異世界冒険始めました。

～第三章：美味い物ツアー編～

75ページ目…人狼？

　大きな声でツッコミを入れた事で周囲の目を引いてしまった…。
　その事に恥ずかしくなって、僕は目の前にいた…ちょっときわどい格好をしたお姉さん・・・・の手を取ると、僕達は猛ダッシュでその場を離た。

「はぁ、はぁ、はぁ…ったく、恥ずかしい目にあった…。」
「オマエ　ダイジョウブ　カ？」

　と、外見からは想像出来ないほど、拙つたない喋り方をするお姉さん…先ほどまで犬みたいな姿をしていたとは到底思えないほどの野性味の溢れた『美少女』が、僕の前にいる…。

　ここで個人的に『人狼』と言う物について、改めて考えてみる。
　人と狼の字が使われている…以上！って巫山戯ふざけた話ではない。

　僕の知っている『人狼』とは、狼が人みたいに二本足で歩いたり、人間みたいに道具を手？前足？で器用に使える魔物ヤツの事である。
　ベースとしては狼が主な為、狼の部分が多く、その力は人間よりも段違いに強い。
　当然、顔も狼だし全身に毛が生えている。
　狼人間と呼ばれている物…これが僕の知っている人狼と言う生き物だった。

　では、今、僕の目の前にいる〖人狼化〗したフェンリルはどうだろう。
　ハッキリ言おう…まずベースは人間の姿で、ナイスバディーなお姉さんと言って良いだろう。
　確かに、獣耳だが顔は人間そのもので、正直、可愛い。
　それから…体はレオタードみたい形で、体を毛が覆っている。
　その為、僕には刺激が強い…あと、手首から肘まで、足首から膝までと言った部分も毛で覆われている。

　極め付けは…手足が人間のそれとは違い、どちらかと言うと獣に近いみたいだ。
　簡単に言うと、肉球がある…ぷにぷにしたら気持ちよさそうだ。
　しかし、足はともかく、手の方に関しては何かを掴む事が出来るみたいで、先程から〖人狼化〗したフェンリルは、手を開いたり閉じたりしている。
　そして、もっとも重要だと思われる部分…当然ながら尻尾もある。
　って事で、人狼と言うよりも、獣人になったと言われた方が何倍も説得力のある姿に返信していた。

　だが、それよりも僕が驚いたのが『美少女』と言った事からも分かる様に、メス…つまり女性である。
　ずっと『オレ』と言っているから、てっきり男だと思っていたが、女だったのだ。

「フェルンリル…君、女の子だったのか…。」
「オレ　ノ　ナカマ　ゼンブ　メス
　フェンリル　オス　イナイ」

　昔読んだ漫画に、男嫌いな月の女神に仕えていたフェルンリル狼は、月から全ての男を追放した事で、フェンリル狼は全てメスになってしまった、とか言うのがあったが、アレと同じなのだろうか？

　しかし…人化したプリンに勝るとも劣らないほどのナイスなプロポーション…。
　いや、プリンみたいに痩せている女の子と言う感じではなく、無駄なく鍛え上げた感じで、力強い雰囲気が漂っている反面、胸など出る所は立派に出てると言う印象を、惜しみなく与えてくる。
　外見から受けるイメージとして分かり易く表現をするなら、その鍛えられた肉体から格闘家と言う職業が、この世界にもあるならば…その表現が一番しっくりする事だろう…たぶん…。

「ソレヨリ　コレ　デ　ツイテ　イク　ダイジョウブ　ダナ？」

　ちょっと待て、その姿で付いてくるつもりかッ！？

「大丈夫な訳無いだろ！僕が言ったのは人化だ。
　君が使ったのは〖人狼化〗…全くの別物、つまり、君は条件を満たしてないって事だ。」

　しかし、フェンリルは納得してくれない様で…。

「オマエ　ウソツキ　オレ　ヒト　ノ　スガタ　ナッタ」

　と、反論してきた。
　ダメだ…こっちの話をまともに聞いてくれない…。
　こうなったら…最後の手段だ。

「分かった、そこまで言うなら…僕のペットになるなら付いてきて良いよ？
　ただし、その場合は、僕のペットなんだから、僕に対して絶対服従・・・・して貰うからね？」

　流石に、こう言えば神獣と称されるフェンリルならば、そのプライドを傷付けたとかで、怒って何処かへ行くはずだ。
　そうなれば、僕もこれ以上、危険な物に付きまとわれなくて良い。
　もっとも、怒りで攻撃してくる可能性も、無なきにしも非あらず、だが…。

「ワカッタ　ナラ　オレ　ペット　ナル
　ニクキュウ　ヤ　シッポ　サワラセ　テ　ヤル
　ソノカワリ　ニク　イッパイ　クワセロ」

「分かってくれて良かっ…って、いやいやいや！君、神獣だし…フェンリルだろッ！？
　自分で言っておいて何だが、僕みたいな人間如きに従うってフェンリルとしてのプライドとかないのッ！？」
「オマエ　タダ　ノ　ヒトゾク　チガウ
　オレ　ヨリ　ツヨイ　チカラ　カクシテル
　ダカラ　オレ　オマエニ　シタガウ」

　強い力を隠してる？それって魔王化の事か？いやいや、そう言う問題じゃない！
　どうもこの世界の人…って言うか、生き物？
　強ければ全て許されるって感が物凄く強いんだけど、なんつーか、焼き肉定食…もとい、弱肉強食過ぎるんじゃね？

　だがまぁ…はぁ～何か疲れた…もう、どうとでもなれ…。
　僕の後ろを付いてくるフェンリルを半ば無視する様に、再びギルドへ向かうのだった…。