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~第二章:冒険者編(初期)~

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〔何故で、ここにいるんですか?僕達は、これからダンジョンへ向かうんだから帰ってください。〕

 と、僕は犬擬いぬもどきに念話で話しかける。

〔オマエ ハラペコ ノ オレ ニ ニク クレタ。
 オレ オマエ キニイッタ。
 オレ オマエ マモル オマエ ニ ツイテク。〕
〔そうですか、でも丁重にお断りしますので、どうぞお帰りください。〕

 残念な事に、僕はモフモフ好きではあるが、この犬擬きの種族が種族だけに、正直、関わりたくないのだ。

〔ソレ ダメ オレイ スル キマリゴト。〕
〔でしたら、このまま素直に帰ってくれれば、それがお礼になるから…。〕
〔キョヒ オレ オマエ マモル。〕
〔だから~!そこらの犬や狼ならペットで連れてく事は出来るけど、神獣のフェンリル・・・・・・・・なんか連れて歩いたら、まわりの人がパニックになるって言ってるんだよ!
 肉のお礼だか何だか知らないけど、素直に帰ってくれたらチャラで良いから、帰ってくれよ!!〕

 そう…僕があの時、見て・・しまったのは、まだ子供とは言え『神獣:フェンリル(幼生)』だったのだ。
 スライムに妖狐族…それだけでも、冒険者ギルドで十分問題があると言うのに、今度はフェンリルの子供なんて…どんな嫌がらせなんだって話だ。
 だが、ここで予期せぬ援軍が顕れた…。

〔ご主人様、今回だけ連れて行くというのは、どうでしょう?〕
〔ん?プリン、どう言う事?〕
〔私達がメインで戦うのは良いのですが、その時、レベルの低いクズハさんの守りが手薄になります。
 ですので、その間、クズハさんの護衛に付いて貰えば良いのでは…と思います。〕
〔なるほど…それなら、肉のお礼って事で納得して貰えるかも…。〕

 僕はプリンの提案に乗る事にした。
 ってな訳で、フェンリルに話を付ける。

〔あのさ、肉のお礼って事なんだけど…。
 今、僕達はとても危険な状態になっているダンジョンの暴走を防ぐ為に向かってるんだけど、そこにいる間、こっちの…クズハの護衛を頼んで良いかな?
 もし、引き受けてくれるなら、追加で串焼きを上げても良いほど、助かるんだけど…ダメかな?〕

〔ワカッタ オレ クズハ マモル。〕

 よかった…何とか説得が出来たみたいだ。
 コレで、心配だったクズハの守りが少しはマシになる事だろう…たぶん…。

「クズハ、ダンジョンに着いたら、この子が君の護りに付く…クズハは、無理をしない程度に僕達の援護に専念してくれ。」
「いえ、私も戦います!」

 無駄にやる気を見せるクズハ…だが、正直言ってレベル2のクズハには無謀だとしか思えない。

「いや、クズハのレベルだと、足手纏あしでまといになりかねない。
 その代わり、僕達が撃ち漏らしたヤツを頼みたいんだ。」

 そう言うと、クズハはガックリと肩を落とし、渋々、うなずくのだった。

◆◇◆◇◆◇◆

 しばらくすると、僕達の目にもダンジョンの一部が見えて来た。
 正確には、ダンジョンを使う施設の一部なのだが…。

 この世界のダンジョンと言うのは、魔物の巣窟…と言う事以外に、魔物を倒した時に出るドロップ品や宝箱等の報酬を手に入れる…言わば、宝の山みたいな場所になったいた。
 つまり…メリットとしては、一獲千金を狙う事が出来る場所と言う事になる。
 もっとも、その一攫千金を得るには、己の命を賭ける必要がある、と言うデメリットもあるのだが…。

 そして…未発見のダンジョンは別だが、基本的にダンジョンは冒険者ギルドが管理している。
 故に、ダンジョンの施設を使う為にも冒険者ギルドに加入する必要があり、またお金を稼ぐ近道となるらしい。

 もっとも、緊急事態の今はそんな説明はいらない…かな?

「メルトの冒険者の方達ですね?よく来ていただけました、どうぞこちらへ…。」

 こうやって出迎えてくれると言う事は、何とか間に合った様だ。

 僕が「状況は?」と聞くと、やはりと言うか、当たり前と言うか…かなり不安定になって来ているので、状況としては芳しくないとの事だった…。
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