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~第三章:美味い物ツアー編~

74ページ目…家の修繕(リフォーム)?

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『ちゅ~~~♪ポンッ!』

 それを見ていたプリンが怒りを顕わにする。

〔ち、ちょっと!?アリス、私の旦那様に何やってんのよ!〕
「何って…ちょっと魔力を貰っただけじゃないですか…。」
〔ちょっと魔力を貰っただけって…旦那様にキスして良いのは、まだ・・私だけなんです!〕

 いや、プリンさん、まだって事はいずれ許可するつもりなんですか?
 とは言え、プリンにはプリンの考えがある様なので、酷い事じゃない限り、好きにさせようとは思っている。
 ただ、今回のコレはブラウニー…『アリス』に魔力を分けて欲しいと言われ、どうすれば?と聞いた所、いきなりキスをされ、プリンと同じ様に唇と魔力を奪われたのだ。
 そして、それをタイミングが悪い事に、人化しているプリンに見られ、プリンが怒り出した…と言う事だ。

 事の発端は今朝の事だった…。

◆◇◆◇◆◇◆

 今朝…早い時間、宿屋にラオンさんの使いの者と言う人が訪ねてきた。
 そして、書類が出来たからとラオンさんの所まで伺う様に言われ、ギルドまで行ったのが今朝までの事だ。

 そして、魔王化を秘密にする為に、ギルドマスターのラオンさん自ら安全を確認した我が家に入居する事に。
 だが、依頼で来た時には気が付かなかったが、改めて見ると、あちこち、かなり傷んでいたらしく大幅に修理しないとダメな事が判明した。

 僕ならば、多少の傷程度なら〖模型創造《モデリング》〗の魔法で直せるものの、建物全体となると話は別だ。
 ちゃんとした職人を呼び、きちんと修理しないとダメか?と思ったのだが、アリスが魔力を貰えるなら、新品とは言わないまでも、それに近い程の修理は出来ると言われたのだ。
 そして、どうすれば良い?と訪ねた所、冒頭の事件が起こったのだ。

 ちなみに、我が家に着いた時に、ブラウニーが出迎えてくれたのだが、家の管理を頼むのに種族で呼ぶのもどうかと思い、本人の承諾を得て『アリス』と言う名前を与えた…と言うか貰ってもらったのだ。

 後日談になるが、名前を持った魔物は名前持ちネームホルダーと呼ばれ、名前を持たない魔物とは別物と呼べる程、強くなる…との話だった。

◆◇◆◇◆◇◆

 アリスが何やら呪文を唱えると、崩れた壁が直ったり、荒れ果てた庭が綺麗になったりする。
 悪霊退治の時にも思ったが、やはりかなり広い庭だ。
 ちゃんと間切りすれば、家庭菜園だって可能なんじゃないだろうか?

「御主人様、今すぐ出来る修理は全部済ませましたが…やはり木材などの不足が否めません。
 何処かから木材を手に入れる事は出来ませんか?」

 と、アリスから聞かれた。
 だが、木材を扱ってる店なんて、当然ながら僕は知らないし、知ってそうな知り合いもいない。
 結局、こう言う時に頼る人と言えば、お馴染みになり始めたラオンさんだろう。
 そんな訳で、再びラオンさんの所に行き、相談する事になった。

◆◇◆◇◆◇◆

『テクテク…タッタッタッ…ピタッ』

 僕が歩くと、後のヤツも歩く。
 僕が止まると、後のヤツも止まる。

 最初は偶然か?と思ったが、既に何度も同じ事を繰り返しているので、気の所為ではない様だ。
 犯人は分かっている…どうやら、無視をする訳にはいかない様だ。
 はぁ~…と大きく溜め息を付きながらも、仕方が無いので相手をしてやる事にする。

「なぁ…いつまでも付いて来るんだ?
 まだ肉のお礼と言うつもりか?
 この前、ちゃんとクズハを守ったんだから、もう用は無いだろ?いい加減、家に帰れよ…。」

〔オレ マモッテ ナイ
 オレ イッショ イタ ダケ〕

「そんな事無いだろ…十分役に立ったよ。
 だから、もう帰りなよ…。」

〔コトワル〕

 こちらの願いをバッサリと切るその態度に、少しだけウンザリする。
 こうなったら、多少、無理難題を言って追い返す方が早いかもしれない。

 ちょうどダンジョンへ行く前にフェンリルのステータスを見た・・時に、フェンリルのスキルも確認している。
 ならば、その時に持ってなかったスキルを使えなければと言えば諦めて帰るだろ…。

「なら…人に化ける事が出来たら、一緒に来て良いって事にしよう。」

〔ワカッタ〕

 フェンリルはそう言うなり、緑色の光を纏い…人型に変化する。
 そんなバカな…と思い、慌てて見る・・

 しかし、スキル欄には人化の文字は…やはり無い。
 だが、しかし…〖スキル:人狼化〗ってスキルが増えているのを見付けた。

 そして、次の瞬間には、フェンリルの人狼化が完成する。
 ただし、人狼と聞くと、日本人にだからか、映画などによくある狼人間をイメージしてしまったのは仕方が居ことだろう。
 その為、フェンリルの人狼化を見た時…。

「それのどこが〖人狼化〗やねんッ!」

 と、僕は周囲に人がいるにも関わらず、大きな声でツッコミを入れてしまったのだった…。
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